テンセーは、転生と違う。
一時間後。保健室。
――ガララッ。
保健の先生
「ふぅ……書類作ってたら遅れちゃった。
――あら?」
ベッドでぐっすり寝ているティナ。
保健の先生
「(体調不良の子かしら?
よく寝ているし、そのままにして――んッ!?)」
ティナが装着している眼帯に気づく。
保健の先生
「(何この眼帯!?
……オーラが出てる……)」
保健の先生 (じっくり監察)
「(気になる……
何かの薬の副作用?それともキャラ作り?
聞きたい……でも、起こすのも可哀想……)」
保健の先生
「……まぁ、起きたら聞けばいいか。」
物音をあまり立てないように、備品の在庫を確認し始める。
ティナ(爆睡)
「ぐぅ〜……ぐぉ〜……」
保健の先生(チラッと見て)
「(よく寝てるなぁ。
でもこの子、エルフよね。
うちの学校、エルフ族の生徒なんていたかしら?)」
保健の先生
「(そういえば、週明けから転校生が来るって会議で言ってたっけ。
この子がその転校生かしらね。)」
ティナ(寝言)
「ぐぅ〜……リリサぁ……紅茶より……緑茶がいいよぉ……」
保健の先生
「(あらあら、夢見てるわ。)」
ティナ(寝言)
「……おやつは……干し芋と栗まんじゅうで……」
保健の先生
「(……チョイスが渋い。)」
ティナ(寝言)
「……じいちゃん……また……はげた……?」
保健の先生
「(エルフのおじいさんって、いくつなのよ。
というか、老化するの?)」
保健の先生
「(まぁ、元気そうだしいいか。)」
---
――カランカラーン♪
昼休憩開始のベルが鳴る。
ティナ(寝起き)
「……ん……ここは?」
保健の先生
「おはよう。よく寝てたわね。」
ティナ(寝ぼけ)
「リリサ……?ちょっと老けた?」
保健の先生 (ピクッ)
「……私は“リリサ”って人じゃないわよ。
あなた、朝からずっと寝てたけど、体調不良?」
ティナ(ハッとして)
「……そうだ!
わたし、クラスのみんなにからかわれて泣いて……
カレンが保健室に連れてきてくれてたんだ。
って事は……保健の先生?」
保健の先生
「そうね。」
ティナ
「あわわ!
失礼な事言ってごめんなさい!」
保健の先生
「別にいいわよ。
それよりあなた“みんなにからかわれた”って言ってたけど
いじめとかではない?」
ティナ
「いじめではないです!
ちょっとした価値観の違いがあって……
あとこの眼帯のせいで……」
保健の先生
「そう……いじめじゃないなら良いけど……
私もその眼帯気になってたんだけど、何でオーラが出てるの?」
ティナ
「えっと、ものもらいになっちゃって、
姉?がポーション塗ってくれたんですけど、臭くて……
魔法で無臭化する代わりに匂いが見えるようになっちゃったんです。」
保健の先生
「……なるほど?
(ごめん、よく分かんない。)」
保健の先生
「それで、目の具合は?まだ痛い?」
ティナ(眼帯の上からさする)
「……あれ?痛くない!」
眼帯を外してみる。
保健の先生
「腫れてもないし、治ったのかしら。」
保健の先生、手鏡を渡す。
ティナ(鏡で確認)
「ほんとだ!治った!
リリサのポーションすげー!!」
保健の先生
「良かったわね。お姉さんにちゃんとお礼しなさいよ。
午後からは授業受けれそう?」
ティナ
「はい!もう大丈夫です!
教室戻ります。」
保健の先生
「そう。また何かあったら気軽においで。」
ティナ(ドアノブに手をかけ)
「ありがとうございました!」
――ガララッ。
---
廊下を歩くティナ。
ティナ
「(教室に戻ったらまた厨二病扱いされるのか……
ちょっとやだなぁ。)」
ティナ
「(でも、カレンはわかってくれたし、
他の子達は気にしなきゃいいか。)」
ティナ(お腹がぐぅ〜と鳴る)
「(とりあえず、お腹すいた……
早くお昼食べよ。)」
昼休憩の教室。
弁当を持参してくる子もいれば、購買でパン等を購入してる子もいる。
仲の良いグループで机を寄せあい、それぞれ談笑しながら食事中。
――ガララッ。
ティナ
「お腹すいた〜……」
カレン
「あっ!ティナ!
もう大丈夫?」
生徒達
「ティナちゃん戻ってきた!」「良かった〜!」
ティナ
「目はもう治ったよ!」
カレン
「そっか、良かった。
良かったら一緒にお弁当食べない?」
ティナ
「うん!一緒に食べよ!」
そこへ集まる生徒達
女子生徒A
「ティナちゃん、誤解しててごめん……」
女子生徒B
「私たちの勘違いだったみたいで……」
男子生徒
「からかって悪かったよ。」
ティナ(困惑)
「え?あー、えっと?」
女子生徒A
「ものもらいだったから眼帯してたんだよね。
オーラは薬のせいだったって聞いたよ。」
ティナ
「そうなの。でもおかげですぐ治ったよ!」
女子生徒B
「それは良かった。治療中だったのにからかってごめんね。」
ティナ
「いいよいいよ。もう過ぎた話だしさ。」
女子生徒A
「それとさ、カレンちゃんから聞いたよ。
ティナちゃんの地元では“引越し”の事を“テンセー”って方言で言うんでしょ?」
女子生徒B
「私たち、てっきり“転生”だと思ってて、つい……」
男子生徒
「でもややこしい方言だよな。勘違いするって。」
ティナ
「???」
ティナ、カレンをチラッと見る。
カレン(笑顔、ピースサイン)
「(ブイッ!)」
ティナ(察する)
「あ、そう!そうなの!
引越しの事をテンセーって言うの!」
女子生徒A
「勘違いしててごめんね。
でも良かった〜……ティナちゃん、あっち側の人じゃなくて。」
女子生徒の視線の先に、一人で弁当を食べているダーク君 (ハルナ)の姿が。
ティナ
「あ、あはは……
でもダーク君もさ、変わってるけど悪い子じゃなさそうだし?」
カレン
「だね!
一人が好きみたいだし、そっとしといてあげよ?」
女子生徒A
「そうだね……じゃぁ私たちお昼の途中だったから、
また後でね!」
女子生徒B
「今度こそフローレンスさんの地元のお話聞かせてね。」
男子生徒
「またな〜。」
ティナ
「はいは〜い。あんまり面白い話じゃないと思うけど〜。」
……
ティナ(小声)
「カレン!マジでありがと!!」
カレン(小声)
「まかせなって言ったでしょ?」
ティナ
「わたし、カレンと友達になれて良かった。」
カレン(少し赤くなる)
「はぁ?何それ!
急にしんみりしないでよ!照れるじゃん!」
ティナ
「だって、もしカレンがいなかったら、
ずっと厨二病患者のレッテル貼られたまま、
学校生活送る事になったんだよ?
そんなの死んだ方がマシだって。」
カレン
「たしかに、それはしんどいわ。
でもそんな事言ったらダーク君に失礼じゃない?」
ティナ
「あの子は違うよ。
本職だもん。」
カレン
「あ、そっか。
じゃぁお昼食べよ!机くっつけよ?」
ティナ
「りょ!」
ティナ、リリサが作ってくれた弁当の包みを開ける。
ティナ
「今日のお弁当は何かな〜♪」
蓋を開ける。
ご飯の上には桜でんぶがハート型にまぶされている。
ハート型桜でんぶの上には“祝♡完治”の文字が刻み海苔で作られていた。
ティナ(そっ閉じ)
「……イラッ。」
カレン(5段弁当の包みを開けながら)
「どしたの?」
ティナ
「なんだろ……
わたしの中に邪悪なエネルギーが蓄積されてる。」
カレン
「……やっぱり厨二病キャラでいくつもり?」
ティナ
「違うわ!!」
――こうして、カレンの機転によりクラスメイトからの厨二病患者疑惑も無事払拭され、
平和(?)な学校生活を送り出せるようになった。
ティナ
「……てか、カレン食べすぎじゃない?
そのトーテムポールみたいな弁当箱なに?」
カレン
「5段弁当箱だよ!
1〜2段はご飯。
3〜5段は唐揚げ、豚カツ、コロッケ、生姜焼き。」
ティナ
「……ブラックホールかな?」
カレン
「だって動いたらすぐお腹減るじゃん?
それに、たんぱく質は筋肉になるんだよ?」
ティナ
「あんたは、どこを目指してるの?」
カレン
「んー、人類最強?」
ティナ(棒読み)
「そっかぁー。」




