特異(得意)なバスケで異世界攻略 第5話
サムス村への道中ドンガさんとケントさんに色々話を聞きこの世界の情報を集めた。
流石に記憶喪失って設定だけでは、あまりにもの常識の無さには不信感を持たれたが、色々訳もあるのだろうと詳しくは突っ込まれずにすんだ。初めのあいさつ時の丁寧なしゃべり方に好感を持ったからみたいだ。
話によるとドンガさんはエスカという結構大きな街で商会を開いているらしい。店が大きくなった今でも仕入れや行商に行くのが趣味で、時間を見つけてはお店を任せてこうして各地を回っているみたいだ。ドンガさん曰く、『今回みたいな出会いや新しい発見が楽しい』のだそうだ。
護衛役のケントさんはD級冒険者みたいで、冒険者ギルドの護衛のクエストを受け今回の行商に付いてきているらしい。
(やったぜ!テンプレの冒険者ギルドがあるぜ!早くスキル創造を解析して無双したいな。他の勇者達が魔王を倒すまでだから自重なんてしないで異世界を楽しまなきゃ♪)と心の中でウキウキしながら、ケントさんに冒険者の事を詳しく聞いた。
2人に聞いた事を大まかに纏めると、ここの国はクニソス王国と言い大きな大陸の南側を領土としている人族がメインの国だが他種族も普通に暮らしているみたいだ。商会があるエスカはこの王国でも3本の指に入る位の大きな街らしい。通貨は単位がGで予想通り円と同等価値ぽい。大白金貨(10,000,000G)>白金貨(1,000,000G)>大金貨(100,000G)>金貨(10,000G)>銀貨(1,000G)>銅貨(100G)>鉄貨(10G)となっている。
冒険者ギルドでは冒険者ランクがあり下はHランクから上はSSSランクまであるらしい。Sランクを超えると貴族と同じ位の権力を国から与えられるみたいだ。スタートランクは登録時のテストで決まり、必ずしもHランクからという訳ではなさそうだ。
色々話を聞きながら体感で2時間程歩くと、目的地のサムス村へと到着した。
ドンガさんは商売をする為に村長に会いに行き、ケントさんは村に滞在中はフリーだそうだ。
明日は夜明けと共に出発するみたいなので、俺は村に1件だけある2階建ての小さな宿屋に部屋を取り、同じくこの宿に泊まるケントさんと一緒に早めの夕食を済ませ2階にある自分の部屋に入った。ちなみにドンガさんは村長宅に宿泊するみたいだ。
まだ外は少し赤く、夕方といった時間だ。昨日は徹夜だったこともありスキルの考察もできずにベットでウトウトしていると外から『きゃー。誰か助けて!』と大きな声がした。俺はその声に目を覚まし慌てて窓を開け外を見ていると、ちょうど窓の真下に2mはありそうな茶色の大きな体をした魔物が、腰を抜かしてしゃがみ込んでいる女性と小さな女の子に襲い掛かろうとしていた。俺は慌てて窓の横に飾ってあったバレーボールサイズの花瓶を両手に取り、窓を乗り越え飛び降りながら魔物の頭めがけて持ってた花瓶を両手で思いきり叩きつけようとした。「喰らえ!スラムダンクだー!」と叫んだ瞬間『ピロリン』と頭に音が響いた。
そのまま魔物の頭に花瓶を叩きつけると、水がたっぷり入っていたこともあるがありえない炸裂音が響き、目の前には割れた花瓶と水に濡れた”頭と首が胴体にめり込んだ”茶色い魔物の死骸があった。
それからやはり母娘であった2人からお礼がしたいと誘われたが、「またこの村に来た時に食事でも食べさせて下さい。それで充分です。」とお断りした。早く部屋に戻りたかったのだ。それはようやくスキル創造の手がかりを見つけたからだ。
ちなみに魔物はオークと言い、背の低い柵でしか守られていない小さな村では年に1,2度侵入してくる事があるらしい。そんなに強い魔物では無いので余程の事が無ければ村の男性数人で倒す事が出来、被害はほとんど出ないそうだ。ただ今回はタイミングが悪く、躓いて動けなかった母娘が襲われそうになっていた所を助けたので次の日村長からお礼を言われた。
倒したオークは食用の肉として美味しいらしく村の方で買い取って貰うことができた。
また割ってしまった花瓶の弁償をしようと宿の女将に謝罪に行ったら、弁償どころか逆に村人を助けた事に感謝され宿代を半額にしてもらえた。




