特異(得意)なバスケで異世界攻略 第25話
アレン達との宴会の翌日、ティア王女が面会を行ってくださるとの事で再び王城前の兵士詰め所に向かうと、アレンが待機してくれており城の中へと案内してくれた。
城の中は綺麗な絨毯が敷き詰められており、高級そうな絵画や骨董品等に思わず目を奪われながら貴賓室へと連れていかれた。部屋の前でアレンは王女に報告の為別れ、現在は入り口付近に直立している美しいメイドのお姉さんと二人きりで待っていた。煎れていただいた紅茶を飲み切る頃、コンコンっとノックの音と共にドアが開いた。執事っぽい恰好をした方が開けているドアの向こうには満面の笑みを見せてくれているティア王女がいた。しかしその前にはいかにも王様ですと言わんばかりのオーラと雰囲気を纏った凛々しい顔付をした壮年の男性がいた。
2人が入ってくると男性の方が、
『そなたが我が愛娘のティアを救ってくれた勇者ロウ君だね。私はこの国の王を務めているステフィン・クニソス・アーリアだ。今回は盗賊から救ってもらったお礼はもちろんだが、ティアが毎日の様に名前を出している君に是非一目会いたいと思いこの場に来させてもらった。なので今回はクニソス王としてではなく、イチ父親として参ったから礼儀作法など気にする必要はないからな。ところで…』
と話をしているのを遮って後ろにいたティア王女が、
『お父様。お話が長いです。ロウ様。先日は危ない所を助けていただき本当にありがとうございました。あれから毎日ロウ様の夢を見るようになりまして、この年で恥ずかしながら私の勇者さまですわと侍女のララと話している所をお父様に聞かれてしまい本日はご一緒する運びとなってしましました。王が一緒で緊張するなと言う方が難しいかもしれませんがご了承くださいませ。』と優雅なお辞儀をするティア王女を慌てて止め、3人で話をする事となった。
他愛もない雑談で少し場が和んできた所で、ティア王女が『そういえば何かご相談があるとお聞きいたしましたが』と切り出してくれたので、俺は自分が異世界から来たことも含めこれから行っていきたい事の全てを話した。とりあえず物事を動かせるきっかけを作るために最低限の権力が必要だという事。そのためにSランク冒険者になりたいので推薦状を書いてくれないかという事を。
すると国王が『ここから少しクニソス王として話をさせてもらう。ロウ君、君は私が統治しているこの国がおかしいと申しているのか?さらに大きな権力を手に入れたら最終的にはこの国の敵になるという認識でいいのか?事と次第によってはここから帰すわけにいかなくなるが答えて貰おうか?』と尋ねて来たので俺は丁寧に答えた。
『国王様。気分を害してしまい誠に申し訳ありませんでした。俺はまだこの国に来て日が浅く、ほんの上辺位しかしりません。ですが既に愛する者や守るべき友も出来、皆が笑って暮らしていける環境を作っていきたいのです。私が以前いた世界は本当に平和な国でした。もちろん貧富の差や犯罪もありましたが、ほとんどの人たちが飢える事も無く、寿命や病気以外で生き死にに直面する事等ほとんどないような場所でした。ところがこの世界では盗賊等が蔓延り人身売買も行われている。もちろん生活の為にしょうがなく奴隷になった方や犯罪奴隷もいるとは思いますが、人の命が軽すぎます。俺のしたい事はクニソス王やこの国を批判する事でも、喧嘩を売る事でもございません。せめてこれから自分が出会った人達だけでも幸せになれる環境を作りたいと思っているだけです。最終的な規模はどの位になるかわかりませんが、毎日皆が笑って安心して暮らせる村や町を造れたらいいなって位で考えています。先程ご説明した通り私はいつまでこの世界に滞在できるか分かりません。いなくなった後はもちろんこの国にお世話になると思います。その為にも自分達だけではなくこの国クニソスにも損はさせないようなシステムを構築いたしますので、今後ともご協力を頂けないでしょうか?』
王は少し考えた後、
『確かに君が言う通りなら私の国内が繁栄するだけで損はないだろう。但し、君が帰っていなくなった後は誰が引っ張っていくのだ?さらに予想より大きくなってしまった時はどうする気だ?』と問いかけてきたので俺は答えた。
「私の居なくなった後の後任者は責任をもって育てた上で、国王様にもご紹介させていただきます。そして大きくなりすぎてしまった場合は全て国王様にお渡ししましょう。私はリーダーに成りたい訳ではございません。自分が楽しく過ごし、同じく周りの人達にも笑って過ごしてもらいたいだけです。俺にはその力も知識もございます。但しこの国に帰属した後、自分たちの民から笑顔が消えそうな時、俺はこの国に喧嘩を挑みます。俺個人でも国を相手にしても負けない自信はありますので、お気をつけて下さい。」
そこまで伝えると王は『気に入ったぞ!』とさっきまで真剣だった顔を崩し、最初のにこやかな顔に戻り『ではティアを助けてくれた褒美とこれからの事を話しようか』と切り出した。




