シナリオⅣ 2 後章 第9話〈後編〉
シナリオⅣ 2.19〈愛は約束、愛は思い出の品。一度与えられると、忘れ去られることはない。決して愛を失くしてしまわぬように〉
Love is a promise, love is a souvenir, once given never forgotten,never let it disappear
草創歴0449年8月(8/29)〈後編〉
…もう、間に合わないのか?
誰もがそう思った瞬間、その希望の光が灯った。
「あれは…何だ?」
とても小さい光であった。
それは儚き瑠璃色の光。
それに触れられた触手の一つが物質化から解き放たれ、エネルギー体を四散させながら消滅してゆく…。
そこに如何なる原理の力が働いているのかは定かではない。
「ソ…ソウマ…?」
瑠璃色の光に包まれ、上昇して行く人影。
見上げる者達は次々にその名を口にした。
その瞳に瑠璃色の光彩を宿し、その眉間に陽炎の紋様を浮かび上がらせる青年。
背には陽炎状の翅が大きく、優雅にもたなびいていた。
幽閉の檻との第一次接触を開始。
「…我は繋がれし涙 (ケプラー・ダート)なり。」
幽閉の檻を透過して侵入し、封じられし白痴の巨人との第二次接触。
ソウマの両の手が触れるや、肉塊の物質化が解除されてゆく。
「天の刻印」。
それは原始回帰へと導く均衡の力。
全ての事象を始まりへと戻す瑠璃色の光が全身に浸透してゆく…。
ほんの一瞬で、まるでその脅威が嘘であったかの如く、あの膨大な消滅エネルギーはその手の中に収まっていた。
ソウマの手の中で、パチパチと瞬く一欠片のエネルギー。
「…今度は違う形で生まれてくるんだよ。」
語り掛け、ゆっくりと手の平を閉じる。
弾け、瑠璃色の閃光が迸った。
パチィィ…ン。
そうして迸った閃光が帝国軍第弍新帝都の残骸全域に降り注ぎ始める…。
これを浴びた残る4本の触手は、同様に物質化を解除され、消滅エネルギーの残滓に戻りて四散していく。
「まさか…これがキア王家に宿りし天の刻印…それをソウマが受け継いだと言うのか…。」
感嘆するリョウ・ギアラル。
草創歴115年の「天杯騎士団」崩壊の際に、キア王家を選んだとされる「十種の刻印」の一つ。
だが、それは伝承に過ぎぬとされてきた。何かの揶揄であろうと…。
そんなリョウの元に舞い降りるソウマ。
その悲しい瞳は、死した我が妹、マゥルの亡骸を悼むものであった。
「すまない…俺の力が至らず…。」
マゥルの死に顔は穏やかであった。
「ううん、謝らないで、リョウ君。…これは仕方のない運命なんだ。僕達の命は、きっと一つに繋がっているから。」
死した命は戻らない。
次の世でまた会えるだろう。
全ては「大いなる円環」(アルス・マグナ)が定めた自然の摂理なればこそ。
だが、残骸を押し退け、地殻を打ち破り、中空に飛び出した残影があった。
半死半生の肉体で、全身を流血で赤く染めた今も、その狂気は顕在である。
彼の瞳は狂気に血走っていた…。
「お前はっ!?」
…まさか、生きていたと言うのか?ソウマは驚愕する。
肆(四)大総統の一人、ポ・チダムー。
魔人形態を辛うじて維持してはいたが、腹部からは内臓が露出し、下半身は押し潰されたまま、その損傷は計り知れない。
黒き翼竜の羽根も、皮膜が赤く焼け爛れている。
「フッフッフッ…ハッハッハッ!誰も私を殺す事など出来んのだよっ!!」
誰一人として、私を殺す決定打を持ち得ては居ない。
そして同時に、今の私では貴様らを皆殺しにするだけの力も持ち得てはいない。
…何より、その「天の刻印」とやらの存在は厄介であった。
しかし、まざまざと見せつけられた「神の卵」(アニマ・オーヴァル)の再生力…。
「…凄い力ではないかっ?この私がその力を手に入れる事が出来れば…お前のその古びた刻印の力も通じまいっ!!」
ポ・チダムーの狂気の哄笑が耳を劈く。
「待てっ!!」
貴様らに私を止める事は出来ぬ…。
それはテオ・スティーリア・タクナリの紅翼を持ってしても追い付けぬ、亜音速の飛翔であった。
ポ・チダムーは全身の再生維持を黒翼のみに傾け、その進路を西に取る。
目指すは「アルピュタス聖不可侵域」。
アイゴケロス(角獣の座)宮。
その一点のみであった…。
(^ー^)ノ9話の後編はちょっと短くてすいませーん。
次話の前後編でソウマ王子の戦いも終了ですw
ここでちょっとキャラの性格付けの説明を…ほぼ、Twitterの友人キャラの名前を使用しています。このソウマ編はとくに(笑)。初めて作った小説だけに、見返すとちょっとw進行スピード、はしょり過ぎ感が…。
でもソウマ編には思い入れがあるんで、強いステリアス編と同時進行で強いソウマ編も作りたいなぁ〜とか思ったんです。となると、赤ちゃんから始まりそう(汗)。
いつか作るかもしれませーん。(´・Д・)」敬具。




