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シナリオⅣ 2 後章 第6話〈前編〉

シナリオⅣ 2.16〈愛は約束、愛は思い出の品。一度与えられると、忘れ去られることはない。決して愛を失くしてしまわぬように〉

Love is a promise, love is a souvenir, once given never forgotten,never let it disappear


草創歴0449年8月(8/28) 〈前編〉


愛すべき者達を喪失した…。

我が寝所にもはや温もりは無い。


旧シリウス王国 (シーリウストラナー)の跡地に築かれた摩天楼。

その名は帝国軍第弍新帝都。

この「空座」にて怒りに打ち震えるあるじ、ポ・チダムーの忿怒ふんど


愚かしくも奴等は、大ハルゴニア王国 (バリショーイ・ハルゴニア・ツァールストヴォ)の奪還に勢いを得て、この帝国軍第弍新帝都に対し、包囲戦を行なう構えを見せている。

愚かしい愚民共。

愚かしい対帝国同盟「カイト」め。


「…防衛兵装の演算回路は正常に稼働中であります。生体動力ゾイマー壱號炉から伍號炉まで、出力は安定しています。」


白衣姿の「ハ蓮門」、(きん)のテクノ・ミュラー・ウェストエイトが、時系列情報開示の報告を黙々と行なう。その口調は淡々としており、まるで人形マリオネットのようだ。


彼は第弍帝国総軍に於ける錬金道(科学)を統括する立場にある。

元来は中央大陸北西部、マイルウェスト公国に出自を有する狂気の科学者であった。


「…奴らを招き入れろ。この地もろとも焦土に変えてやるのだ。」


(きん)のテクノ・ミュラー・ウェストエイトがそれに従う。


逃れ得ぬ絶望を与えてやろう。

我が領土に踏み入る愚か者共に鉄槌を下すのだ。


一方、当の対帝国同盟「カイト」は、ゾンシン・リア(追放王の中央集権国家)の「中央騎士団(セントラル・チヴィンテウアン)」を率い、同盟に参画せし「ラミナ=プロクルサトール(剣聖)」ショウ・ミンジィアングルスを迎え入れ、その戦意は高まるばかりであった。


「リア域、領主(リンズゥ)シァオジンリンより、騎士(チス)3000騎を賜わり、同盟参加に馳せ参じました。」


彼の胸の傷はまだ癒えてはいまい。

だが、その傷口はあえて残すと言う。己が未熟さを戒めんが為の、剣聖(ラミナ=プロクルサトール)としての決意に、ソウマは圧倒された。


「よく来てくれました。このソウマ・ヴァストック・キア、心からお礼を申し上げる。」


「殿下。共に第弍帝国総軍を討ち倒しましょうぞ!」


大ハルゴニア王国 (バリショーイ・ハルゴニア・ツァールストヴォ)解放戦から5日。


本陣を旧シリウス王国 (シーリウストラナー)郊外への移動を終え、タマウガードが事後策をたくし、カルラに舞い戻ったテオ・スティーリア・タクナリ。

教皇会(プロヴェデンティア)との調整役として、これに同行するヒュークリスタル・ヴォーグス。


モディアブル騎士団領(オルデン・デ・カバリュア・ドミニオ)の説得もあと一押しとの報告。

特使ディオニージ・アベデラピニャに任せる他は無し。


…なれば今こそ、決断の刻。


大ハルゴニア王国(バリショーイ・ハルゴニア・ツァールストヴォ)からは「王者(カローリ)代理」タケ・ディーカヤ・コーシカ。

「黒の兵団」(チョールヌィ・コルプス)残存兵力800余騎。指揮官(ルカヴァジーチェリ)シュン・セクレート・ラズルシェーニエ。


ザンマルコ自治区(セルフ-ガバニング・ザンマルコテリトリー)。

紅石騎兵(キャヴァリ・ソルジャー)」大隊500余騎。同盟専任長官カロン・カイン・ミスト。


アルカサンドリア(砂漠の民)。

砂炎の猟団500人。

次期族長レン・スラスト・ヴァストック。


ライラ・カルラ同盟都市。

義勇兵団400人。

代表マリュー・スティーリア。


ストラティギスト(軍師)タマウガード・スパエラ。

傭兵ギルド精鋭100名預かり。


総戦力5300の大軍勢と相成あいなり、総指揮官をソウマ・ヴァストック・キア。

その護衛補佐官としてみずのフュリエルがく。


…僕が君を護る。


フュリエルの心に偽りは無い。

(きん)のテクノ・ミュラー・ウェストエイトによって、「水の王冠」(クローネ=トロプフェン)から培養された偽りの肉体と魂。


その魂に友情と言う炎を宿してくれた君。例えそれが、今は誰も覚えておらず、今は存在せぬ者の代理だとしても…。


かたわらに馬を進めながら、フュリエルは誓う。


先陣はショウ・ミンジィアングルスが指揮する「中央騎士団(セントラル・チヴィンテウアン)」。

東洋風甲冑の装飾が神秘的な輝きを放つ、異彩の騎士(チス)達だ。


中心が前方に張り出し両翼が後退した陣形「魚鱗」にて正面位置に配す。同時に雄叫びが湧き上がった。


ラミナ=プロクルサトール(剣聖)に勝利をぉぉぉ!!中央騎士団(セントラル・チヴィンテウアンに勝利をぉぉぉ!!


戦的被害を最小限に抑えるべく、指揮系統陣形を分散。密集陣形を避け、帝国軍第弍新帝都を包囲する算段。

各々、段違いにした複列縦隊、衝軛の布陣。


対して、第弍帝国総軍の主戦力は未知数。

如何なる攻撃のすべを秘匿しているかも想像つかぬ為、総力戦に於ける全滅を避けるべく策である。


ソウマとタマウガードは左翼に付け、義勇兵400人と迎合。

その代表マリュー・スティーリアとは3年振りの再会である。

ソウマに仄かな思いを寄せる少女も、今では可憐な女性と成長した。


「微力ながら、癒しの手をお望みとあれば。」


実兄テオ・スティーリア・タクナリとは似ても似つかず。

教皇会(プロヴェデンティア)のカルラ地区サチェルドス(司祭)でもある。


「ありがとう。マリュー。」


「殿下。兄が御迷惑をお掛けしていますもの。こんな時でなければ、お会いできませんわ。」


とは言われても、今回巻き込んでしまったのはこちらだ。逆に責められているような気持ちになるソウマ。案外、それは図星なのだが。


「マリューに殿下って言われると気恥ずかしいな。昔みたいにソウマって呼んでもらいたい。」


フフフと笑うマリューであった。


…だが、帝国との戦火は切って落とされる。


地表透過ドーム開口部より順次、排出される十二星座を象った冒涜の機械獣。


ゴゴゴッッッ…キリキリキリキリィィ…。


異形の獣が各々の布陣へと突撃を開始する。


人を蹴散らし、跳ね飛ばし、その猛威を振るうも、一体、また一体と頓挫とんざしていく。


特に先陣に立つショウ・ミンジィアングルスの活躍や華々しく、人馬一体、軽やかなる太刀筋によどみは無い。


「一機たりとも討ち漏らすなっ!!」


一気呵成(ジデウアン・リチ)の刃は、彼等の一族が授かりし因子より産み出される因果律に干渉する波動。

それは「終極の聖王」(ペンディゲイド)の遺産…。


ガシャャャーーーン!!


瞬く間に3体目の機械獣をほふり、打ち砕き、包囲網を縮めてゆく。


「止まるなっ…開口部を叩けっ!!」


ショウ・ミンジィアングルスの号令を受け、中央騎士団(セントラル・チヴィンテウアンが怒濤の勢いを崩さず、円環状外壁区画に到達する。


と、外壁が展開し放熱板を形成、輪状超電磁粒子加速器がせり上がる。

その数、百機。


「ちいっ!!奴らに撃たせるなっ!!」


外壁に沿って配された固定型(フェブリス)砲塔。

自動装填される積層型湾曲封入弾頭。

射角演算は半生体演算回路に組み込まれし「煌王サハド・ジ・ハドXⅢ世」が兵装制御を統括演算。標的を捕捉する。


火線が火を吹く。


ドドドドォォォーーーォォォン!!


高度圧縮された弾頭の貫通力は、空間を湾曲させ特異点の渦を生じさせる。

この為、物理的防御率は極めて低下し、防ぐ手だては無いかに思われた。


「…っ!?」


だが、その全ての火線が一点に集約され、上空で弾け、轟音をわななかせる。


「窮地に一生とはこの事ですね…アレが何とか間に合いましたか。」


頭上を見上げるタマウガードが安堵の溜息をつく。

ヴィワン諜報機関の解析技術提供を得て、事前情報に基づき、カルラで製造を続けていた「フルグル・ヴィルガー(誘導避雷針)」の稼働目処がついた為、タマウガードが投入を決定したのだ。


とは言え、稼働限界がある為に再度の使用は不可能だ。

本陣後方に急ごしらえで増設された尖塔型誘導路。これに隣接する接続台座が、激しい火花を放つ。


『…予定通り中央騎士団(セントラル・チヴィンテウアンは区画に突入を!他布陣はこの隙に砲台破壊を第一目標にせよっ!』


ソウマの指令が、マリュー・スティーリアによる精神感応術式による魔道通信札によって伝達され、放射を続ける砲塔を順次破壊していく。


ソウマもまた、その一つを「聖骸銃(アシャクルーン)」を用いて破壊した瞬間、彼の身に紫電の鞭が襲いかかるのであった…。

(・ω・)ノポチ君との対決間近w

6話から文章量の関係で前後編になっちゃいます。( ̄^ ̄)ゞすみません。

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