表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
14/27

1-11





 その後、深と花南はエレベーターで地下へ降りた。

 訓練場と呼ばれる部屋は、地下とは思えないほど広い。まるで体育館のような空間だった。

 しかし、2人が中に入っても人影はない。


「あっ、あっちだ。ほら、行くよ!」


 花南はガラス越しに見える隣のウェイトトレーニング室を指差した。

 深も後について行く。


 その部屋には春、瞬、礼子の3人のほかにも20名近い女性たちがいた。談笑したり、ウェイトトレーニングをしたりしている者もいるが、むしろ疲れ果てて動けずに休んでいる人間のほうが多い。

 ウェイト室のドアを開け、花南が中を見渡す。


「いたいたッ!」


 その声に10人ほどが振り返ったが、花南は気にせず奥へ向かっていく。深も適当に会釈しながら後を追った。

 部屋の一番奥にいた3人組へ近づくと、花南が疲れ切った様子の彼女たちに声をかける。


「ねぇねぇ、みんな! 昨日言ってた子、早速連れてきちゃった!」

「うそ、早ッ! でもほんとに男の子なんだね」


 瞬がまじまじと深を見つめる。

 その視線に気まずさを覚えながら、深は花南へ声をかけた。


「えーと……この方々は?」

「この人たちが私の班のメンバー。つまり、深君と同じ班のメンバーだよ。この人が渡部春さん」


 黒いロングヘアーの女性が軽く会釈した。


「よろしくね、深君」


 深も会釈を返す。


「こちらが佐久間瞬さん」

「よろしく」


 茶髪ショートの女性が軽く手を挙げた。

 深も再び頭を下げる。


「この2人は年上だよ。年齢は言わないでおくから、自分で聞き出してね」


 瞬が花南のすねを軽く蹴り、その場に笑いが起こった。

 そして花南が最後の1人を指差す。


「で、この子が新山礼子ちゃん。歳いくつだっけ?」

「21ですぅ。よろしくお願いしますぅ」


 礼子が深々と頭を下げ、深も慌てて頭を下げ返した。


「じゃあ、自分のひとつ下になりますね。よろしくお願いします」


 そして花南が続ける。


「とりあえず、何かあったらこの人たちに聞く感じでお願いね。あと、この人たちは……」


 花南は腕を回しながら周囲を示した。

 そこには、彼らを囲むように10代から20代と思われる女性たちが興味津々といった様子で立っている。

 深も振り返った。


「しばらく一緒にカリキュラムをこなすメンバー。私の担当じゃないけど、もしかしたらそのうち任務で合同チーム組むかもね」


 女性たちに、深も軽く頭を下げて応じる。

 その後、年齢や住んでいる場所、彼女の有無など他愛ない質問が飛び交い、しばらくすると多くの女性たちは元の場所へ戻っていった。


 頃合いを見て、花南が3人に尋ねる。


「んでね、明日からなんだけど、どうしよう。深君っていきなり合流なのかな? 誰か長谷川さんに聞いた?」


 ベンチプレス台にもたれながら、春が思い出すように答えた。


「あっ、なんか午前中はしばらく別カリキュラムらしいわよ。講習とかじゃない?

 でも午後はまだ未定って言ってた。本人に聞いてみたら? まだいるんじゃないかな」

「そうですね。じゃ、長谷川さんのとこ行ってきます。みんなはもう帰るんですか?」


 今度は瞬が答える。

 Tシャツから見える両腕にはところどころ青あざができていたが、訓練によるものだろうと深は何も聞かないことにした。


「うん。休憩終わり。やっと動けそう……今日も2時間くらいで全滅だったのよ。私たちさっきまで完全にダウンしてたし。長谷川さんは相変わらずピンピンしてるし。ほんと自信なくすって」

「そうね。深君にも会えたし、帰って寝るとするわ。もう疲労困憊」


 春が落ち着いた声で続ける。

 その間に、瞬がへたり込んでいる礼子の腕を引っ張った。


「ほらっ、礼子。動ける?」

「はい……なんとか……」


 礼子がよろよろと立ち上がる。

 その様子を見ながら、深はどれほど過酷な訓練なのかと不安になった。

 腕中にあざを作っている瞬も含め、詳しく話を聞きたい気持ちはあったが、花南が別れの挨拶を始めたため、深もそれに合わせてウェイト室を後にした。


「ね? いい人たちでしょ?」


 部屋を出ると、花南が歩きながら尋ねる。


「まぁね。なんとかやっていけそうだよ。次は? その長谷川さんって人?」

「うん。新人育成トレーニングの担当官の人。さっきの人たちをあそこまでへとへとにさせた人だよ。でも見たらびっくりするよ。すごい綺麗な人なんだから」


 深は軽く笑った。



「期待しとくよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ