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Lesson79 『女は無難な弾除け。』

俺も男だ。

安女郎程度であれば何度か買った事がある。

(貧窮の身にとってはキツい出費だったが。)

安かろう悪かろうとはよく言ったもので、あまり性産業にいい感情を持っていない。

もしも俺が大店の放蕩息子であれば、もっと異なる視点を持っていたのだろうか…



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「うわー♡

テッドさんもそういうお店行くんですねー♪」



『…。』



「ねえ、テッドさん怒ってます?」



『いえ、怒ってはいませんよ(怒)』



「あはは、ごめんなさい♡

反省はしてるんです。

これっきり、これっきりですから♪」



正気の沙汰ではない。

通行許可を得ているとは言え帝国は敵国である。

こともあろうに、俺はその敵国に娼婦の募集へ向かうのだ。

いや、そこまでは軍務支援と思えば、まだある話だ。

…だが、そんな旅に女を同行させるのは道義的に問題があるのではないだろうか。



「クラークさん。」



『はい♪』



「何度も繰り返しますが、御婦人が女衒の真似などしてはなりません。

関わるのも駄目です。」



『はい、2度としません♥』



俺も流石にこの歳なので、他人の魂胆はある程度読める。

相手がドワーフやゴブリンや皇帝であっても、コミニュケーションを重ねれば行動の意図は何となく察することが出来る。

だが、このリコ・クラークだけは本当に分からない。

仮にも嫁入り前の娘さんだぞ。

あまりに放埓が過ぎるのではないだろうか。



「テッドさんに怒られるのを覚悟で申し上げますが♪」



『ですから、別に怒ってはおりません(怒)』



「私が居た方がミッションの成功率が上がりますよ♪」



なーにがミッションだ。

と言ってやりたいのだが、頭では俺も理解している。

今回の女衒仕事は女連れの方が上手く行く。

ましてやクラークは異様に頭が切れる上に弁が立ち、おまけに都市貴族特有の気品もある。

はっきり言って俺なんかより遥かに適性があるのだ。

女を扱うタスクなら、気の回る女を前面に出すのが正解なのだろうな。

かつてスタインが求婚したというエッダ嬢を見て、そう思うようになった。


聞けばエッダ嬢。

元々は夜鷹の遺児であり容姿もあまり良くないことから、当時の楼主が奴隷市場送りを考えていたそうなのだが、機転と思慮が卓絶しており、禿の時代から特別待遇されていたとのこと。

(但し同性からはその価値が全く理解して貰えないらしい。)

普段はスタイン直属の高級酌婦として事業主連中の世話をしているらしい。

今は役人との折衝まで任される事もあるのだから大したものである。


恐らくこのクラークも上手くやってしまうだろう。

少なくとも関所での遣り取りは見事なもので、瞬時にして帝国役人の信頼を勝ち取ってしまった。



「私、頑張ります♪」



『…そうですね。

頼りにしております。』



「うふふ、怒ってます?」



『自分の不甲斐なさには日々腹立たしく思ってますよ。』



クラークは俺と目を合わせたまま必死に笑いを堪えている。



『貴方に対して怒っている訳ではありません。

親御さんに対して申し訳ないと感じているだけです。』



「お父様にはテッドさんとの関係をちゃんと報告しています。」



『え?』



あれ?

今、この女は何と言った?



『クラークさん、私はそのような報告を受けてません!

詳しく事情を話して下さい!』



「あ、テッドさん♪

見えて来ましたよー♥

あれがシュタインブルク城ですか、大きいですねー♪」



前から薄々思っていたが…

この女はあれこれと誤魔化すのが上手いよな。

認めたくはないが、今回の娼婦集めなんかは適任なのかも知れない。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



王国が対帝国の防衛拠点としてグリーンタウンを築城したように、帝国も対王国戦の拠点を長年に渡って拡張し続けて来た。

それが、俺達の眼前にそびえ立つ巨城シュタインブルク城である。

王国軍の総攻撃を3度も撃退した難攻不落の大要塞。

素人目にも、これを陥落させるのが不可能に近いことが理解出来る。

東側の切り立った山脈の尾根沿いには支城が4基築かれ、西側の湖(人口湖か?)は天然の水堀。

高く聳える楼門には無数の矢狭間。

そして脇を固める尖塔の上には、ここからでも肉眼で見えるほど巨大なバリスタが配置されている。



「おい!

あまりジロジロ見るな!!」



無遠慮に眺めていた所為か門番に注意された。



『あ、すみません。』



「条約が再締結されたと言っても、俺達が王国人を信じる理由は何1つないんだからな!」



厳しく釘を刺される。

まあな。

先の休戦条約破り。

やられた方からしたら憎しみしかないよな。

幾ら通行証を持っているとは言え、門番の彼からすれば一言言わずにはいられなかったのだろう。



「主人が申し訳御座いません。」



『え?』



「ああ、奥さん。

一応ここは軍事施設ですから。

あまりキョロキョロしないようにお願いしますよ。

ただでさえ合戦の直後です。

王国の方はスパイと間違われても仕方ない状況なのですからね。」



『え? ちが…』



「はい、御注意に感謝致します。

主人には厳しく言っておきますので。」



「アンタ、いい奥さん持ったじゃない。

ちゃんと言う事を聞かなきゃ駄目だよー。」



『え?え?え?』



「よし、書類上は問題ないな。

奥さんに免じて通してやるから、くれぐれも言動には細心の注意を払うように。」



『え? あ、はい。』



釈然としないのだが、門をあっさりと通されてしまう。

御者台の隣でクラークが笑いを必死で堪えているのが腹立たしい。



「奥さんです♪」



『…違います。』



「そうでしょうか?」



言いながらクラークは通行証を広げる。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【通行確認欄】



「備考」


先触+ケーニッヒ家の保証印を確認した為、通行を許可した。

乗員はテッド・ウォーカーとその妻リコの2名。

荷台検査するも異常なし。



「確認者」


シュタインブルク城西側通用門

警備主任 マクシミリアン・ネッケ曹長



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『え?

ちょ!?』



「さあ、テッドさん。

市街区画に入りますよー♪」



『いや!

ちょ!!』



抗議する俺だが、またもやクラークの舌先三寸に言いくるめられてしまう。

曰く、娼婦募集のような蔑まれる作業は男性が単独で行うよりも、夫婦で取り組んだ方が円滑に進むとのこと。



「だから大丈夫です♪」



いや、俺が御両親に申し訳が立たないという話をしているのだが。

社会通念上、100%のアウトだろ。



『…。』



「なるほどー。

やはりシュタインブルク城を通らないと周辺領地へ行けないですね。

あ、テッドさん!

ケーニッヒ伯爵領は右折ですよ。」



『…はい。』



結局、この日はシュタインブルク城で厩舎付きの宿屋を借りて宿泊することになる。

胡桃亭などとは比べ物にならない豪華な宿なので一瞬考えてしまうが、冷静に考えれば妙齢の女子を連れて安宿に泊まる訳にはイカンか…



「この翡翠亭はシュタインブルク城築城に功があったバルツァー家が男爵位と共に敷地を与えられた宿なんです。

この街では一番の老舗なんですよ♪」



『どうして、そんな事を御存知なのですか?』



「地理年鑑に記載されてました♪」



『…。』



受付嬢業務を総括しているクラークは元々地理関係の書籍を全て読み込み、簡略化して同僚全員に教え込んでいたらしい。

(どうりで受付嬢のナビが行き届いている筈である。)

そして今回のミッションを知ると同時に書庫に飛び込み、帝国の国境際に関する箇所を手早く暗記してきたとのこと。

なので彼女は最初からシュタインブルク城周辺の地形から始まり、歴史や名所、果ては名物スイーツまで知り尽くしている。

…もうライオネル将軍の後任はこの女でいいんじゃないかな。



「いえいえ、帝国に関する巻はテッドさんが【保護】した書籍ですから。

寧ろテッドさんの功績ですよ。」



ああ、そういうことか。

瓦礫撤去と称して窃取した書籍群の中に帝国について記述した巻も含まれていたらしい。

(厳密に言えば軍籍にない者には閲覧資格がないそうだ。)



「つまりテッドさんと私の共同作業です♥」



『…。』



「共同作業です♥」



『…はい。』



いや、自分でも理解はしているのだ。

俺とクラークは親和性が非常に高い。

ぶっちゃけて言えば、この女がサポートに回ってくれるのなら、俺1人で冒険者業は成立してしまうほどに親和性が高い。

何なら他の連中の世話をしなくて済む分、この女とツーマンセルでいる方が儲かるまである。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



翌朝。

朝食をゆっくり済ませてから、人通りの増えた時間帯を見計らって馬車で出発。

スパイの嫌疑を掛けられるのが怖いので、不用意に街を見物せずにケーニッヒ領を目指す。



「目指すと言っても3時間も走れば到着します。

ロードサイドには厩舎も2件営業してますし昼過ぎには着きますよ♪」



『あ、はい。

詳しいですね。』



俺が王国諜報部なら帝国偵察員にはこの女を指名する。



「左手にルドルフ廟が見えて来ましたよー。

流石にこの季節は参拝客が多いですね。」



『あ、はい。』



それが何なのかは知らないが、クラークの脳内にこの付近の名所旧跡がインプットされている事は理解出来た。

途中、何度か警邏兵に呼び止められるがクラークが前面に出ることで、すんなり通して貰える。

俺1人なら間違いなく屯所まで連行されていただろうなぁ…



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「この橋を渡ればケーニッヒ伯爵領です♪」



『思ったより早く着きましたね。』



「うふふ♪」



『…私一人なら、ここまですんなり来れなかったです。』



クラークは少し笑ってから前に向き直る。

やっぱりトムを連れてくれば良かった。


さて、お仕事お仕事。

まずケーニッヒ城を訪問し、執事のセバスチャン氏に卿から託された書簡を渡さなければならない。

書簡の内容が賤業に関わることなので、あくまで内々に進めなくてはならない。



「ウォーカーさん。

こちらです!」



『おお、グッドマン支部長。

お疲れ様です。』



伝書鷹で俺の来訪は知らされていたようで、冒険者達が街道沿いのコテージで迎えてくれた。

セバスチャン氏の配下の連絡員も待機しており、早速打ち合わせとなる。



「テッド・ウォーカー殿。

御屋形様から概ねの指令は受けております。

内容が内容だけに城内での歓待は出来ませんが、その点はご容赦下さい。」



『ええ、承知しております。

私も内々の任務と考えておりますので。』



連絡員に選ばれるだけあって優秀な男で、ざっくりとしたリサーチは終えていた。



「セバスチャン部長も王国系の娼婦を陣中に入れる事には反対しておりました。

スパイやハニートラップが怖いですからな。

ああ、別にウォーカー殿に含むところはありません!

その点はご承知下さい。」



『いえ、妥当な御意見だと思います。』



今回のミッションは至ってシンプル。


【王国人の女衒(俺のことね)が泣いて頼むので

妓楼主としての従軍資格を試験的に発行してやった。】


このシナリオ沿って動くこと。

(帝国軍の威信が掛かっているので逸脱は許されない。)

ケーニッヒ卿はこのタテマエで帝国人娼婦をグリーンタウンに呼ぶ。

これなら何か問題が起きても俺に所為に出来るので帝国側のダメージは低い。

ケーニッヒ卿の上司である侍従長にも話は通ってるし、連絡員氏の口ぶりからして皇帝もこのアプローチには興味を持っているようだった。



「これは独り言ですが、もう道筋はこちらで立てております。」



『え?

そうなんですか?

申し訳ありません。』



「いえいえ。

但し…」



『はい、全て私の独断でやった事です。』



「その線は絶対に崩さないで下さいね。」



既にケーニッヒ家中では妓楼の選定が終了しており、書面には残してないものの内諾は得ているとのこと。

まあ、そりゃあそうか。

領内で敵国人にウロチョロされたくないよな。



「ドライゼ一家というのが郊外に娼館を構えております。

気の荒いのが欠点なのですが、愛国心が強く従軍経験も長いことを理由に選定しました。

最小限の話だけを通しております。」



『そこに訪問すれば良いのですね。』



「ええ、くどいようですが…

あくまでウォーカー殿が探し当てた体でお願いしますよ。

分かってますね?」



『はい、ここでの会話を広言しないことを約束します。

また如何なる公文書にも伯爵閣下の体面が傷付く文章が残らないよう細心の注意を払います。』



「話が早くて助かります。

御屋形様から信頼される訳ですな。」



最後に連絡員氏はズッシリと重い金貨袋を無言で手渡してくる。



『え?

頂けるのですか?

ありがとうございます。』



「はて、何のことですかな?

それでは私はこれで。」



なるほど。

記録に残さないチップをくれてやるから、くれぐれも馬鹿な言動は慎めということか。

使者氏が帰った後に金貨袋を開けると、ご丁寧に王国金貨が50枚詰まっている。



『クラークさん、50という数字の根拠は?』



「ええ、きっちり半金。

それも前金というニュアンスでしょうね。」



聡い女は疎ましく感じる事が多いのだが、仕事の話が円滑に進むのは有難い。



『この金貨の使い道はどうしましょう?』



「グットマン支部長達に1人1枚ずつの特別手当。

残りは帳簿に残さない機密費という事にしましょう。」



妥当な判断と感じたので、仲間にボーナスを払った残りをクラークに託す。



「え、私ですか?

どうして?」



その困った顔が見たかったからだよ。

散々俺を振り回しやがって。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



伝令氏が言っていた通り、楼主のドライゼ社長は猛々しい顔付きの壮漢だった。



「俺の親父は王国軍に殺された。

叔父貴と妹婿もだ。」



それが第一声。



「本当は王国野郎なんざに手を貸すなんて有り得ないんだが…

伯爵様の為になるなら我慢もしよう。」



『ありがとうございます。』



「一応念を押しておくが!

今回の件、伯爵様を陥れる為の計略ではあるまいな?」



『いえ、私もケーニッヒ閣下にはお世話になっておりますし。』



「もしも卑劣な策略だった場合、その首を斬り落としてやるからな!」



逆にこの遣り取りでドライゼ社長が信に足る男であると理解出来た。

連絡員氏は【気が荒い】と評していたが、俺は違うと思う。

この男は一本気なのだ。


なので、こちらも腹を割って話す。

帝国軍に王国の女衒が入った場合、必ず問題が発生する。

発生すれば市街戦に雪崩込む確率が高い。

俺はそれを防ぎたいのだ、と。



「それはおかしい!

キサマら王国人にとっては街を奪還する口実になるのではないか?

寧ろ、揉め事の火種を放り込んだ方がキサマらの国益ではないのか?」



ふむ。

口先だけの愛国屋ではないようだ。

ちゃんとメタ的な視点で状況を理解している。


俺としては王国に奪還されては困るんだよ。

年貢を誤魔化した直後だからな。

何としても有耶無耶にしたい。

その為には、出来るだけこの膠着状態を長引かせて、権力の空白を広げなくてはならないのだ。


俺達冒険者は本質において生産者の集まり。

なので、政府が無くとも土地さえあれば富は蓄積出来るのだ。

いや、もっとハッキリ言おう。

王国であれ帝国であれ、政府という名の泥棒は不要。

本音を言えば両軍相討ちで絶滅して欲しい。

だが、流石に現実的ではないので次善を目指す。

それが王国領でも帝国領でも無い状態だ。


その為にも、帝国軍に簡単に撤兵されては困る。

俺達地元民にとって都合の良いお客様として、ズルズル駐屯して貰わねばな。



「答えろ!

何故、王国人のキサマが帝国を助ける!

不自然だろうが!」



『いやー、私は無学なので難しい事は分からないのです。

今回は偉い人達がご褒美を下さると仰ったので柄にもなく頑張っております。』



「…。」



駄目か…

一応、こういうシナリオではあるのだが。



「1つ教えといてやる。」



『あ、はい。』



「無学を装いたいのなら賢ぶれ。」



『…勉強になります。』



参ったな。

俺の好きなタイプの男だ。



「娼婦を集める事は可能だ。

弊社には大型馬車もあるし、グリーンタウンまでの走行にも問題はない。

また、我が国の軍隊相手の商いであれば経験もあるから、実務に差し支える事はない。」



『はい。』



「但し、条件がある。」



『あ、はい。』



「娼婦とは言え帝国の女を王国人風情に抱かせたくはない。」



『ええ、仰ること理解出来ます。』



「王国軍への営業は絶対に禁止!

加えて!

娼婦達が現地で侮辱されないよう心配りをせよ!」



うーん、難しいな。

外国から来た娼婦なんて、地元民からすれば好奇や差別の対象だからな。

街が分断されているとはいえ、王国兵の目にとまれば冷やかされるくらいは普通にあり得るだろう。

だが、ドライゼにはそれが我慢出来ないのだ。

何せ王国軍は身内の仇だからな。



「その措置が取れないなら、こちらも協力は最小限に留めざるを得ない。」



『…いや、善処しますが。』



「我々の求めているのは結果の確約であって、努力のポーズではない!」



参ったな。

連絡員氏は話が付いたと言っていたが、それはあくまで伯爵家とドライゼの間ということらしい。


あまりに強硬な姿勢を受けて、俺が仕切り直しの為の退去を申し出ようとした時だった。

不意にクラークが口を開く。



「尊厳保持は可能です♪」



「…ほう。

断言するじゃないか。」



「我々冒険者になら簡単なことです♪」



「…ぼうけんしゃ?」



クラークは奥の小部屋で控えている初老の婦人に「少しだけ宜しいでしょうか。」と声を掛ける。

どうやらドライゼの妻らしかった。



「女房には関係ないだろう!」



「お言葉ですが。

女同士で探った落とし所なら、従業員の皆様にとっても悪い目では無いと思います。」



ああ言えばこう言う女だ。

個人的には小癪だが、交渉現場では最も有用なタイプ。



「…妹も呼ぶ。

経理を任せている関係もあって、女房以上に実務には詳しい。」



ため息を吐きながら、ドライゼは妻と妹を紹介してくれた。

そのまま小部屋に入り3人でワチャワチャと談笑している。


女同士の井戸端会議に毒気を抜かれたのか、ドライゼは俺にソファーを勧め、ウイスキーを注いでくれた。


俺達は男なので、あんな風に姦しく仲良しポーズを取る必要もなく、一度だけグラスを鳴らして契約の成立に替えた。



『ドライゼ社長。』



「んー?」



『私は社長ほど愛国心が無いんです。

信じて貰えないかも知れませんが、グリーンタウンの落城を見ても悔しいとか哀しいとか感じませんでした。』



「…。」



『社長みたいに生真面目な方からすると、そこは不信を買ってしまうかな、と。』



「ウォーカー。」



『はい。』



やれやれ、腹の内が完全に読まれているな。



「キサマの自己実現に我が祖国を利用するな。

それもまた侮辱だ。」



『…申し訳ありません。』



「勘違いするなよ。

これからキサマを助けるのは、それが祖国の国益に繋がると踏んだからだ。

念を押しておくが伯爵様は聡明な御方だ。

キサマの魂胆など全て見抜いておられるからな。」



『それは恐ろしいことです。』



女達が笑みを浮かべて戻って来る。

途中から小声になったと言う事はコイツら同士の魂胆が合意に至ったのだろう。


妻と妹が上機嫌で語る提案を無視して、ドライゼは立ち上がり背筋を伸ばした。



「…。」



『…。』



俺達は空になったグラスを軽く鳴らすと、それぞれの手筈に戻った。




Lesson79 『女は無難な弾除け。』

【名前】


テッド・ウォーカー



【職業】


女衒

冒険者

神聖教団信者総代

フカヒレの人

ウナギの人

黒鍬者



【スキル】


食材鑑定

高速学習

ウナギ捕獲



【資産】


銀貨19枚

鉄貨62枚



【所持品】


折り畳み釣り竿

簡易テント

大型リュック

万能ナイフ

ポートフォリオ

騎士用手袋

トラバサミ

ハンモック

業務用肉醤製造セット

荷馬車

討伐チップ (ウナギ)

ゴブリン漁網

ブンゴロド通行証

ドワーフ式の軍用テント

グリーン図書館蔵書 (2万2918冊)

帝国通行証

身分証明証



【生産可能品目】


山椒粉

フカヒレ

ラー油

肉醤

ジャガイモ (少量)

ウナ肝

マーガリン

墓穴



【ポートフォリオ】


ホーンラビット

スライム

サンドシャーク

山椒

ドブネズミ

薬草概要

蝶類概要

風琴鳥

ドワーフ

蛇モグラ

廃棄物処理法

ウナギ

ジャム

バター

共和制




【仲間】


ジェフリー・フィッシャー  (漁師)

キース・ポーター      (運送業)

レオナ・レオナール     (受付嬢)

グスタフ・グリルパルツァー (狩人)

トーマス・トンプソン    (バディ)

ヘレン・ヘイスティング   (冒険者)

ノリス・ノーチラス     (修理屋)

ハンス・ハックマン     (農夫)

マーガレット・リンドバーグ (油脂製品製造業)

グレッグ・グッドマン    (支部長)

テルマ・テイマー      (飼育員)

^7@7@:;++         (先導者)

ブルース・ボブソン     (漬物職人)

クロード・クーパー     (田舎支部長)

ケヴィン・コリンズ     (宿屋の入婿)

ドミニク・ドライゼ     (風俗店経営)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



(あとがき)


最後までお読みいただきありがとうございました。

このLesson(教訓)が有意義であったと感じていただけましたら、冒険の道標としてページ下部の【☆☆☆☆☆】やブックマークで評価して下さると幸いです。


ご安全に。

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