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課長の邂逅 1

悪役令嬢の投稿先を間違えたので、急きょ書きかけのものを投稿いたします。

ですので、分割~。

俺は高橋哲哉。若くして某会社の課長を勤めている。

実力も悪くないが、人を動かし全体の業績を上げる能力を評価されたらしい。

そして、俺の指導者としての能力を明らかにさせたのが、営業から移動してきた麻生奏だ。営業成績は上位だったが、暗い。営業に出ると羽が生えたように生き生きと契約を結び、帰ってくると闇を背負ったようになるという。

理由は容姿が良いので女性社員にアプローチされまくった挙げ句、女性恐怖症になったとか。

そこで、社内一イケメンと言われる中島がいるこの部署に来たという訳だ。

元々、俺は以前から麻生と知り合いだった。行きつけの書店のバイト店員で、一見軽そうな大学生に見えたが、目の色が知的で会話の引き出しも多い。

現に、部長など上役の話し相手に引っ張りだこだ。

そんな麻生が、一人の女性にベタ惚れな場面を見たのは、本当に偶然だった。

飲み会をドタキャンされた次の日、麻生がずっと一人を見つめているのに気づいたのだ。麻生の教育係を任せた川崎である。案の定、目の色が違う。目は口ほどにものをいうと言うが、その通りなのだろう。

そしてしばらくして、麻生は動いた。効果的な口説き方を計算した末なのか、あからさまに好意をひけらかした。川崎のようなタイプには、中途半端に逃げ場があると攻略は難しい。

もちろん場を預かる立場として、部下を守るため麻生の暴走が酷くなる前に止めはするが、基本俺は麻生を止めない。

それは、昔からの借りがあり、嫁との間を取り持ってくれたのが麻生だったからだ。

だから、麻生が俺を頼る日があれば、出来うる事はしたいと思っていた。





そう、あれは6年ほど前だった。

購入傾向からか、麻生は俺の趣味を見抜き、度々仕事帰りに食事をしながらオススメ本を紹介してくれていた。レジで言わないのは、優しさだろう。

そんなある日、俺は思いきって麻生に頭を下げた。


「麻生くん、頼みがあるんだが」

「はい、なんでしょう」

「一緒に、メイド喫茶に行ってくれないか!?」


そう、俺の趣味は俗にいうヲタクだ。アキバ系ヲタク、サブカルチャーにあたる。

麻生くんオススメメモには、ロリッ子魔法少女や、ゴスロリ少女本が並んでいる。そういったものは全てネットで買うのに、この年下大学生には丸わかりなのだろう。

そんな俺は、1度もメイド喫茶に行った事がなかった。猫喫茶にも憧れる。

正直、麻生くんには関係のない話だ。付き合う必要もないのだが、俺は麻生くんにしかこの趣味を話していなかった。過去に何度か親友に言おうとしたが、その前に諦めた。


「いいですよ」

「やっぱりダメだよな……ん?」

「構いませんよ。 いつ行きますか? 店決まってなければ、俺が探しておきますが…」


にこりと笑って麻生くんはスマホを操作する。


「〇〇駅の………という店なんだが」

「…………ですか。 あ、今週末にイベントあるそうですよ。 今友達からも、いい店だと返事きました」


なんという交遊関係だろう。以前、俺もヲタク仲間を探して仲良くなろうとしたが、逃げるように拒否られた事がある。


「じゃあ、今週末で!」

「判りました、高橋氏」


ここまで詳しいとは!

端からみたら、俺は気持ち悪いほど破顔しているだろう。


「よろしくな、麻生氏」









そして週末が来た。

俺は意気揚々と麻生くんを待っていた。だから、周りの声なんて耳に入らない。


「……な、んですか、その格好は」


スマホ片手にやって来た麻生くんは、服のセンスもいい。

だが、いつもは爽やかな表情が、訝しげに変わっている。そんなに変だろうか。

特に、アニメ「ラブもえ」の樹里たんのシャツはお気に入りなんだが。


「そんなテンプレ、2次元にしかいませんよ。 まずは服見に行きましょう」


麻生くんが、着ていた上着を俺に着せ、前をかるく閉じる。

上目遣いで俺を伺うような視線に、同性ながらクラッときそうになった。大学生のくせに色気半端ねえな。オジサン将来が心配になるよ。

樹里たんは、すっかり封印されてしまった。残念。


それから、俺たちは幾度か逆ナンをされつつ服を購入した。

元々センスの悪い俺は、麻生くんのレクチャーで何着が購入する。値段も、普段着1つで2着買えるくらいだったので、調子に乗ってしまった。


「高橋さんはイケメンなんですから、プチプラでも十分なんです」


そう言われ、髪を軽くワックスで整えられた俺は、ちょっとしたモデルに見えた。本気で麻生くんの将来が恐ろしい。

それから、俺たちは目当てのメイド喫茶に向かった。



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