元同僚の動揺
先日、活動報告に投稿したものです。
話の筋としては、短編の方の後です。
帰宅途中の道すがら、ふと目についた公園のベンチで、眠る人影を見つけた。
不用心だなぁと近づくと、見覚えのある人物だった。
さて、誰だったかと首をひねると、厄介な後輩を思い出す。
そうだ、こじらせた片思いを自覚して惚気メールを送ってくる後輩の写メでたびたび映っている人だ。
確か、後輩の同僚でイケメンツートップの中島という名前だったか。
バレンタインには机に引き出しにチョコレートが山積みという少女マンガを地で行く人物らしい。
「あの~、中島さん?こんなところで寝てたら危ないですよ。物取りとか、おやじ狩りとか」
どう見ても自分より年下なので、おやじ狩りはないだろうと思うが一応声をかけて肩を揺らす。
「ん……」
いやいやと首を振る姿が、酔っ払いなのにイケメンだ。
「家はどこですか?送りますよ」
返事はない。仕方ないので、こんな時にこそ役に立てよと元同僚に連絡を入れる。
だが、電話も出ない、メールも返事がない。
もう金輪際協力してやらんぞ!
「仕方ないな、うち来ます?」
「……ん」
肯定と受け止め、肩を貸して立ち上がらせる。
すると、イケメンはするりと私から離れ、ヘラヘラと笑う。
うん、歩けるならお役御免だな。
前言撤回して、私はイケメンに買ったばかりの水を渡し、その場を去った。
もう、会うこともないだろう。
だが、このイケメンは私に付いてきた。
このまま交番へ行っておまわりさんに任せようか。
そう思ったとたん、グッと手をつかまれる。
「な、なんですか!?」
「俺の家、こっちだから」
「はぁ……」
つまり送れってことか。
明日は遅番だし、弁当もあるし、多少は心配だし見送るくらいはしてもいい。
元同僚麻生くんもそれなりにイケメンだと思ったが、目の前のキラキライケメンは別格だと思った。正直眼福だ。
それに、たどり着いたのは、自分の住む家の近くにあるマンション。
キラキライケメンにはマンションが似合うな、と思った。
「ここまできたら安心ですね。それでは私はこれで」
「………」
とろん、とした目がこちらを向く。どうしたのかと首をかしげると、鼻元でシトラス系香水の匂いがした。
ついで、頬に当たるやわらかい感触。
「!!!!????」
「送ってくれてありがとう」
こいつ一体なにしやがった!!同僚経由で知っているだけの初対面なんですけどっ?!
「何しやがった」
「お礼だけど?」
「お礼で頬に……って」
「会社の女子が、よくお礼は頬にキスでっていうから。普段は断るんだけど、あのまま寝てたら体調崩しただろうし、身ぐるみはがされただろうし…」
だから、有難う。
酔っ払いの、毒気ゼロな笑顔に、苛立ちが呆れに変わっていく。
「ああそうだ、俺、こういった者です」
何故か、イケメンが鞄から名刺を取り出し差し出す。
その動作に、私も反射的に鞄から名刺を取り出した。職業病って怖いわ。
名刺には、元同僚と同じ会社名部署名が書かれている。
イケメンは私の名刺を胸ポケットにおさめると、ぺこりと頭を下げて中へ入っていった。
それから、私は念のため元同僚に、寝てるところを起こした、家まで送った、水を上げた、以上とメールを送っておいた。
きっと記憶がない状態で名刺を見つけたら、焦るだろうと思ったからだ。
だが、後日お詫びの菓子折りを持ってやってきたイケメンが現れて、後悔したのはいうまでもない。
こちらは、全く手を加えておりません。
活動報告のままでございます。一応、同僚×元同僚編の序章的な感じになるかと。
しかし、同僚の性格など設定が固まっていないので、もうちょい固まってから始めたいと思います。
次は、課長夫妻の閑話を作成中です。




