本文2-2.修道院院長に、結婚相手が決まったと告げられる(1000字)
礼拝が終わると、修道院の院長はマルグリットを手招きした。
そして、やってきたマルグリットに対し、院長はジェスチャーでこう伝えた。
「終課(一日の終わりの最後の祈り)の後で、談話室に来なさい」
マルグリットは承知しました、とジェスチャーを返し、礼拝所を出た。
それからも、よほど平静を装っていたが、マルグリットの心中は穏やかでなかった。
というのも、就寝時刻に呼び出しを受けることは非常に稀だったからである。
意識しないうちに、何か重大なやらかしを犯していたのだろうか。それとも、ボンヌとの会話が知られてしまった?いやいや、それではボンヌが呼び出しを受けていないことの説明がつかない……。
先ほどの院長の目つきが、いつもと違って見えたのも気がかりだった。少し目を見開いて興奮しているようだったのだ。いったいどうしたことだろう。
マルグリットはすっかり考え込んでしまい、その日の作業がまるで手につかなかった。
そして夜になり、終課を済ませた修道女たちが寝室へ移動した時に、マルグリットはひとり、手燭を持って談話室へ向かった。
扉を開けると室内はこうこうと明かりがついており、壁に掛けられた十字架が鈍い光を放っていた。
部屋の中央の椅子には、マルグリットの母親であるアニェス・ド・フランスが座り、そこから少し離れたところへ、院長が立っていた。
マルグリットは、ますます混乱してたじろいだ。
母親の姿を見るのは久しぶりだったのである。
アニェスは、マルグリットを優しく見つめてから、院長に軽く会釈した。
すると、院長は会釈を返し、十字を描いて、談話室から出て行ってしまった。
「久しぶりね、マルグリット。元気にしていたかしら?」
「お母様……」
懐かしさと、不安の入り混じった声でマルグリットは呟いた。
彼女の記憶の中の母親より、目の前の母親は少しやつれて、しかも貴婦人に似つかわしくない、地味な服を身にまとっていた。
「そこの椅子におかけなさい」
首を少しかしげ、アニェスは言った。
マルグリットは、すぐにそれに従った。
すると、手短に話すわね、と前置きしてから、アニェスはゆっくりと告げた。
「マルグリット、あなたに結婚相手ができたのよ」
「……えっ?」
マルグリットは、信じられないという風に首を振った。
「本当のことなの。でも、他の人には内緒にしてね。誰にも言ってはダメよ?」
アニェスがそう言った時、どこから迷い込んだのか、やや乾いた風が、部屋をさっと一吹き通り過ぎていった。
それを敏感に察知して、蠟燭の火が、ひゅるひゅるとなびき、アニェスとマルグリットの影を心細そうに揺らした。
「もう行くわね。お忍びで来ているから。また後日ゆっくり話しましょ」
マルグリットの肩にそっと手を置いて、アニェスは立ち上がった。
そして、マルグリットが何か言うのを待たず、彼女は談話室の出口に向かって歩きだした。
7.2(一回消したので再現):ここまで書いた。半分てとこ。明日には書き上げれると思う。ー解決済。
7.3:院長から結婚相手が決まったと告げると秘密結婚っぽくないなあと思ったんで母ちゃん呼んだ。




