↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】ド田舎の村娘だけど、是が非でも王になりたい!  作者: 今江彰人
第3部 【王を貫けプリンセス】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/60

17:彼方からの光線

「フレイさん……っ!!」


僅かに光差す地下通路にて、レトア・ロベインは聞いた。

果てしない暗闇から救い出してくれた恩人が、懸命に自分を呼ぶ声を。


「今の女の子、あんたの仲間か!?」

「うん、そうよ……ついにこの時が来たの」


託された通信機を胸に抱きながら、一回り年上の少年達に応える。


「あたしは罪を犯したけど……その中で生まれた絆が、大事な人を助けてくれる! あたし、信じてるからっ!!」


滲んできた涙を拭いながら、少女は、



「行くわよ、マニーさん! ピューレさんも! 準備できてる!?」


『全く……負けたばっかのあたし達に、無茶要求するんだから』



文句を垂れつつも、友人の言葉は自信に満ち溢れていた。



『仕方ないから、見せてやるとしましょう。天と地を分かつ、毒刃少女(ポイズン・ガールズ)の無敵のマシーナリーをねッ!!」



*******



「レトア・ロベイン……あぁ、哀れな少女がどうかしたのかな?」

「もうすぐ、吠え面かくことになるよっ!!」

「ふふっ。今度は何を企んでるか知らないけど」


ライグリッドは引き笑いをしながら、ギラりを目を剥いた。


「君達が右往左往している間に────また、死が近づくのさ!!」


瞬く間に彼が視界から消える。ほとんど残像だが、目が慣れたせいだろうか。かろうじて、どこに移動しているかは分かった。


狙いは────私だ!


「あはははははははっ!!」

「【炎の防壁(フレイム・バリア)】っ!!」


押し潰すような衝撃が、炎の壁とぶつかり合う。まるで雷そのものだ。


(これ……やば、保たない……っ!)


防壁(バリア)はガラス細工のように細やかに崩壊する。しかし────


「ぜああああッッ!!」


守護者グレイザーが、在らん限りのスピードで彼に接近していた。ナイフが首元を掠める。ライグリッドは半身分後ずさった。


すかさず、光銃部隊の怒涛の連撃が襲う。


「ん?」


移動した先でザンが放った一撃が、見事胸部に命中した。光は効くというのは事実らしく、はっきりと被弾の跡が残った。

もっとも、全くダメージが入っているようには見えないけれど。


「押し切れエーネっ、総攻撃だ!!」

「う、うんっ!!」


数々の暴力がライグリッドを取り囲んだ。

幼馴染の水と光線、私の炎、守護者による打撃。超人的なスピードでも避け切れない猛攻だ。それらが、ほんの少しでもかすり傷を増やしていく。


けれど、そんな陣形も長くは保たない。


「そこだね」

「ぐっっ……!?」


グレイザーはついに、正面からその突きを受け止めてしまった。体格差など飾りだと言わんばかり。彼はもんどり打って後方に吹き飛ばされる。


「グレイザーッ!?」

「浅いよ、ソフィっ!」

「ううぅ……! やっぱり、これじゃ……!」


水流を腕で弾き返し、ライグリッドは姉へ凄む。その威圧感と物理的な風圧で彼女が揺らぐのと、魔力残量が危うくなるのは同時だった。


「エーネ、また着地してっ!」

「っ……ごめんなさい!」

「心配しないで! 【火焔裂槍(フレイム・ハルバード)】っ!!」


出し惜しみはしていられない。たとえ効かなくとも、せめて抑止力にしなければ。


もう少し────もう少しだけ耐えれば、『必殺技』が炸裂するのだから。


「ザンっ、グレイザーも! 大丈夫!?」

「ちいっ……そう何度も、ガキに翻弄されてたまるか!」

「ま、まだ傷が痛むが……撃つだけの仕事だ、フレイこそ気を付けろよ!!」


「ふふふっ、うふふふ……!!」


人外は予測不能な動きで光線を躱す。近接を仕掛けてくるグレイザーを、汗一つかかずに捌き切る。そろそろ彼の速度に追いつけなくなってきていた。


(やばいっ、もう……!!)



「………………」



その時だった。


倒れ伏していた少年の指先が、かすかに持ち上がる。ギシギシと奇怪な音を立てながら────ほとんど聞き取れない声が地を這った。



「……僕、が……500、番以下、な、ら…………」



体を起こした機人マインドは、半壊した顔面を揺らし、定まらない声で。


「じど、う、修復、プログラ、ム……無かっ……」

「ま、マインドっっ!?」

「あぁ、フ、レイ……」


立つのもやっとで、視界が機能しているかすらもわからないのに。


その銃口は、真っ直ぐにライグリッドを捉えている。



「見て、て…………」



名も無き光線が宙を焼いた。私には、それが今までで最も疾く見えた。


何せ、満身創痍の身から放たれた一撃は────寸分狂わず、ライグリッドの瞳を射抜いたのだから。


「うぐっ!!??」


それは初めて聞いた、彼の人間らしい呻き声だった。右目を押さえて後ずさる少年。グレイザーを相手取るのをやめ、広場の中心部へ移動する。


「き、効いたっ!?」

「すごいねぇ……何でその距離から目を。普通は無理だよ……」

「き、決まってるじゃないですかっ!!」


三度目の飛翔。光銃を構えたエーネが、上空から大声で叫んだ。


「マインドこそが、リアル人外なんだからっ!!」

「…………!!」


すかさず放たれた彼女の光線を、ライグリッドは素手で握りつぶす。離れた位置にいた私にも、ふつふつと煮えたぎる怒りが伝わってきたが……

かすかな血が流れ出す目元は、それでも醜く嗤っている。


「ああ、油断したよ……軍務長官とのタイマンでは無かった脅威だ。でも、機人さんのエネルギーも、精々あと一発────」


「ううん、十分だよ」


私は嘘偽りない言葉を述べる。


「マインド……ギリギリでも、生きててくれて良かった。私を守ってくれて────それと、やっぱり光は効くんだって証明してくれて、ありがとう」

「……?」

「もうすぐ致命傷だよ、ライグリッド!!」


例えどれだけ速くとも。里(・)全(・)域(・)を(・)覆(・)い(・)尽(・)く(・)す(・)光(・)線(・)から逃れる事は、不可能。


間も無く準備は完了する!!


「ああ、わかった。あの女達のブレイン砲だねぇ!! シュレッケンに砲台があったのを見たよ。あれじゃ全然威力が足りないけどさ」

「……………………」

「第一、不可能だ。天高く聳える烈嶺ソールフィネッジ。その地表に光線を浴びせられる場所なんて────」


ライグリッドの言葉は、最後まで続かなかった。

私は有頂天だ。さっきの負傷に引き続き────



初めて、エーネにちょっと似た、動揺の表情を見られたのだから。



「まさか……『ノーブルタワー』か!?」



*******



「あたしは、諦めない」



崩壊した群都市のシンボルは、はるか彼方に霧の絶界を映し出す。


街のどこからでも認識できる大砲台の隣で────マニー・エーションは、かつての青春に想いを馳せた。


「絶対に、あの人とまた共に歩む。あいつを倒して、王都で幸せな日々を!」

「ぜえっ、はああっ、っ、げほっ」

「ちょっとピューレ! 決め台詞が台無しじゃない!!」

「だ、だってお姉ちゃん……この街にワープするなり、一日で頂上にこれ作れとか、無理難題だよっ……頂上も、足場悪いし……!」


それでも、言われたからにはやり遂げなければならなかった。

この世の地獄で戦うかつての敵と、幼い友人のことを思えば。


『二人共っ、いける!?』

「ええ、レトア。待たせたわね」

「ふーっ。じゃあ、恩を売ろっか、お姉ちゃん」


スイッチを入れる。以前とは比較にならない威力の砲台が、街中を揺らす振動と共に起動した。


「衝撃に備えなさい。文字通り、天を穿つ光線だからね」

『……ねえ、二人共。その、あたしも一緒に叫んでいい?』

「レトア、何だかんだそういうの好きだよね」


姉妹は顔を見合わせ、屈託なく笑った。


「もちろんよ。今も昔も、あたし達は三人で毒刃少女(ポイズン・ガールズ)だから!」

『ありがとうっ! よし、行くわよ────!!』


ちょっとばかり距離が離れていても、描く未来はそっくりだ。



『【エル・ブレイン砲────ver2.5】!!!】』



*******



「っ、まずい……!!!」

「終わりだな、ライグリッド!!」

「エーネ、飛んでっ!! 【炎の防壁(フレイム・バリア)────EX】!!」


目を瞑りながら、必死な表情で上昇する幼馴染。対する私は、未だかつてなく分厚い壁で仲間達を守る。


迫り来る轟音。炎越しにも目を焼くような光。


刹那、烈嶺を覆う地表の全てを────



「おのれっ……!! 君達ごときが!!」



世界最強の光線が、貫いた。

★読んでくれた皆様へのお願い★


こんにちは、今江彰人です! 本作を少しでも面白いと感じて頂けたら、


・ブックマーク追加

・下の☆☆☆☆☆を★★★★★に!


を是非よろしくお願いします! 強いモチベーションに繋がります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。