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ド田舎の村娘だけど、是が非でも王になりたい!【毎日投稿】  作者: 今江彰人
第2部 【銀の心の救世主】

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9:光の申し子

「さあ、受けてみなさい!」


姉妹から光線が放たれる。手始めに、マニーも光銃を使うようだ。


「うふふっ、これなら魔法使いにも有効よ?」

「【炎の防壁(フレイム・バリア)】!!」


攻撃を防いだ途端、四方の市民達が武器を手に襲い掛かってきた。


「来たっ!!」

「み、見ててください!」


エーネが声高に叫び、例の技を繰り出した。

聳え立つ水流が道を阻む。誰かの痛みを憂う、エーネの優しさがこもった魔法だ。


「甘いね。そんな水壁、この数なら突破できる」

「ああ、そうだろうな」


刀を構え、腰を低くするザン。マインドも同じ体勢だ。


「その前に倒しさえすれば良い……マニー・エーション、お前をなっ!!」

「ッ!?」

「行けえっ、二人とも! 【破裂の炎よ(クラッシュ・フレイム)】!!」


水壁に向け、私は衝撃の強い一撃を放った。

穿たれた水の隙間を目掛け、ザンとマインドが同時に跳躍する。


「ま、()()()()で!? やはり……!」

「お姉ちゃん、来るよっ!」


ザンは刀を、マインドは腕に備わった発射口を。真っ直ぐに敵へ向ける。


相手は魔法が効かず、加えて強力な飛び道具持ち。私とエーネが援護を強いられるのは想定済みだった。

ならば最善策は一つ────物理型のザンとマインドが即座に接近し、短期決戦を仕掛けることだ。


「ごめんね、マニー。少し痛いかも」

「ああ、もうっ! あんたが余計なこと言うから狙われてるじゃない!」

「マジごめん、お姉ちゃん」


空中で身を翻したマインドは、抑揚の無い声で、


「【煌電昏波エレクトリック・フェインター】」


「させない!!」


姉妹同時に繰り出した光線。それぞれが彼の肩、及び発射口に着弾する。マインドの腕は煙を上げ、攻撃は不発に終わった。


「あはっ、大技を温存したわね! それが命取りよ!!」

「命取りでも、僕は囮」


彼に気を取られていた姉妹が我に返った頃には……

ザン・セイヴィアの刃先は、目の前だ。


「終わりだ!!」

「っ、しまっ────!」


勝負は決したかと思えた、その時。


マニーは一転────憎たらしいほどの深い笑みをたたえた。



「……なーんてね! 出番よ、ロベインっっ!!」



エーネが防ぐ大群の中から、ひと際大柄な人物が飛び上がる。

彼女は目にも留まらぬ速さで、今まさに斬りかからんとしているザンに突撃していった。


「まさか!?」

「ザン、気を付けてっ!」


警告も虚しく、不意打ちで真横に吹き飛ばされるザン。その人物は、彼を追うように遠方に着地する。


風圧で靡く鮮やかな金髪。伏せられた目元からも放たれる眼光。

彼女こそ、シュレッケンの指導者にして、格闘技のプロフェッショナル。



「レイティ・ロベイン……!!」


「良いわ、良いわっ! 流石ねロベイン!!」



ハイテンションなマニーの賞賛の拍手が、避難豪に響き渡る。

時を同じくして、エーネが苦悶の声をあげた。


「ふ、フレイ! わたしそろそろ……!」

「わかった! マインド、まだ動けるよね!?」


被弾と落下を経ても、彼は無傷なようだ。何でも無さそうにトコトコ歩いてきた。


「エーネ、お疲れ様。僕が変わるよ」

「あ、ありがとう! じゃあ、わたし達は……!」

「うんっ! ザン、今援護するから!!」


彼が倒れれば一巻の終わりだ。すぐに向かわねば。

水壁を解除したエーネが、おっかなびっくりしがみついてきたのを確認し────


「第二プラン、行くよ!!」

「はい────っ!!」

「【炎の跳躍(フレイム・バウンド)】!!」


私達は、噴射で場を離脱した。


「……頃合い、かな」

「そうね、任せたわ」


毒刃少女(ポイズン・ガールズ)の会話をよそに、機人マインドは囁く。


「【波電麻痺網(エレキ・パラライズ)】」


青白く輝く電撃の波が、まるで這うように床を伝っていった。

武器を掲げる市民達が痺れたように動きを止めたのは、それから間も無くのことだ。


「麻痺は電力を食うんだ。おかげで破壊砲(マグナム)があと一発しか撃てないよ」

「ナイス、マインド! このまま────!」


「ストップ」


移動中の私達の頭部を、突如鋭い光線が掠めた。


「わああああっ!!??」


二人でバランスを崩し、道半ばで不時着する。視界の端には、こちらに跳躍しながら乱射してくるピューレの姿が。


「ええええっっ!? 跳べるの!?」

「そ、そんなに意外?」


壁を張り、自身とエーネの身を守る。何発かをやり過ごすと、彼女は付近に音も無く着地した。


「圧倒的インドア派でも……これ着れば、ある程度動ける」

「それっ、グレイザーが着てたやつ!」


身体能力を増強する装備────選ばれし者だけが持てる、技術の結晶だ。


「魔法使いとその他は分断された。そろそろ、見せてあげようかしら」


独り高台に残ったマニーが、不気味にほくそ笑んだ。



「あたしが全てを持つ者と言われる所以……無敵の【光の魔法(ライト・マジク)】をね!!」

「やばいっっ!!」


「【光の柱(ライトニング・ピラー)】!!」



足元に光の文様が出現する。形状はエーネのとそっくりだ。

私達がその場から退いた直後、眩い柱が次々に生み出された。あたかも何かが降臨するような神々しさである。


「あははっ、注意が疎かねぇ。効かなくても、光銃のカモフラージュにはなるでしょ?」

「うぐ……! 何の捻りも無い技名のくせにっ」

「ふ、フレイも人の事は……」


マニーの言う通り、問題は魔法に紛れて私達を貫かんとする光銃の方だ。

迫り来るピューレから目を離せない。エーネと共に背中を守り合う。


「自分が何をしたかわかっているのか……!?」


そんな折、レイティと対峙するザンの怒声が聞こえた。


「群都市の現状を知ってるか? 誰もが絶望に苛まれ、危うく戦争が始まるところだった。あんたも指導者なんだろ? 目を覚ませ!!」


レイティは無言だ。じりじりとザンに距離を詰めている。


「大丈夫よ、坊や。その前にあたしが支配するわ」

「……ッ!」

「辺境一帯は────全てあたし達の手駒よ!!」


レイティの拳が彼目掛けて繰り出される。マニーの標的もザンに移った。


「仲間が、気になる?」

「!! 【走れ炎よ(ラン・フレイム)】!」

「やあっ……!!」


光線と魔法が飛び交う。炎は例によって手で受け止められ、エーネのなけなしの水流もやはり意味をなさない。


「無駄だよ。無駄だけど……フレイング・ダイナ」


ピューレはこちらに銃口を向けながら、


「私、あなたに興味がある。だから取引したい」

「は……?」

「降参したら、命は助ける。だからあなたを、『研究』させてほしい」

「け、研究!?」


理解不能な申し出だった。しかし相手は大真面目だ。


「あなたの、その魔法。とても興味深い」


「…………魔法、か……」


問答を行っている最中も、【光の魔法(ライト・マジク)】が避難豪を暴れ回る。


「【千の熱線(サウザンド・レイズ)】! うふふふっ! やっぱこっちの方がやりがいがあるわね!」 

「っ、厄介だな……!」


ザンは器用に光を避けつつ、レイティと熾烈な争いを繰り広げる。が、年齢をものともしない身のこなしに防戦一方だ。


「逃れられはしないぞ……!」


それでも、義兄は食らいつくことをやめない。


「みんなを裏切ってこんなこと! けど間に合う……今からでも、この街は立ち直れる! だから過ちを認めて────」


その言葉は不自然に途切れた。

レイティが後退した際に髪が浮き上がり、視界に捉えてしまったからだ。



彼女の……自我というものが一切感じられない、虚ろな瞳を。



「……まさか」


ザンは呆然と立ち尽くした。



「あんたも、操られてる……のか?」

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