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ド田舎の村娘だけど、是が非でも王になりたい!【毎日投稿】  作者: 今江彰人
第2部 【銀の心の救世主】

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5:煌電破壊砲

なりふり構わぬ渾身の不意打ちに、仲間達が唖然とする中。


直進する炎は、見事にピューレの体を穿つ。


(倒した……っ!)


弾ける火炎と共に、視界が金色に包まれた。確かな手応えに息を呑む私だったが、


「……これが、あなたの魔法か」

「────え」


「効かないよ。魔力で出来ていても、所詮炎は炎」


煙の中から、無傷のピューレが姿を現した。


(今、手で受け止めて……!?)

「攻撃の意思あり、だね」

「……っ、今更話し合いは無駄そうだな」


動揺を押し隠すように吐き捨てるザン。

ピューレ・エーションは、姉を想起させる嗜虐的な表情を浮かべた。



「安心して。一人残らず、息の根を止めるから」



ピューレは更に、懐から武器も取り出した。小型で持ち手のある、非常に殺傷力の高い代物だ。

言うまでもなく、それは私にとって因縁深い────


「け……拳銃!?」

「違う、これは『光銃』。スペックは比べ物にならない」

「二人共避けてっ!!」


エーネとザンも、形状から性質を察したらしい。

全員でかがむと、頭上を真っ白な光が尾を引いて通過した。


「どう? お姉ちゃんの『魔法』を使った光線は」

「……喰らえ!!」


瞬間、ザンが近くの研究器具を振りかぶり、カーブさせながら放り投げた。


「んぐっ!?」


不意を突かれ、胴部分に攻撃を浴びたピューレ。そのまま尻餅をつく。


「ナイス! 今なら……!」

「ダメだ、一旦逃げるぞ! あの武器で誰か死んだらどうする!」

「は、はあっ!?」

「ううっ、ご、ごめんなさいっっ!! わたしのせいでッ!!」

「い、いや私も名前言いかけちゃったから……!」


まさかのザンに制され、エーネはこの調子だ。

確かに魔法も防がれたし、こうなっては……!


そうして研究室から飛び出し、建物の裏庭に辿り着いた私達だが────



「ま、待ち伏せされてるーーーー!?」



花や装飾の美しい、憩いの場であったはずの庭園は。今や柵の代わりに、生気の無い市民達が周囲を囲んでいた。


「抵抗は無駄だよ」


追いついたピューレが再び光線を放った。避け切れず、光が私の頬を掠る。


「フレイっ!!」

「だ、大丈夫……!」


二人の叫びに何とか応える。私を庇うように立ったザンは、刀を抜いたまま怒号を放った。


毒刃少女(ポイズン・ガールズ)、目的は何だ!! 何故あの街を狙う!?」

「それは、お姉ちゃんに聞いて。あと、私達をここに送ったのはライウさんだし」

「えっ……!?」


ライウ。その単語に、エーネだけが強く反応した。


「エーネ、知ってるの!?」

「は、はい……間違いじゃなければ、ですが」


ごくりと唾を飲んだ彼女は、言葉を詰まらせながら。



「ライウ・テンメイ……雷の魔法を操る、この国の()()()()です!!」



「別にわたしは元王族とかじゃないですけど!」と、エーネが早口で続ける中。

唖然とした私達は、思わず動きを止めていた。


王族が────この街を襲わせたというのか?


「まあ、あなた達は知らなくて良い。ここで終わりだから」


ピューレが上空に手をかざす。マニーの遺伝子が組まれた薬は当然、妹とも共鳴し────


「さあみんな。敵を血祭りにあげて」


「【炎の防壁(フレイム・バリア)】!!」


全方位からの攻撃を、ザンが器用に捌いてくれる。隙を見て、私はいつぞやのように三人を囲む炎を展開した。


これで安全かと思われたが────


「ちょ、ちょっと!? 何か壁越しに殴られてない!?」

「え!? や、火傷とかしたりは……」

「するに決まってるでしょ、これ火の塊だよ!!」


私達は一斉に青ざめた。耳を澄ませば、肉の焦げる音が聞こえてくるのだ。


「当たり前だよ」


ピューレはさも当然のように、機械的に話した。


「命令は絶対。意思の無い彼らに、止まることはできない。その肉体が朽ちるまでね」

「う、嘘だろ!?」


このままでは市民が死んでしまう。だが、防壁(バリア)を解除すれば私達は……!


「絶対、誰も傷つけたりしない……!」

「え、エーネ?」

「フレイ! ば、バリアを解除してくださいっ!!」


銀髪の少女は体を震わせながら、淡い光を身に纏った。



「今回はっ、一味違いますっ!!」



考えるまでも無かった。幼馴染を信じた私は、魔法の行使を取りやめる。


再び日光を浴びた瞬間、周囲に数多の水流が出現した。しかし以前と異なり、市民達を押し流すような危険なものではない。

此度の水は上に向かって伸び、巨大な水柱を形成していた。直接害は無いが、分厚い水を突き進むのはそもそも困難である。


「ナイスっ! こ、これなら────」


「まさか、魔法使いが二人もいるなんてね」


しかし、彼女の決意を嘲笑うかのように。

魔法に巻き込まれながらも、ピューレは何食わぬ顔で棒立ちしていた。


「でも、『魔力遮断装置』の前では、無意味」

「や、やっぱり効かない……!?」

「それに、お姉ちゃんには装置も必要ない。【光の使い手(ライト・マスター)】マニー・エーション……()()()()()()()()()()()()()()()()()から」

「!!」

「まあ、炎は怖いから……一応、火避けの薬塗ったけど」


淡々と語りながら、ピューレは私の眉間に狙いを定める。

噴射で離脱しようにも、すぐには集中できない。二人の助けも間に合わないだろう。


まずい、今度こそ────!


「お別れだね」

「フレイーーーーっっ!!」


仲間の悲鳴をよそに、科学者は再び嗜虐的な笑みを浮かべた。



死を身近に感じた瞬間、古の記憶が思い起こされる。



────『い、いやだよ……行かないでっ!!』

────『ごめんね、フレイ、ザン。誰かがやらなきゃならないんだ』

────『ほ、ほかの人でも良いだろ! おれに剣を教える約束だって……!』


決して忘れられない、出立の時。最後まで少年は笑顔だった。


────『みんなが僕の助けを求めてる。わかるんだよ、今が戦う時だと』


私も後悔は無い。大好きな彼のように、信念のために戦ったのだから。

敵は殺せなかったけれど。大好きな幼馴染を残していなくなってしまう────その事実が、心の底から申し訳ないけれど。


あの人に褒めてもらえれば。少しだけでも、私は……



「私……頑張ったよ。マイン────」



「ピンチみたいだね?」



落命の数舜前。遥か頭上から、濁った声が聞こえた。


全く違う声質のはずなのに。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「助けが必要かい?」

「……う、嘘……だ……」



「【煌電破壊砲エレクトリック・マグナム】」



視界を極太の光線が通過した。宙を穿つ一撃が、文字通り光の速さでピューレの銃を粉砕する。

愕然とする彼女をよそに────


実験体『CODE704」は、涼しい顔で仁王立ちしていた。



「な、なん…………で……」



あの声を、眼差しを。私は一生忘れないだろう。



「マイン、ド……?」

★読んでくれた皆様へのお願い★


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