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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
4章 求める強さの先に……
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73話 ニア・ラピス

私達は手を繋ぎ、家に向けて歩く


私達は家路についた


テクテクと足音を鳴らし、2人で歩いた


繋ぐ手の温もりが心地良い






不意に思い出した事を、私は彼に言った



「あ、ねぇライ?」


【ん?】


「ジャッジメンターが、ライが神ならどれほど幸せだったろうって言ってたよ♪」


【あの方がそんな事を…… 光栄だね!】


「あの方? ジャッジメンターってそんなに凄い人なの?」


【何を言ってるんだ!? 当たり前だろう? 彼が本気を出したら、この地球なんて簡単に無くなるぞ?】


「え……」



そんな、ある意味ヤバイ人と()()(ぐち)きいていたのかと思うと、少し寒気がする


知らぬ事とはいえ、無知とは恐いものだ……



「そ、そうなんだ……?」


【彼は慈悲深いからね…… 忙しい人なのに、あの日、アーサーが意識を戻すまで10分位かな? 待っててくれたんだよ】


「10分? それだけ?」



ライは苦笑いを浮かべ、()()()()を続けた



【アノ世界の10分は貴重だぞ? 地獄から、あ…… 魔獄領域(まごくりょういき)って言うんだったかな? そこからの侵攻があるかもしれない10分はね】


「なんだか…… 想像もつかない話ね…… ファンタジーチックで……」


【まぁね…… ただ、神が居るんだ…… 魔神や悪魔が居るのも頷ける話だけどね】


「確かにね……」



そう言い私達は笑い合った








しばらく歩くと家に着いた


玄関をくぐり抜け、リビングに足を入れる


リビングと繋がるダイニング


そのテーブルには、泉とアーサーが座り、ママと胡桃ママは出来上がった夕食を運んでいた








私を見て、泉が微笑む








アーサーもまた微笑んで居た








ママと胡桃ママも同じだった








「皆…… どうしたの?」



そう聞く私の質問に、



「え? 気付いて無いの?」



そう泉が答えた



「だからさ、何?」



泉は私達の間を指差している



よく見ると、間というよりは、少し下に向け指差して居た


ずっと手を繋いだままだと気が付き、私達は赤面しながら手を離す


ダイニングテーブルに腰を下ろすと泉が耳元に顔を近づけて来た


そして



(良かったね♪)



と、囁いた



顔から火が出そうな高鳴りを抑えつつ、泉の顔も見れない私は、コクリとだけ頷いた








食事を運んでいる最中、胡桃ママの視線をいつもよりも多く…… そして意味深にも取れるソレを感じて居た



胡桃ママの事だ



気が付いている



色々と……



そう、直感した



だから、あえて聞く事はしなかった








しばらくしてパパ達が帰り、リビングの戸を開ける


挨拶を済ませたパパ達は着替えをし、その後、夕食が始まった








今晩の夕食のメインはレバニラ炒めだった


今日もまた、解っている事とはいえ、凄まじい量なのは言うまでも無い


そして何故か()()()()()()が多い


部屋の中がニンニク臭で充満してしまった為、リビングとキッチンの戸を全開する


肌寒いとはいかないまでも、涼しい風が室内を通り抜けた


ふぅ……


そう一呼吸置いた私はママ達に言った



「こんなにニンニク料理って…… どうしたのよ!?」



そう言い、顔を向けた先に居る泉もママ達に苦笑いを向ける



「体力付けないと、体保たなくなるかもしれないじゃ無い? いつ戦争になってもおかしくない状況なのよ?」



胡桃ママがそう笑顔で口を開く








そうか……








()()()()()か……








急ごしらえで体力付けてもしようが無い








所詮、付け焼き刃だ








急な体力管理メニュー








だから








多分








()()()()()なんだ








()()()()()、行われる








私は、そう思った








まあ、何はともあれ回避など出来はしない








()()()を存分に振るってみせる








勝つのは、私達だ








箸を進め、食事を取る


ライとアーサーは無言で食事をした


泉はダラダラと食べている……


まあ、いい、自分のペースもあるだろう


食事のペースも有ってか、今晩は男性陣から食後の入浴を楽しむ事となった


ライとアーサーが浴室に入り、龍パパと私のパパ、そして泉は一旦部屋に入った








「ねぇ、胡桃ママ……」


「ん?」



不意の声掛けに、目を丸くしながらも淡い笑顔で胡桃ママは私を見ていた



「何か言いたい事が有りそうだったけど?」



私はチラチラと視線を送って居た事に対しての疑問を問い掛ける



「言いたい事ってわけじゃ無いけど…… 悲しいけれど、おめでとう…… かな…… そう言いたかったのかもね」



そう胡桃ママは言い、そして私は……



()()()()を理解した



どうしようも無い事とはいえ、究極の選択をしてしまったのだ



淡い笑顔も納得がいった



それでも、おめでとう



そう言ってくれた



こんなにも愛されているのに……



相談もしなくてゴメン……



声には出さなかった



言葉にしたら、ママ達は涙を流すかも知れない



生きているんだ



そう、私は生きている



でも、死んだんだ



1度、確実に死んだ



ママは表情を変えなかった



多分、知らない



いくら勘が良くても、現実離れした事を気が付く訳は無い



それが、無性に……



私の罪悪感を掻き立てた








「ねぇ、明日なんでしょ?」



私の問い掛けにママは疑問の表情を浮かべて居る



胡桃ママは目を閉じた



そして、そのまま言った








「そうよ」








それだけ言った








やっぱりか……








「ねぇ、胡桃ママ……」


「何?」


()()()()()()()って、どっちが強いの?」



私のママは頭の上にクエスチョンを何十個も乗せた表情のまま、胡桃ママと私を交互に見る



その姿に微笑みを送りながら、胡桃ママは私に言った








「解らないけど…… 多分……」








「多分……?」








「覚醒者よ……」








「そっか……」








「ええ」








私の言った【そっか】には別の意味もあった



不本意な状況とはいえ、()()()()()



覚醒者と【ニア】と言ったのだ、私は……



それで胡桃ママは理解している



知ってる……



ニアという言葉だけで理解出来るほど、だ








「じゃあもう一つ聞きたいんだけど……」



「ん?」



「ニア・ラピスって何?」



「咲子…… ソレを何故、貴女が聞くの……?」








胡桃ママの表情はいつもより固かった








「胡桃ママは、もう識ってるんでしょ? 色々と……」



「貴女に、何らかの悲しみが有り、大きな力を解放した…… とまでは、ね」






そっか……



胡桃ママですら、死の先には行ってないから、か



知っているのはニア・ラピスという物位までのようだ








「この世の果てにね…… 神様の片腕みたいな人が居るの…… その人が言ってた…… 私はニア・ラピスって」



「貴女…… その解放…… まさか…… 何て事を……」






胡桃ママは口元を両手で抑え、震えて居た



そして、(こぼ)すまいとしているものの、その瞳には涙が(あふ)れているのが見えた



そして



「咲子…… 咲子……」



体を震わせ、何度も私の名を呼んだ








大きな悲しみで、爆発的な力を解放する真の覚醒……



ニア・ラピスはそれ以上の何か……



それを即座に理解したのだろう……



胡桃ママは尚も悲しみを(こら)えていた








「胡桃ママ…… 大丈夫、私は【ココ】に居るよ……」



そう言い、私はそっと肩に手を置く



「…… 無茶はしないで…… ホントに……」



「うん、ゴメンね……」



「いいのよ…… 貴女は今【居る】んだから」








居る








生きて居る








その言葉で少し、安心出来た様な表情へと変わる胡桃ママ








「ありがと…… でさ……」



「あ、うん…… ニア・ラピスね?」



「うん」



「それは【紫眼(しがん)】…… そして【死眼(しがん)】」



「紫眼……」








ジャッジメンター……








アノ額の…… 紫色の眼……








「そう、そして……」



「うん……」



「ルビーとサファイアを持ち合わせた力…… 【心眼(しんがん)】で【神眼(しんがん)】」



「神の眼……?」



「そうよ…… 神の眼、ラピスラズリ」



「ニア…… そういう事か…… 手前まで開けるって…… 貴方の言ってた事がようやく解ったわ…… ジャッジメンター……」








ココが到達点か……








【紫眼】で【死眼】








【心眼】で【神眼】……








ニア(限り無く近い)ラピス(神の眼)

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