63話 力の差
藍と共に大学を出て帰路につく
そうこうしていると駅前の街並みが視界に入って来た
「藍の家はどっち? そっちまで送るよ♪」
「え? いいの? でも……」
そう口にした藍はキョロキョロと見回した
昨日の件を危惧しているのだとすぐに察する
「大丈夫だよ♪ 私ならすぐに逃げられるから! 私の脚力知ってるでしょ?」
「アハハッ…… そうだね…… 危なくなりそうなら、すぐに携帯鳴らしてね! 警察呼んで、すぐ行くから!!」
笑顔で彼女はそう言った
その姿に、とても安心出来た私を感じる
歩みを進めた先に、藍の家があった
大きいとは言えない一軒家だったが、平家で可愛らしい姿のソレは、とても家族との距離を近く感じる事が出来る大きさなのだろうと私は思った
玄関まで進む
「時間あるならコーヒーでも出すよ?」
「んー…… また今度ゆっくり来るよ!」
私は断った
藍は淋しそうな顔を見せるが、表情を戻し、逆にニヤニヤとした顔を見せる
「にゃるほどぉ…… デートかぁ…… やりますニャー♪」
「何の事?」
「はぐらかさんでもイイでござますよー♪」
「だから何の事ってば!?」
「ホレ!」
そう言った藍は、私の背後を指差す
振り向いた先に居たのは、ライだった
何故ここに居るのだろう?
そんな事を思いもした
「あ! 違う! 違うってば!!」
藍のニヤケ顔が止まらない……
「イイんでございますよー♪ ごゆるりーーと♪」
いや、待て……
コレは最高のタイミングでは無いのか?
何が有っても、無駄に藍を心配させる事の無い状況が生まれた……
そして、ライ……
例の件…… 最高の人材じゃないか!!
この状況はとても都合が良い……
考えた末、藍に言った
「違うけど…… 違わない…… かな?」
「素直でよろしい♪」
藍は両手を腰に組み、またもニヤニヤとした顔を見せる
「じゃ、また明日」と言い、手を振る
そして藍の家を後にした
歩き始めて思った
駅を挟んでさほども遠くない距離だったお互いの家…… 同じ町内だった事を知れた事が幸せに思えた
そして帰り際にふと振り向いた私は、老婆とはいかないまでも、60歳半ば位の白髪交じりの女性が藍の家に入って行く姿を見た
父親が逝ったのは知っているが、藍が祖母、母との3人暮らしなのを知った事も何故か嬉しかった
その人は、とても優しそうな顔をした祖母だったから、あんなに良い子なんだ
そう、思えたのかも知れない
藍の家からヒタヒタと歩き、私とライは駅に向かっていた
「ねぇ、ライ……?」
私を見たライが首を傾げる
「どの位強いの?」
キョトンとしたライがまばたきで質問を返した
【どの位、とは?】
私もその瞳を見ながらまばたきで会話する事にした
その方が、感情がストレートに送受出来ると思えた
【うん、泉はどの位強いの?】
【ルビーアイ所持者としてなら、さすが双眼といった強さだよ】
【そっか…… じゃ質問を変えるね】
【ん?】
【私はどの位強いの?】
彼は足を止め、私の目を離さずに言った
【咲子もかなり強いよ】
【そっか……】
少し悲しかった
咲子【も】強い……
言うなれば、ついでに強い、そう言われたように感じてしまった
【ねえ、ライ……】
【なんだい?】
【私と泉の力の差は…… どの位あるの?】
【2人とも凄く強いよ】
私の中で何かが弾けた
「そんな事聞いてるんじゃ無いのよ!!!!」
駅近だとも忘れ、大声でわめいて居る自分に気付き、冷静さを取り戻そうと必死になる
そんな私を見たライは、私の肩に手を置く
その手に、私の手を重ね、彼の瞳を直視した
【ごめん、ライ……】
【大丈夫だよ…… 何をそんなに焦っているんだい?】
【私だけ弱いの…… 皆強いのに…… 私だけ弱いのよ…… そんなの嫌なの…… お荷物なんて沢山……】
【大丈夫…… 嘘偽りなく、君は強い】
【何をベースに言ってるの……? ねぇ、もう一度だけ聞くね…… 泉は私よりどの位強いの?】
彼は静かに目を閉じた
それは数秒間の出来事だったろう
でも、それを数時間にも感じた私は、やはり強さに焦っているのかも知れない
そしてライはその瞳を開き言った
【泉は…… 咲子の約1,5倍は強いよ】
私は、私の中で漠然としていた力の差をまざまざと公表され、愕然とした




