表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
3章 咲子
53/157

52話 チェス

重い空気が流れる


それは泉の言葉で破られた



「お腹空いたね!! パパが来たら食べよー♪」



ここぞとばかりに藍が賛成する



「うんうん! 美味しそー♪ てか、アーサーさんとライさんは箸使えるの?」



驚いた顔を見せた2人は頷く



「勿論サ! ジャパニーズ・フードは大好キダヨ♪」


「いや、これ、中華料理だけどね……」



そう言う藍に皆が大笑いを見せた








パパ達、ママ達の言っていた事は理解出来なかったが……



多分、藍の一言で救われたのは十二分に解っていた私だった



そしてリビングの戸が、キィ…… と静かに開いた



着替えを終えた龍パパだった



藍がすかさず立ち上がる



そして龍パパの目を見て言った




「2人とも、とても大切な友達です! 今後ともよろしくお願いします!」




と……



どこか、龍パパの雰囲気が変わったのを感じた




「ありがとう、藍さん…… よろしく頼むよ」




そう言い、少し微笑んだ


その顔を見て、ホッとしたのか、藍が笑顔を見せる




「もうお腹ペコペコだったの♪ 美味しい料理目の前にして、お預けくらった犬の気分がわかるよー! 今度はペナルティーの泉からご飯貰わなきゃね♪」




藍は横目で泉を見てニヤニヤしている



「もう!! 解ってるわよ!! ちゃんと()()()! おごるってばぁー!!」




家内中が笑いの海に染まる


そして、皆着席し、箸を取った








皆で食事を済ますと各々(おのおの)の行動を取る


アーサーとライは日本の番組が珍しいのか、パパ達とテレビを見ていた


泉と私、そして藍は、ママ達に断られながらも多すぎる食器を洗い、片付けを手伝った






藍の振る舞いに救われたのか、パパ達やママ達の心の整理が付いたようで、それからは笑顔が見えた






両親の謝罪……






()()()()()()






それに付随(ふずい)するのだろうか……?






胡桃ママからは、()()()()()()()()、そう以前言われている






だから今は聞く事をし無かった






ようやく戻った皆の笑顔に、水を差す真似はしたくない






そう、思って居たのかも知れない






龍パパが突然立ち上がり、部屋に走って行った


そしてバタバタとスリッパをならして階段を降りてくる


リビングに入ったその手に持っているのは()()()()だった




「アーサー、チェスは出来るかい?」




そう言う龍パパの目はキラキラと輝く


子供のような笑顔だ




「勿論デス! 本場デスヨ♪」


「そりゃそーだ…… あはは」




場違いな質問に苦笑いを浮かべる龍パパ


そして、盤に駒を並べていった




「チェスは面白いな! 一人一人、一駒一駒が非常に強い…… 精密に動かさなければ即、戦況が傾く…… そして心理戦だ」


「デスネ♪」




そう言うアーサーもまた満面の笑みだった


母国を離れた彼に、母国の競技が出来るとは思ってもみなかったのだろう


食器を洗いながら藍がチェス盤を見て口を開く




「でも、チェスって不思議ですよね?」


「ん? 何故だい?」




首を傾げた龍パパが疑問の表情で質問する




「だって…… 私は将棋もチェスも好きだから解るんですけど、将棋って…… ()()()()()()でしょ? でもチェスは()()()()()()ってゆーか…… 敵の駒を取れば使えるのと、使えないのと、みたいな?」






間違いない極論、私はそう思った






もう使えない駒という事は、()()()のでは無いだろうか?






それと違い、将棋はそういう意味では()()なのかも知れない






私のパパがテレビを見ながら話に割って入る




「お国柄の違いじゃねーか? 日本人は慈愛深くて、アメリカ人は……」




そこまで言った時、()()()()()()








ゾクリとした悪寒……








解る








これは殺気だ……








それは、()()()()が発していた……








パパが()()()()()()()言葉を続ける



「あーー…… なんてーか…… アメリカ人は…… シ、シンプルなのが好きなんだよ……♪」






絶対思っていた事と、絶対に違う……








パパはゆっくり…… 








ママから離れた方向から……








ギリギリの角度で私に視線を合わせる


その、()()()()は【フォロー頼む】だった


私は深く、溜息を吐いてしまっていた




「考え方なんて人それぞれじゃん? ライやアーサーなんかメッチャ()い人だしね♪」




ま、この辺で良いだろう……


これ以上言うと、()()()に感じられる


ママの勘は鋭すぎるから、この辺が丁度良い


そう考えを巡らせていた時、龍パパは笑顔で言葉を発した




「藍さんの言う事は(もっと)もだ…… でもね、咲子の言うとおり、考え方はそれぞれさ! それにね、私は思うんだ」




藍が食洗の手を止め、首を傾げる




「君もチェスが好きだと言ってたから解るだろう? ある意味、一番弱い将棋とチェスの駒は何だい?」




一瞬、間が開き、藍が答える




「んーー…… 将棋なら歩兵、チェスならポーンじゃ無いかな?」




笑顔で頷き、龍パパが答えた




「そうだね、そうなる…… 歩兵は隊を前線に導く駒だろう? ポーンは?」


「え? 同じじゃ無いかな?」


「うん、でもね、私は少し違う…… 盾にならどちらも成れる、敵の邪魔もね…… でも語弊はあるが、言うなれば歩兵は()()()()だろう?」


「どういう事です?」


「ポーンはね、絆があるんだよ…… 進むのは前のみ、駒を取るのは斜め前だろう? 歩兵に二歩(にふ)は無い……」




あ!っと表情を変える藍




「そっか! 斜めを繋げればドコを取られても取り返せる!」


「そういう事!♪ 味方の死は無駄にし無い、つまりそれは心があるって事じゃないかな?」


「なるほど!」


「それにね、歩兵は敵の陣地に進めたら金将に成れる…… それは昇進だろう?」


「うんうん……」


「じゃ、ポーンは?」


「基本的には女王(クィーン)に成れる、かな?」


「そう言う事だ♪ 将棋なら最強は飛車だと私は思う…… チェスなら間違いなくクィーン…… それは大切な仲間を女王に、つまりそれは伴侶(はんりょ)と…… 妻とする程、大事に思って居る事じゃ無いかな?」





藍は言葉を無くしていた


そこまでは考えが及ばなかった、そういう表情をしていた


龍パパは続ける





「どうしても味方で居て欲しかった…… 大切だった…… そう思っても、自分が未熟で…… 相手の事を思ってやれなくて…… 結果、戦場から離れた…… そんなドラマが…… チェスにはあるのかも知れないよ」





藍はポカンと口を開けて居た


そして龍パパに言った




(とら)え方が変わると、こんなにも優しいゲームなんですね♪ 凄く参考になりました! ありがとうございます!!」




そう満面の笑みを龍パパに送った


龍パパは照れて居るような、でも少し、淋しそうな顔をして、



「ありがとう、か…… それを言うのはこちらの方さ…… 私は、昔…… いや、何でも無い……」



そう言い



「チェスは相手の考え、立場を読むのも必要だからね…… 自分では何とも成らない状況に陥った時は、チェス盤を逆から見てご覧…… 相手の考えが読めるかも知れないよ」



と藍に言葉を送った



「はい♪」



とてもスッキリした顔を見せる藍が居た







不意に視線を感じる


その先にはライが居た


私に()()()()を送り、泉を指差す


私は笑顔で頷き、泉の耳元で(ささや)いた




「ねぇ、泉…… ライが【良い父親だね】ってさ♪」




驚き、泉はライを見る


ライは微笑んでいた


その顔を見て、泉も笑顔を見せる


そしてコクリと頷いた






しばらくして、「チェックメイト!」とアーサーが言う


それに対して龍パパは、待った! と叫ぶ


この繰り返しが数回行われた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ