44話 ひとときの安らぎ
アーサーは私に笑顔を向けて言った
「ライ、ソウ言ウ事カ…… 大切ナ人ガ危ナイ、ソウ言ッテ走ッテ行ッタノダケド、君ノ事カ…… サキコ♪」
大切?
危ないってのは、さっきの事?
私の頭を疑問が巡って居た時、泉はアーサーに声を掛けた
「ライが言ってたの? それにアーサー、貴方…… 何で日本語を話せるの!?」
「日本語ハ日常会話程度ダケドネ…… ソレニ、ライハ特別ナ兄弟ダヨ? ソノ位ハ解ルサ♪」
泉は苦笑いを浮かべる
「なるほどね…… さすが双子♪ そして……」
そこまで言った泉が私を見た
藍とアーサーもつられて私を見た
どうしたんだろう?
泉が言った
「ライは咲子の危険を感じて、全速力で助けに向かった、と♪」
「ちょ! ば!!!」
あまりの驚きと、顔が熱くなる感覚に言葉が出なかった
「なるほど♪」
「ナルホド♪」
藍とアーサーまでもニヤニヤしながら茶化し気味に声を合わせる
2人よりも更にニヤニヤした顔を見せる泉
「あの日のライは、すごーーーーーーーーく楽しそうだったなぁ♪ 私が電話受け取るのを躊躇う位に、ね♪ 惚れられちゃったねぇ…… サ、キ、コ♪」
戸惑いを隠せない私は、思いっきり泉の肩を叩いた
「茶化さないでよ! バカ泉!!」
私はそっぽを向いた
ふと、視界に入った一人の男性
アーサーに瓜二つの顔
ライだった
「あ……」
私はそっぽを向いた方向も見ることが出来ず、下を向く
私の向いた方を見た泉
「ライ! どこ行ってたのよ! 探したんだからね!!」
ライは困った表情をして、頭を掻いた
チラリと私を見た泉は、ライと呼ばれた男性と私の間に体を入れる
「今走って行ったのって、咲子を助けたかったから?」
真っ直ぐ泉を見たライはコクリと頷いた
パァっと笑顔を見せる泉
「やっぱりか!!!」
私は赤くなる顔を隠す事しか出来ず、無言で地面を見続けた
泉が私達の間から体を引く
私は地面を見ていた為、ライの表情が伺えない
でも解った
私の姿を確認したライは照れて居る事に……
そしてコレも感じた
泉、藍を始め、アーサーまでもがニヤニヤしている事に……
「良かったねぇ咲子♪」
「そーゆーんじゃないって! なんてゆーか、そーゆーんじゃないって!」
自分自身、何を否定したいのか解らないけど、ただその言葉のみを口にした
チラリとライを見た
彼は私から視線を外した
白く美しい顔を赤く染めて……
それを見た泉は
「なんか嬉しーなぁ♪」
そう、笑顔で言った
その場でひとしきり会話をした私達に泉は話し掛けた
「そういえば、もう中々の時間よ? 藍の親御さんはどうなの?」
首を傾げる藍
「どう? って?」
そう聞き返す彼女に再度問う
「いや、今居るの? 家にさ?」
「居ないよ? 今日は夜勤らしーから、今晩は帰って来ないと思うけど……」
「ふむ、ご飯は?」
「適当に作るよ?」
「そかそか!」
「ん?」
「なら今日、ペナルティーご飯おごりたいのは山々だけど、ウチに来て一緒にご飯食べない?」
そう聞いた泉は笑顔だった
「え? でも……?」
困り顔の藍が、私達を交互に見る
私もその提案には賛同だ
「いーじゃん! なら一緒に食べよ!」
そう言葉を連ねた
「決まりね!」
有無も聞かずに泉が口を開く
踵を返した泉が自然に……
実に自然な流れでアーサーと手を繋いだ
その行動に私は驚きを隠せない
2人は付き合って居たのだと、今更ながらに気がついたのだった
そっと私の右手に手が触れる
その手の先にはライが居た
そして私から視線を外し、前を見る彼の顔は紅潮している
私も顔の熱が上がるのを感じ、それを誤魔化す為に、左手は藍の手を握った……
藍がフフフと笑う
そして、耳元で囁いた
良かったね、と




