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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
3章 咲子
43/157

42話 抜け殻

男達は固まり……



その後、逃げた







藍と私は何が起きていたのか理解も出来ず、ただ壁を背にして動けずに居た



彼が拳銃を、それほど()()()()()()()()()()に入れる



その姿をゆっくり私は見ていた



おもむろにポケットから出した手を、彼は自分の顔に持ち上げる



そして私を見て、その手の人差し指を自分の目に向けた



何がしたいのか解らなかった







()()()()をしていた







彼はゆっくりと、たまに素早く、()()()()()()()()()



ふと私は()()()()、そして()()()に気付いた



そうか、そういう事ね……



その行動を理解する



モールス信号だ








彼は眼で話し掛けてきていた








【大丈夫?】



私はうんうんと頷く



【よかった、じゃ、また後で】



私はまた、うんうんと頷いた



彼が路地に向けて歩き出す







「ねぇ!!!」







私はとっさに声を掛けていた



振り向いた彼に、私は眼で、



【ありがとう】



そう、返す



彼はニコリと笑うと、その姿を路地に消した



私と藍は顔を見合わせ、腰を落とす



そして、笑顔で泣いた



よかったね、よかったねと……



どちらが先に発した言葉とも解らず、ただソレを繰り返した



もう、こんな所に居たくない



私は藍の手を引き、大通りに向かって路地を走った










駅前のモニュメントの前まで走ると椅子に藍を腰掛けさせる



私は目の前に見える自動販売機から飲み物を買い、藍に差し出す



2人でプシュッッ! と音を立てて缶を開け、グイッと飲み干した









そしてただ、呆然と空を見上げていた









雲が流れていた








形を変えて








ただ、ゆっくりと流れていた








私達は、無言でソレを眺めていた










しばしの静寂が流れる










不意に空を見ながら藍が口を開く








「なんかさ…… 大変だったね……」









「うん……」









私はそれに頷き答える










そしてまた静寂が包む










私は空を見ながら、静かに言葉を発した










「藍…… 貴女は無事…… 私も無事…… あまりダークに考えないでね…… 問題無かったんだから、負の感情とか…… 持っちゃダメだからね……」








「うん…… 2人とも無事だったからね……」










藍も空を見続け、そう答えた










また、静かな時が流れる












ボーッとしている最中



違和感を感じやすい私はソレに(とら)われる



あの人……



あのアメリカ人の人……



どこからポリバケツを持って来たんだろう……



いや、いいんだ……



ポリバケツなんて、無理やりの理由なら何とでもこじ付けられる



アノ路地に入る前に持ってきたとかなら……



でも、その他の理由には無理がある









彼のポケットから出したサバイバルナイフ……









(さや)は無かった……









鞘をポケットに入れたまま抜き取った、それならそれでも良い



でもポケットにサバイバルナイフ1本ずつ入るものだろうか……



それにソコから更に拳銃2丁……









物量的に無理がありすぎる









何より、サバイバルナイフは彼が撃ち抜き、粉微塵にした



それにしても、ポケットに鞘は残ってあるはず



そこに更に拳銃を入れたのであれば……









有る、と思われる膨らみ、シルエット…… それらが無かった









確かめたい事があった



私は、すぐ戻るから少しだけ待ってて、と、藍に言い残すと走る



向かった先は、先程の空き地



着いたその空き地の隅を見る



何も無い



あるべきポリバケツが…… 無い



彼が突き刺した、そして拳銃から放たれる弾丸で破壊した、サバイバルナイフ2本の残骸……









それらも姿を消していた









その位置には、縦に伸びた菱形…… 刃の形に穴だけが空いていた









それは、夢では無い、という証拠でも有った









私は戻った



藍の隣に、お待たせ、と



理解の出来ない違和感を携えたまま、私は長椅子に腰を下ろす



隣の藍は今もまだ、空を見上げる



私もつられて、また、空を見上げる



そして思う



あんな事があって、いつも楽しそうに笑う藍が…… 抜け殻の様になる



現場に戻れば、ナイフの穴以外、何も無い



それは夢と言わんばかりの現象



藍をこんなにして…… 夢で済ませられない……



有ったのだから、その証拠が……



夢では無い証拠が……









多分、私は解っている









アレは……









力、だ……









多分、まだ私に理解出来ない力がある









敵、では無いと思う



彼は【また後で】と伝え残した



その表情に()()()()も無かった



むしろ親しみのある笑顔



そして、柔らかく、優しく話してくれた()()()()によるモールス信号



私は、ソレを、どこかで知っている様な感覚になっていた


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