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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
3章 咲子
31/157

30話 家

「ただいまー!」



家のドアを開ける



玄関にまで届く美味しそうな匂い



私達家族は3階建ての家に住み、2階は私達家族


3階は龍パパと胡桃ママ、今は留学中の泉の部屋



そして今、調理の音がする家族全員のリビングキッチンが1階だ



私は部屋に荷物と制服をしまい、パジャマに着替えてリビングに降りた



ダイニングテーブル、その私の席に着くとテレビを点ける



トントントントン……



料理をする音がこだまする



私達は2つで1つの家族



料理はママと胡桃ママの2人で()()()()()()



私はつまらない番組をポチポチとローテーションしていた



まな板のリズムが変わるのを感じる



それと共に、視線も感じる



不意に振り返るとオープンキッチンの調理場から胡桃ママと並ぶ、私のママが見ていた



「ん? 何?」



純粋に不思議な表情で私は問う



「んーーん! 何でも無いよ♪」



なぜかとても嬉しそうな表情で首を振った



何だろう?



ま、いっか!



私は、またテレビに向いた



再びつまらないバラエティー番組、クイズ番組をコロコロと変え、食事までの時間潰しだ



ただ、その間、何度も何度も変わる()()()()()()()()()()()()



コレは調理によるものでは無い



感情によるものだ……



それ自体はもう気付いていた



そして何度も何度も知らないフリをしているママの、私に向けた視線もだ



私はテレビを見ながら背後に話掛けた



「ねぇ、ママ? 何? ズーーっと見てるけど?」



そう言いながら私は振り向きママを見る



どうしたのかと胡桃ママも、私とママを交互に見ながら調理の手を止めない



「んーーん! 何でも無いの♪」


「何でも無いって事は無いでしょ? ズッと見てるじゃん!」



少し苛立ちを表に出す



「んーーー…… なんてゆーか…… 嬉しくて、かな?」



ママはよく解らない言葉を言った



私は首を傾げ、「嬉しい? 何が?」



と、聞く



それに答えたママの言葉が衝撃的だった



「だってーー! 友達出来たんでしょ? 顔見ればわかるよ! いつもと違うもの♪」







驚いた


私は何も言ってない!


いつも勘が良いけど……





ママは更に続けた



「彼氏じゃないのが残念だけどね♪ うん、彼氏じゃ無いなぁ…… ()()()()が足りないもの! 出来たのは友達ね! うんうん♪」


「な、な、な、何を言ってるの!? それにまだ友達じゃ無いし! そーゆーのまだ伝えて無いし!」



私は動揺を隠す事が出来ない



どこまでバレてるんだ!?



嬉しそうな顔の胡桃ママ



「あら! 咲子おめでとう♪ やったじゃん! 桜子、もう1品増やそうよ!」


「それいいね♪」



学生の()()がまだまだ抜けきらない母親達だ……



あっ! 



そう顔を変える胡桃ママ



そして私を見て言った



「咲子、明日は日用品買いたいんだけど、荷物持ち手伝ってくれない?」



あ、明日は……



そう言おうとした瞬間、ママが割って入る



「胡桃、待って! 明日は友達とデートよ♪」







私の顔が引き()る……







ド、ドコまで……


ドコまで知ってるんだコノ人!?






そう思った時には声に出していた



「な、なぜ…… ソコまで……」



フフフッと笑うママは、それが当たり前と言わんばかりの口調で優しく話し掛ける



「解るわよ♪ 貴女、ウキウキしてるもの! それに明日は創立記念日でしょ! 間違いないわ♪」





かなわないなぁ……


何でもお見通しなんだ……


いや、コレが親なのかも……


ホント、うん……


かなわないよ……


これが私がズッと守られてきた愛なんだろうね……


妙に納得して、私は恥ずかしくて声に出さなかったけど、心の中でありがとう、と伝えた



「友達とのデート楽しんでおいでね♪」



胡桃ママが調理の手を動かしたまま、満面の笑みで私に語り掛ける



「あ、ありがと……」



ちょっと恥ずかしくて、私は目を背けた


何か思いついた面持ちで胡桃ママが口を開く



「今度、友達連れておいでよ♪ 一緒に食事しよーよ! えーと、何ちゃん?」



私は今日ちゃんと覚えたての名前を口にした



「浅田さんって言うの♪」






ピシッ……………………!






何か凍り付いた感覚に襲われる






解る






コレは胡桃ママの緊張だ







それよりも何故……?






何かおかしな事言った覚えは無いはずなんだけど……






胡桃ママが言葉を繋げた



「ふ…… ふーーん…… 浅田さん、ていうんだぁ…… ね、ねぇ……? 下の名前は、何……?」






私は一呼吸置き








「藍」

「藍……?」








胡桃ママも同じ名前を口ずさんだ



そして、調理の手を止める



カラン……



手からまな板に転げる包丁の音



私も動揺を感じていた




「く、胡桃ママ……? 何で、知ってるの……?」




胡桃ママは思考を巡らせているのか動こうとしない



そして、ようやく選んだ言葉は、





「その子は…… ()めといた方がいい…… と、思うよ……?」





だった


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