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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
3章 咲子
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26話 恐怖の対象

妙な違和感に足を止めていた


そんな私に、すぐ後ろに居た浅田さんは不思議そうに小声で声を掛けた



(咲子さん? どーしたの?)



なんと言えばいいのだろう……?


一瞬考える


一番ファジーに、でも伝わり易い明確さも持ち合わせた言葉を選んだ



(ん、なんてゆーか…… 爆発? し無いよね? なーんてね……)



驚きの声を添えた彼女



(はい!? どゆこと??)



そうだよね…… こんな感覚…… 伝わるわけも無い……



(いや、いいの! ゴメンね! なんかデジャヴ? みたいな……)


(ん? ああ!! なんか昔あったらしーよ? それで大火事とか何とか?)


(そ、そうなんだ……)



ここまで如実にデジャヴを感じた事は無い……


コレは……


ママか……


もしくは胡桃ママの紅眼の記憶なのだろうか……





爆発、そして、何かに追われている……


そんな記憶を確かに感じる





コレは浅田さんの言っている通り、昔、実際あったのだとすれば……


ママ達の記憶というより、ルビーの残り香……


20数年の時を経て尚、こんなに鮮明に……





アレは誰だ……?


誰に追われている……?


そこまでは解らない……


ただ、解るのはこの学校で昔起きた、私の大切な4人の親の…… 戦争だった







私は頭を振る


今はまずやる事がある


私達は理科室に足を運んだ


2人で理科室に入った後、戸を閉める


ついでに鍵も掛けた


ゲシュがココに居る事は確実


逃げられないようにするためもあるけど、むしろ男達が来ないようにする為でもある



そして



(ニャーオ…… ニャーオ……)



猫の鳴き声を真似すれば出て来てくれるよーなドラマか何かを見たことがある



(ニャーオ…… ニャーオ……)



現れはしない……


ただの迷信かも知れない……







そんなに広いわけではない理科室


二手に分かれる


私は実験機材室のある扉側と教卓側に……


浅田さんは理科室の後部から前部に向かってもらう事にした






キョロキョロと見回す私達


教卓側には居そうに無い


実験機材室内だろうか……



ギィ……



実験機材室の扉を開ける


顔だけ覗きこみ見渡すが、やはり居そうに無い


居る、とすれば、人体模型位だ


それよりなにより、私はバカだ……


扉が閉まっているのにゲシュが入れる訳も無い……


少し、自分に呆れてしまう


私は扉を閉めながら理科室に向き直ろうとした





その時だった





カンッッ……



え?


フラスコが隣のビーカーと音を立てる


よく目をこらすと……



居た!



黒いブラの陰になり見えなかったのか!?


いや、まて……


何故戸の閉まったココに入れたんだろう?


いやいや、むしろ私が開けた直後に入る事は簡単だ……




いやいやいや私!


まずはブラが優先!!




実験機材室の扉を閉める


コレで完璧!



(おいで……)



怯えた表情のゲシュペンスト……


あれだけ追い回されれば当然だろう……



(恐くないから出ておいで……)



よく見たらブラのホックが止まって居た


そのお陰で首からぶら下がったままだったのね……



(ナイスじゃんゲシュ…… 偉いよ、貴方♪)



ゲシュはスッと棚から降りる


そして私を横目に実験機材室の扉に向かった





ん?


閉めてるよ?


行き止まりなのにドコ行くの??


何故、何も無いかのような足取りで向かうのだろう?





その疑問はすぐに消し飛ぶ





え?




え??



え???????




と、通り過ぎた……


いや、透き通った!?





頭部が扉に埋まり、そして胴体が…… 扉に融けて行くように…… そして尻尾の先が、今、消え…… いや…… 通り抜けた……



いやいや、自分でも何言っているかわからない


理解不明の何かを見た、今だ、今現在だ……


扉…… 閉まってるのに…… 通り抜けた…… が、やはり正しいのだろうか……


扉の前には、通り抜け損なった…… のか? 浅田さんの黒いブラだけが残って居た





呆然と、そのブラを見る





えっと?




何が起きたの?




ゲシュ… ゲシュペンスト…… 幽霊……?




ホントの…… 幽霊?




訳分かんない……




えと…… ナンだっけ??




あ、ああ!




ブラよね、ブラ……




優先第1位は確保した、のに……




今起きた現象が…… 喜びを消していた……




そしてある言葉が頭をよぎる




昔から幾度となく言い聞かされた言葉




【人の理解を超える力は恐怖を呼ぶ…… それと共に憧れと嫉妬を持つ…… ひいてはココに居られなくなる…… 覚えといてね】




私の大好きなママの言葉




力の使い方を間違わぬ様に、何度も何度も…… 私が泣いても、肩を抱き、真っ正面から教えてくれた…… 胡桃ママの言葉




今になって、ようやく理解した気がする




コレが、人の理解を超える力……




今のゲシュ…




ルビーアイなどの力じゃ無い……




絶対に違う




ルビーの残り香がしない




ごく自然な物体透過……




コレが理解出来ない恐怖、なのか……




コレを胡桃ママはずっと教えてくれていたんだ……




見えなきゃ良い、バレなきゃ良い……




そういう問題じゃ無いんだ……




遠回しに教えてくれていたんだ……




私が……


私こそが、他から見て……


【恐怖の対象】だと……




だから、あれ程…… 熱心に、私に……




ゴメンね…… 胡桃ママ……


言い付けを軽く考えてしまってて……


もう、大切な時まで……


もう、必要な時まで……






この力は、もう、使わないよ……


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