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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
3章 咲子
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25話 協力

「咲子さん、猫ちゃんの見当はついてるの?」


「うん、一応今は1階を逃げているよーだよ?」



浅田さんは廻りをくるりと一周見渡して、そしてまた私を見た



「なら、2階に行こう! 西棟のアレを見て! 廊下をローラー作戦してる! こちら側からも数名行った! 間もなく南西辺りなら階段があるから、猫ちゃんが登るのに賭けよう!!」



あっけにとられる



なんという、明確で説得力のある推理



これは心強い!!



「うん、それで行こう! この位置なら南東の階段から行くのが早いね! 浅田さん、行ける?!」


「もちろん!!」


「よしゃ! ブラゲットだぜ!」


「ポケモンぽく言わないでーー! アハハッ!!」



私達は階段に向けてダッシュする



取りあえず2階を目指さなきゃ!



その時だ



トゥルル…… トゥルル……



携帯電話がなる



トゥルル…… トゥルル……



無理! 今は緊急時!!



トゥルル…… トゥルル……



階段を駆け上がる



トゥルル…… トゥルル……



2階に到着した



キョロキョロと見渡す



まだゲシュは2階に来ていないのか!?



トゥルル…… トゥルル……



階段を登り切りった浅田さんも、私の隣に到着する



「ハァハァ…… さ、咲子さん…… ゲホッ…… 足…… 早いね…… ハァハァ……」


「ソコまで体力に自信ある方じゃ無いけどね…… アハハッ……」



()()()は人に、内外面に害を及ぼす



でも使い方さえ身に着ければ損害無く身体能力を高めることなど造作もない



彼女には言えないだけで、私は自身の半分の体力しか使ってはいないのだ



トゥルル…… トゥルル……



私の目は2階教室棟と、西棟へ向かう連絡通路を交互に捉える



トゥルル…… トゥルル……



電話長い!


シカトしてるんだから早く切れればいいのに!!



「咲子さん、さっきから電話鳴ってるよ?」


「うん、状況が状況だからシカトちゅー♪」



驚いた表情をしてるのか、その顔は見ていないが視界に入る手の仕草は、いいから取って! と、言っているようだ



パートナーが集中出来ないのではどうしようも無い



私は携帯電話を取り出した



相手は……



あ!



泉か!!



これは失礼な事をしてしまった!!



トゥルル…… トゥルル……  ピッ!!!



電話を繋ぐ



よくよく話してはいるものの、姿の見えない電話では声だけでも…… やはり懐かしさと嬉しさを感じてしまう



「咲子?」


「泉! お久さー!」



電話の先の姉妹が安堵に聞こえる溜め息を吐いたのが聞こえた



「出るの遅いよー!! 心配したじゃん!」


「ごめーん! ちょっと立て込んでてさぁ! あ! ちょ! まっ! そっち!!!  早く!!!」



居た!



ゲシュだ!!



そのまま階段を登って三階に向かったのが見えた!



こっちの暴動などつゆ知らずの泉は素っ頓狂な声で話し掛ける



「何してるわけ……?」



ダメだ!



余裕など無い!!



今は全校男子よりも私達が一歩先に居るのだから!



「ちょっと立て込んでるのよ! 後で掛け直すね!」



私はそう言うと即座に電話を切る



「浅田さん! ゲシュが三階に向かった!

 私はこのまま追うから、貴女はこの階段からそのまま三階に向かって! そして西棟三階の理科室側にね!」



彼女は私に敬礼の仕草をしながら


「了解!!」と言い、私との離れ際に


「私達! 結構良いコンビね!!」



そう私の背中に叫んで階段を駈け上がった



頼もしい



そう感じた瞬間



友達なんて要らないと思っていた私自身が、驚く言葉を発していた



「うん!! ベストタッグよね!!」



と……








私は2階を西棟に向けて走った



大きな学校のせいで連絡通路も()(かく)長い



男達の怒号が下の階から聞こえる



ゲシュが上に逃げた事にまだ気が付いて居ない様子



チャンスだ



走りながら携帯電話を自撮り用のカメラモードに切り替える



そして背中に向け、より速度を上げた



画面には廊下が見える



誰も追って来てない!



よし、更に()()を上げる



体が羽根の様に軽くなる感覚



足の筋力は見掛けこそ変わらないものの、はち切れそうな程に密度を増していた



そして、少し……



痛みを感じる



この辺が限界ね……



長い連絡通路はすぐに終わりが見える



走りながら階段に進路を変え、そして…… 跳んだ!



ヒュッ…………



体が風を切る



究極の走り幅跳び……



そして究極の走り高跳び



10数段を一気に登る





ズダン!!!!!





折り返しの踊り場の壁を踏み、垂直に伸びる左足からは止まる際に弾けた音が鳴る



ピンと伸びた右足は床を垂直に支え、私は【├】の字にピタリと止まった



誰も見ていない独り用の急ブレーキならコレが楽だ



そしてもう一回逆向きに、見える三階の踊り場に向けて跳躍した



今度のその先は三階連絡通路と左手に見える三階西棟廊下、助走無しがちょうど良い



着地した私は正面連絡通路を見回す



姿無し!



西棟廊下



居た!!!



ゲシュペンスト!!



理科室にスッと消える尻尾を見逃さなかった






(やはり…… か……)






ん?



今ドコからか声が聞こえたよーな?



キョロキョロと見渡すが人の気配は無い様に感じる



空耳かな……?



気を取り直し、理科室に向けて駆ける瞬間



タッタッタッ……



走る音



「咲子さん!」



浅田さんがこっちに向けて走ってくる姿が見えた



直ぐさま私は口元に人差し指を添え、静かにして欲しい(むね)を伝える



すぐ言いたいことが伝わった様子



彼女はヤバイという顔で手を口にあて、走り寄って来た



(ハァハァ…… さ、咲子さん! どう……? ケポッケポッ……)



状況を察した彼女は、息を切らしながら小声で話し掛ける



(うん、居た! 理科室だよ!)


(ケポッケポッ…… だ、男子は……!? まだ……ハァハァ…… 下ぁ……!?)


(うんうん! 大丈夫! まだ来てないぽい!! 行こう!!)



静かに、静かに……



私は体に掛けた力を抜き、ギアを落とす



バレては居ない様子、上々だ



タッタッタッ……



理科室がすぐに近付く



覗きこんだ瞬間



()()()()()に囚われた私は、理科室に入る足を止めた



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