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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
2章 泉
20/157

19話 携帯電話

スティが言っていた()()()……


ソレに疑問を持ちながらも、私は校舎を出た


そして、すぐ前の暗がりに見える長椅子に腰を下ろす




涼しい


というよりは肌寒い……




腕時計を見ると、もはや夜の23時を()していた


不意に携帯電話を開く


その待ち受け画面を眺める




随分と懐かしい感じがする


そして、ホッとする


頑張らなきゃ!


そう、力が湧く


私は独りじゃ無いのだから






「泉! 教授ドウダッタ?」



急に声を掛けられた先にはエリスが居た


隣にはライ、アーサーも見える


そして隣に腰を下ろして携帯電話を覗いた



「ン? 家族写真? 泉パパ&ママ? 隣ノ3人ハ?」


「うん」



そう口を開き、私は画面を指差す



「こっちもパパとママ、この子は私の姉妹よ♪」



エリスは疑問の表情を浮かべて言った



「パパ&ママ2人?」


「そう、2人居るの♪」



満面の笑みを浮かべた彼女



「ソッカー! イズミ幸セ者ダネ♪」



うんうんと、私達は頷き合う


それを見ていたライとアーサーも笑顔を見せた





エリスが唐突に口を開く



「Japan…… ソウ言エバ、泉ノ住ンデル所ハ何処(どこ)?」



私は町の名まで話す


突如、エリスの表情が変わった



「ソコッテ、マサカ…… 例ノ町……?」



例の、とは何だ?


ごく小さな町のハズだが……


エリスが続けて口を開く



「イズミ…… シスター大丈夫ダヨネ……?」



そう、不安な表情を見せる


何の事だか解らない



「何の事?」



そう、私はそのまま聞いた


表情を一変、恐怖に変えたエリスは私の肩に手を置く、そして叫んだ



「電話掛ケテ! シスター二…… 早ク!!!」



私はあまりの剣幕に驚き、携帯電話のボタンを押す


辺りを包む闇夜がより深くなるのを感じた








トゥルル…… トゥルル……



携帯電話のコールが鳴る



トゥルル…… トゥルル……



電話の相手は咲子だ



トゥルル…… トゥルル……



でも繋がらない



トゥルル…… トゥルル……



その繋がらない電話を耳にあてたまま横を見ると、不安そうなエリスの顔



ニコリと笑いかけ、私は前を直視する



トゥルル…… トゥルル……



もう諦め掛けて、切ろうとした時だ



ピッ!!!



繋がった



「咲子?」



「泉! お久さー!」



少しホッとして私は言葉をつなげる



「出るの遅いよー!! 心配したじゃん!」



「ごめーん! ちょっと立て込んでてさぁ! あ! ちょ! まっ! そっち!!!  早く!!!」



いきなり訳も解らない言葉が後に続く



「何してるわけ……?」



「ちょっと立て込んでるのよ! 後で掛け直すね!」



そして即座に切られた……


なんだかよく解らない状況に切れた携帯電話を私は眺める


隣を見ると呆れた表情のエリス


正面の男性2人も困った笑みを浮かべていた


とりあえず元気そうで何よりだ


そういう事にしておこう



「元気ソウネ……」



苦笑いを浮かべ、エリスが言う



「そのようね……」



そして私も呼応した


男性2人も顔を見合わせ言った



「タダノ心配二終ワッテ良カッタジャナイカ♪」



アーサーが口を開き、ライはコクリと笑顔で頷く


こんな静かな夜の校庭


携帯電話から流れる会話など、皆に筒抜けなのはしようが無い





でも、何だというのだろう?


急に電話をしなければならない状況でも有ったのだろうか?


私はエリスに疑問を投げかけた



「でも、何だったの? 私の町がどうとか?」



コクリと頷くと、エリスは困った表情を見せる


そして



「Yes…… 泉…… 貴方ノ住ンデタ町デ困ッタ事二成ッテイルノヨ……」



困った事?


私の表情を確認したエリスが話を続けた



「……貴方ノ町…… 今ネ…… 変ナ()()()騒ギガ有ルノ…… ()()()()()()ガ何人モ見ツカッテテ…… 時々、人ヲ襲ウトカッテ話ナノ……」



驚愕した



紅い眼



そう、ルビーアイだ……



私達家族以外にも居るというのか!?



いや、違う



居たんだ、やはり




そうか!



だからプロフェッサー・スティもあんな事を言っていたのか!



【参考までに】、と!



まだ在学中だが、そろそろ日本に戻らなければ成らないのかも知れない……



そう思った時だ



トゥルル……



電話が鳴る



着信は咲子だった





私は着信ボタンを押し、耳に寄せる



「泉! さっきはごめんね-! ちょっと立て込んでしまっててさー!」



本当に元気な子だ


実にホッとする声を聞き、笑顔を隠せない自分が居る事に気付く



「いいのよ! むしろ忙しい時にゴメンね!」



少し申し訳ない気持ちにもなっていたのは否めない



「いいよ、いいよ! 随分いつもと違う、珍しいタイミングで電話くれたけど? どーしたの?」



私は友達3人を見渡し、携帯電話に耳を傾ける



「うん…… 実はさ、その町で今…… ルビ、じゃ無くて…… 紅い眼の人間が目撃されたって聞いて驚いちゃってね……」



「そーらしーね…… でも大丈夫! その時は()()()()するから!」



「そーゆー問題?! いや、まあ…… でも無茶はしないでよ? 力に差が有ったら、私達でも……」



ヤバイ……



人が居るのに話しすぎた!



話を変えなければ、また筒抜けになる



私は口を抑え、話を変えようとした



その時、目の前で手が見える



エリスが手を振っている



何だろう?






バレたか……






彼女は結んだ右手の親指と小指を立て、耳にあてたジェスチャー……



電話かな?



そして、頂戴の仕草



電話を貸してって事か!



それならそうと小声で言ってくれれば良いのに……



私はエリスに電話を渡す



電話を受け取ったエリスが嬉しそーに笑顔を見せた



「hello! my name is Ellis♪」



当たり前だが、流暢な英語で話始める



「え!? えーーーーと…… マイ…… ネーム…… イズ…… 咲子……? ナイスチューミーチュートゥー……?」



いや、今現在会ってもいないのにnice to meet you,too は正しいんだっけ……?


電話で初対面の人と会話したこと無いから解らないや……


てか最後のtooも、言われてないのに、私もって…… 要らないだろソレ……?



ま、いーけど……



よく解らない会話のやり取りを横目で見ながら苦笑いしてしまった



おぼつかない英語で頑張って居る咲子が可愛い……



一通りの会話を済ませ、満足げなエリスはライに電話を渡し、彼はそれを受け取った





あ!





そう思い、私は電話を受け取ろうとする


彼女に何の悪気も無い事は知っている


でも、彼は…… ライはダメだ


電話は渡せない




彼には()()()()()()()



そう……



彼は()()()()()()()()



声が出ないのだ



困らせる前に受け取らなければ……



そう思い私は立ち上がり手を出した時だった



だが彼は声の集音部をトントンと叩き始める





何をしているのだろう?





受け取ろうとした手を引っ込める事も忘れ、私はその行動を黙って見ていた



トントン……



いや、やっぱりダメだ



会話になってない!



コレではライが寂しい想いをするだけだ



トントン……



電話を受け取ろうとした瞬間、電話の先から「ん?」と、咲子の声がする



トントン……



そしてたまに、その手を止めたりしながらライは続けた



「あ!」



何かに気が付いた様子の咲子の声


そして電話の先からもトントンと音が鳴った


私は驚いた


ライの表情が笑顔になる


今まで見たことの無いほどの満面の笑みだった








何が起きたのか、起こっているのか……


ソレを気が付いたのは少し後の事だ





彼らはちゃんと会話をしていた


()()()()()()というやつだったか?


咲子がなぜ、それを知っているのかは解らないが、少なくともライは意思疎通出来る相手が居る事に笑顔が止まらない



私はその笑顔を止めることは出来なかった



そして彼の満足いくまで電話を渡したのだった


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