16話 最後の罠
証拠も残さない
状況も掴ませない
そして、奴らを排除する
全ては想定の範囲内だ
私は暗がりで立ちすくむ彼に言った
「社長さん…… 貴方は終わりです」
表情を変える彼に怒りが見える
「終ワラン! 終ワラセテタマルカ!」
「いえ、終わりです…… 貴方は刑務所に入る事になります」
「ナンダト!?」
「正直言えば、貴方が素直に交渉に応じてくれれば、ココまでを実行するつもりは無かった…… 穏便に済めば、それに越した事は無いからね…… 彼女を私が守り、そして貴方達に圧力を掛けるだけで良いはずだった」
「私ノ…… 私ノミスナノカ……?」
「そうよ…… 銃弾は撃ち尽くしたでしょ?」
「ン? ……アア…… 無イ…… モウ、無イ」
「……そう」
私は踵を返す
「じゃ、サヨナラ……」
背中越しに彼に伝えた
「貴様ダケハ!!!」
ダァァパッッキィィィィン!!!
その時聞こえた銃声
そして銃弾が奴の頬をかすめる
「残りの銃弾を聞いた時に言葉を濁したわね? まだ残ってる事は解ってた♪ 嬉しいわ…… その結末に辿り着いてくれるのは、本当に嬉しい…… うん…… 貴方はやはり、許すべきでは無い…… そう思えるから」
私は顔だけ振り向いた
フリーマンの顔は恐怖が映っていた
「貴様…… ナンダ…… ソノ紅イガラスハ!?」
暗闇の中でも美しく光る紅い盾がソコに在った
「言う必要は無いわ…… 昼に同じ事があってね…… 2度同じミスはしない主義なの」
私は奴に背を向けると同時にルビーの障壁を創っていた
「最後に言わせて…… 貴方、殺人犯よ」
「何!?」
「貴方の銃弾で死んだ者も居る…… 彼等の銃痕には社長さんの銃弾が入って居るわ…… では、失礼しますね……」
「ウ…… ウワァァァァ!!!」
彼は叫声を上げ、暗い足元に手を這わせて居た
そして手に触れた幹部達の胸、その銃痕をしきりにまさぐる
終わりだ
最後の仕上げが、今、済んだ
貴方の精神状態では無理な事だろう
ただ確実なのは、1番掛かってはならない私の罠にハマった事だ
警察が間もなく来るだろう
その時には貴方の手は真っ赤……
気付いて拭いてもムダ
ルミノール反応が確実に出る
サヨナラ、フリーマン
私は社長室の扉を指紋を残さないように開ける
通路はまだ電灯が切れ、暗闇だ
静かな通路に一際響くフリーマンの叫び声
それと共に、人の声が混ざっていた
間もなく守衛が到着する
私は非常口扉へと走った
扉を開けて非常階段を降りる
一気に到着した2階
守衛室の前を通る事は出来ない
この高さ程度なら問題は無い
私は地上アスファルトへ跳んだ
走る
ランニングを装って走った
問題が滞りなく済んだ今は黒のニット帽は邪魔なだけ
走りながらリュックサックへと押し込む
そしてまた、走った
遠くでサイレンとパトランプが見える
路地に入って宿舎を目指す
不意に捉えた足音
追われてる……
同じ距離を保って居る事が解る
私はスピードを上げた
変わらぬ足音との距離
今度はスピードを下げてみた
ん?
足音が近付く?
ある程度の距離が縮まった時だった
私は背後から声を掛けられた




