表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
2章 泉
13/157

12話 処分

私は()()()()に戻っていた


エリスを探していた時のように嗅覚のレベルを上げる


4人で逃げた道順は解らないからこそ、私はまたエリスの試供品のシャンプー


その匂いを捉えながら逆向きに走った








走りを進めると見覚えのある林に辿り着く


私は極力、気配を消しながら歩き始めた


(にお)いがする


匂い……


匂いじゃ無い


コレは(にお)いだ……


エリスの心地良い匂いとは程遠い物


コノ臭いは……








血の臭い








私はゆっくりと足を進める








そして()()()()に着いた








私の荷物、トートバッグが無かった








何も、無かった








誰も、居なかった









黒服達はドコ?








私は辺りを見回す








姿は無い








ココから移動した?








考えられるが、多分、違う








移動したんじゃ無い








移動()()()()()んだ








だから違う








コノ臭いは、絶対に違う……








不意に目を向けた


足元に妙な物が落ちている


なんだコレ……?


私は腰を屈めてソレを拾った


そして、眺める


【青い…… 紐? いや、ビニール片か……?】


何も、誰も居ないこの場で……


確かに鼻を突く臭い……


私は嗅覚をそのまま保持しながら、()()()()()()


指から手に入る情報を記憶……


そして感覚のフィルターに掛け、精査する


この肌触り……


どこかで……


どこかで触った事が、確かにある






青いビニール……






この場所……






血の臭い……






まさか……






ソレが脳裏に浮かぶ


そして、この状況……


可能性が高い……






奴らは…… ()()された


この青いビニール片


コレは、()()()()()()だ……


奴らを上に乗せて、殺した……


血が飛び散ってもブルーシートごと回収するように……


そうか……!


奴らは私達が逃げている時も先回りした事が有る


イヤホンか何かで連絡を取り合える!


仲間を呼んだんだ!


でも、状況からしてミスの制裁を受けた


コレが、1番妥当性が高い






マズい……


本当は逃げられる前に、私の記憶を処分する為に戻ってきたのに……


他に告げられては問題が生じる


臭いだ……


この場から去る臭いを追え……


さほども時間は経って居ない


ブルーシートに包まれたとはいえ、この血の臭いは強い


探せる、私なら……






こっちね……?






私は走った


砂利道に差し掛かった時に荷台を開けた中型トレーラーが目に入る


アレだ!


こんな人通りの無い道


郊外の林


人家も遠い


荷物を出し入れする必要性が見当たらない!


間違いない!






私はそのトレーラーに歩み寄った


ブルーシートが巻かれた物が1個見える


残り2個は、もう積んだのか……



「hello♪」



私は荷物を重そうに荷台へと乗せている作業着を着た男性に声を掛けた


ドキリとした表情を一瞬見せたが、直後、彼は笑顔に変えた



「ヤア♪ オ嬢サン…… ドウシタンダイ?」


「いや、何をしてるのかなって…… こんな場所で荷物の出し入れなんて珍しいし……」


「ン…… 次ノ配達先二行ク前二サ…… 取リ出シ易イヨウニ整理ヲ…… ッテネ♪」


「そうなんだね♪ その方が後々楽だもんね!」


「ソウナノサ! 解ッテクレテ嬉シイヨ♪」


「でもさ、おじさん?」


「ン?」



私は荷台の中に一度目を向ける


そしてまた男性に戻した



「荷物を整理しなきゃいけない程…… 荷台に荷物、無いね?」



男の顔が変わる


殺意


ソレを露骨に顔へと現した



「馬鹿ナ娘ダナ…… 気ガ付カナケレバ生キテ居ラレタロウニ……」



そう呟いた男は(ふところ)に手を入れる


ソコから取り出した()()()()()()()を私に向けた


またリボルバーか……


先程の黒服と同じ拳銃、リボルバーだった


ま、ソウだよね……


この男も()()()()専門だろう


またゴールド・ファンド社か……


まだ終わりそうにないな、この件は……



「娘…… ズイブン冷静ダナ…… ()()ヲ向ケラレテルノニ……」


「そうね…… 自分が怖い位に…… 冷静よ…… だからね……」


「ア?」


「聞きたいんだけどさ……」


「ナンダ?」


「その拳銃の弾って…… 残り3発あるの?」


「オ前…… 何者ダ……?」



良いね……


分かり易い疑心暗鬼だ……



「何者? 女学生だよ♪」


「モウ1度聞ク…… 何者ダ」


「さぁ?」


「フザケルノハ()メロ」



ガチャ……


そう言った作業着の男は撃鉄を親指で下ろす


その姿に、私は両手を上げた



「OK、OK…… 先に聞くけど、その袋に入ったモノ、何?」


「答エル必要ハ無イ」


「その言葉って、()()()()()()()とかで決まってるの?」


「ア?」


「いや、いいよ…… 何でも無い」



聞けば全てがその答えで返ってくるから聞いただけだ


冗談のつもりだったが、理解してくれそうには無い



「でさ、その()()…… 何か言ってた?」


「オ前……」


「どうせココで撃たれるんでしょ? 教えてよぉ……」


「マァ良イ…… 最後ノ頼ミ位ハ聞イテヤル…… 【紅イ眼ヲシタ女二()()()()】トカ…… 言ッテ居タナ……」



危ない、危ない……


間に合ったっぽいね……


今度のGF(ゴールド・ファンド)関係者は優しい人で良かった♪



「紅い眼? 何それ?」


「知ランヨ」


「でも、ソレが本当なら…… 今後…… どうするの?」


「マ、調ベルダロウサ……」


「どうやって?」


獲物(ターゲット)ノ荷物ハ確保シテアル…… スグ(さが)セルサ」



私はまた、荷台に目を向ける


中にはブルーシートに包まれた()()が3体


それ以外は無い


ということは…… 助手席か……



「サテ…… 最後二祈レ…… ソノ位ノ時間ハ、クレテヤル」



私は笑った



「貴方は良いの?」


「ア?」


「いや…… 貴方は祈らなくても良いのって聞いてるの」


「祈ルノハ貴様ダロウ?」


「でもさ、()()()()()()()()()()んでしょ?」


「ダカラ?」



フウ……


私は(うつむ)き、溜め息をついた


コイツ、馬鹿だ……



「その女性が、こんな現場見たら…… 軽視できないでしょ?」


「ソンナ女ガ居ルワケ無ダロ? 俺達ガ倒サレル訳ガ無イ…… 奴等ノ()()()ダ…… クダラン……」


「あっそ…… でもさ…… 本当なんだな、コレが♪」






私は顔を上げた






ソノ眼は、()()()()






即座に手を向け、力を飛ばす


男の顔が苦悶の表情へ変わった



「苦しい? 今ね…… 貴方の心臓、握ってるの♪」


「ガッ…… カハッ……」


「どうする? このまま…… パン! ってやっちゃう?」


「ゲホッ…… ノ…… No……! 助ケ…… 俺ハ…… 指示サレ…… ガハッ!!」


「誰に?」


「イ…… 言エナ……」


「言えない? じゃ、YesかNoかだけで良いから…… それはゴードン・フリーマン社長ね?」


苦しい表情の中でも、驚愕の目は誤魔化(ごまか)せない


彼の目は、明らかにYesだった



「もう解った……」



私は、そう呟く


そして、もう片方の手を奴の頭部に向けた


男の眼球がグルリと回る


空を見上げてヨダレを流す


彼はグッタリと膝を着いた








殺しては居ない


私の記憶


そして、エリスの記憶


殺しの技術を傷付けた


勿論、全てが完璧とはいかないだろう


だから少し広い範囲で記憶分野に障害を加えた






会話は出来るだろう


意志は持って行動は出来るだろう


いずれ意識をキチンと取り戻せば、社会に馴染む事も出来るだろう






アンタは沢山の人を殺したんでしょ?


だから、この程度で済んだダケで……


幸せと思え……






私は服の袖を指先まで伸ばして、トレーラー助手席のドアを開ける


私のトートバッグを取り出して腕に掛ける


そして男の元に戻った



「後は警察が何とかしてくれるよ…… じゃあね」



そう声を掛け、私は(きびす)を返す








その時だった








ダン!!








発砲音が響く








奴が……








撃った!?








私は、ゆっくりと背後に目を向ける


そして、膝を着いた


その銃口は私に向いていた


だが、奴の顔は意識が有るようには見えない……


拳銃に掛かった男の指先


ソノつもりは無く、手を、指を握ってしまったというのか……


たまたま、ソノ射線上に私が……






何て……


運の悪い最後なのよ……






ゴメン、パパ……






ゴメン…… ママ……






ゴメン…… 修パパ、桜ママ……






ゴメンね、咲子……


貴女だけに……


ルビーの全てを押し付けて……






でも後は、任せるね……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ