10話 ルビーアイ
黒服達の拳銃
その銃声が止んだ
「ヤレヤレ…… コノ手ノ報告ガ厄介ダ……」
そんな声が聞こえた
「そうね…… ムダ弾…… 撃っちゃったもんね…… いや、違うか…… 社長にこの件は人質を取れませんでしたって報告だもんね」
私はそう、答える
「何!? ナゼ生キテイル!?」
叫ぶ男
私は笑う
嘲笑う……
「フフフ…… 予定通りだよ♪ ククク…… アンタ達で1番厄介なのは…… そのリボルバーだった…… だからイライラさせてあげた…… 気を抜けば私程度の小娘に全滅させられると思ったでしょ? しかも小石なんかでね…… プププ…… だからさ…… 全弾撃たせてしまえば安心ってね♪ リボルバーはダメよ、リボルバーはね♪ 射撃の腕に自信あり過ぎ! 絶対に予備弾は持ってない♪ アンタ達…… 最初から私の罠に掛かってたのよ…… ウケるね♪ ククク……」
「ソンナ…… マサカ…… ダトシテモ…… コンナ二近クデ我々ガ外ス訳ガ…… 無イ……」
「うんうん♪ 相手が悪かったね! ケンカ売るのが私じゃダメよ♪」
そう言って私は奴らを見た
彼らは私を見る
恐怖
ソレが奴らの顔に浮かぶ
「自信過剰の皆さん♪ 弾…… 外してくれて、ありがと♪」
「オ前…… ソノ眼……」
バシュ……!!
何か言い掛けた男の顔が紅く染まった
そして、ユラリと揺れた体が……
うつ伏せに倒れる
大丈夫……
殺すほどに力を飛ばして居ない
そして私は残りの2人を見た
同じ顔だ
最初の1人と……
同じ顔……
恐怖……
そう……
コレだ……
結末として、コレが必要なのだ
彼らがエリスにしようとした束縛
恐怖という縄で縛る
コレを心に巻き付けて置けば、事はスムーズに進む
さて……
仕上げね……
黒服2人に目を向ける
エリスの顔を覆って居ない彼らに向けた右手
ソコに力を込める
奴らは私の右手では無く、顔を見ていた
顔を……
眼を見ていた……
紅く染まった双眼
恐いだろう?
怖いだろう?
恐怖として、心に刻め
私のルビーアイを……
私は奴らに力を放つ
ハズだった心を抑え込む!
バシッ!!!
突然の人影!?
ソレが黒服達を叩いた!
棒!?
長く太い棒を振り下ろす
私はルビーアイを閉じた
誰!?
もう一方の木の陰からも人!?
青年2人が黒服達に棒を振り下ろす
何度も叩かれ、グッタリとした男達の隣でハァハァと肩を上下させる2人の姿
その青年達は同じ髪型
そして似た服装
更には、同じ顔をしていた
私は彼らを知っている
「アーサー!? ライ!?」
私の呼びかけに顔を向けた2人がホッとした顔を見せて笑った
「泉! エリス! 無事ダッタカ!?」
私の声に反応したエリスが、私の左手を撥ね除ける
そして彼らを見たエリスは口元に手を当て、泣いた
うん……
ホッとしたでしょ……
私は彼女の背中をソッと押し出す
エリスは少しよろけながら彼等の首に巻き付いて、泣き続けた




