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ルビーアイ・カタストロフィ  作者: アゲハ
5章 その名はカタストロフィ
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100話 遮断機

アーサーは私に優しい笑顔を向け……


そして、言った……


咲子に向かって、言った……




「ナァ咲子…… 泉ハ…… モウ戦エ無イ…… 選手交代ハ…… 有リカイ?」




アーサーが……



私の表情で察してしまった……



その言葉に咲子が答えた




「勿論よ?」



「ソウカ…… Thanks……」








背中にゾクリと悪寒が走る








何がコレから起きるのか……








想像が付いてしまった……








咲子にそう言ってアーサーは私の元に、一歩、一歩と歩みを進めた








ダメ……








ソレダケハ…… ダメヨ……








目に見えている……








アーサーは死ぬ








あれ程の損傷……








貴方の盾では咲子の力を防げない








必ず、私の様なダメージを受ける……








あんな痛みの中で、自分にサファイアを掛けたとしても……








完全に治せるわけが無い!!








冷静に自己修復なんて、出来るわけ無い!!








私がソウだったように……








そんな甘い痛みじゃ無い!








死んだ方がマシと思える激痛なのよ!?








ダメ……








貴方……








死ぬ気なの!?








ダメ……








行かなきゃ……








やらなきゃ……








私が……








やらなきゃ!!!





「ダメよ、アーサー……」




私は彼の歩みを止めた


そして考えた


アーサーを死なせたくない……


そんな事を言ったら、覚悟無く再戦すると思われる


だから言葉にした




「まだ…… やれるわ…… 邪魔は無しよ、アーサー♪」




そう、私は言葉にした




「シカシ……」




解るよ……


言いたい事は……


でも、貴方には無理よ……




だから……


私が行くしか、無い








そして咲子に視線を合わせた








「さて、再開しましょ……」








一瞬、咲子の表情が揺れた








今はもう、無表情に変わった








「いいの? 心折れてるんでしょ?」








ええ、そうよ…… まだ整って居無いわ…… でも……








「舐めんなよ、咲子…… まだヤレルって言ってんでしょ!!」








嫌だ……








もう、嫌だ……








あんな痛みはモウ嫌だ……








でも……








アーサーを失うのは、もっと嫌だ!!








何か……








何か、(さく)が…… 勝てる見込みのある…… 作戦が欲しい!!








私は正面に咲子を捉えながら、視線を変える








何か……








勝機に繋がる何かを……








その時だ








見つけた……








咲子と戦うよりはマシとも思える勝機……








私はアーサーを見た








アーサーは私の眼を見た








私はその視線を一瞬、()()()()()()に向ける








アーサーは頷いた








私は視線を一度下に向け、そして左を見る



そしてアーサーを見て、咲子の右を見た



アーサーが頷く



理解してくれた



嬉しい……



頼もしい……



行こう!



キングを倒しに!!



私の…… 私達のターゲットは……








高田教授!!








ラスボスだ!!








私達は走った



私は咲子の左に!



アーサーは咲子の右に!



全力を持ってダッシュした



走る



紫色の球体を避けながら咲子との距離を一気に縮めた



間もなく咲子の手前と言う所で、ザッ!っと足元の土は舞い鳴り、私は左側に飛んだ



同じ音が隣で響く



同じタイミングでアーサーが飛んだ証だ



どちらでもいい



私か、アーサーか……



どちらか一方が悪魔に辿りつけば勝機はある



そしてどちらか一方であるなら、咲子が止めるのは十中八九…… ()()



賭けに出たのだ



私達は!!








咲子の隣を過ぎる








そう思われた瞬間だった








頭上から稲妻の様な有り得ないスピードの何かが私達の行く手を遮った








即座に飛んだ








私は背後に飛ぶしかないと判断した








ザッと鳴る音と共に、アーサーが隣に居た








危険を察してアーサーも避けたんだ








何が起きたのか考えを巡らす








一瞬の出来事








これ以上行くな……








そう取れた1()()()()








私はソレを()()()()()()()()








そう、踏切の遮断機だと瞬間思ったのだ








実際は違った








恐ろしい程の速さで振り下ろされた棒








中央は少し弧を描き、その先は最後まで一気に斬りつける為、更に強い弧を形作る








先端は尖り光る








何より、本来のソレとは程遠い長さをしていた








長さは3メートルといった所か……








ソレは……








咲子の左右の手に握られた……








真紫の凶器








ラピスと呼ばれた力で創った物だと即座に判断出来る色








有り得ない長さの【2本の刀】だった






「その刀……」




私の呟きに、咲子が頷き言葉を発した




「そう、見ての通り…… ラピスの刀よ」




ええ、でしょうね……


左右2本の刀を見たアーサーが小声で話し掛る




(アレハ…… ヤバイゾ…… 突破ハ無理ダ……)


(ええ…… アレこそがママの言っていた本当の恐ろしい力……)




そう、その姿だけで認識した


ラピスを放つピストルよりも次元の違う凶器……


そして、ソコに辿り着いた咲子の…… 恐ろしい程の才能……




私が(うらや)ましい……?




冗談でしょ……




今の貴方を…… 貴方の才能を…… 羨ましく思うわ……




ピストルなら何とかなった……


でも、アレは…… 無理だ……


ピストル、その銃弾は曲がりはしない


指先を見ていれば射線が解る


躱す事が出来る……


だが、アレは別物だ


手先を変えれば……


腕を…… 手首を捻れば360度どの方向にも対応出来る


完全な絶対領域……


何より…… 振りが恐ろしく速い……


私は咲子から目を離さずにアーサーに聞いた


極力、声のトーンを下げて……




(ねぇ、アーサー……)


(ナンダイ……?)


(あのスピード……)


(アア…… 厄介ダナ…… ラピス創リノ剣…… 僕達ノ剣トハ別物ダ……)


(別物……?)


(ソウ…… 多分アレハ剣ノ形ヲシタ()()()()ダ……)


(それは見て解るわ……)


(イヤ、()()()()()()……)


(何が?)


(違イヲ間違ッテイル…… 僕達ノ剣ハ質量ガ有ル物体…… ツマリ、()()()()())


(そういう事ね……)





言いたい事が理解出来た


サファイアで創り上げた剣は()()()()()


彼らがサファイアにより集めた鉄などで出来ている




だから、重さが有る




だが、咲子の刀はラピスを循環させたパワーの塊




つまり、重さが無い




それはとても恐ろしい事


そのスピードゆえに【構え】が要らない……


だから体の力、【溜め】が要らない……


ノーモーションで振り下ろされる、振り切られる力……


手首を360度、素早く捻るのに1秒も掛からない


その手に重さの無い刀……


3メートル程に見えるソレを振られたら……


たかだか手首を数度…… 角度を変えただけで3メートル先の剣先が数メートル走る……


私達を襲うことなど、本当の意味で…… 一瞬……


そして瞬殺だろう





ただ、思う……



何故、ソレを最初から使わなかった!?



使っていたら…… モウ、終わっていたハズ……







私は咲子に話しかけた







「ご大層な刀ね…… 奥の手ってやつ?」



「別にそういうわけじゃ無いけどね」



「そう? でもコレばかりは流石(さすが)…… と言っておくわ」



「ありがと♪ キッカケをくれたのはライとアーサーよ」



「解っているわ…… あの日の…… 不良達との戦いの、ね?」



「そう…… 近ければ斬る…… 遠ければ撃つ…… あの姿は戦闘の完成形よ」



「確かに、ね…… ソレをソノ能力で開花させる貴方は本当の天才ね……」





咲子は首を振った





「私じゃ無いわ…… ママの勘の良さが生んだ力よ……」



「そうね…… でも、何で最初からソレを使わなかったの……?」



「さて、ね……」




そう言って咲子は少し笑った


そして言葉を続けた




「まあ、この刀は反則だからね…… って事にしとくわ♪ だから、あの力を持つこの剣は…… そうね…… ソード・オブ・カタストロフィ…… と言った所ね」



「終焉の剣……? 貴方にしてはネーミングセンスが良いわね……」





ふと今の言葉を反芻(はんすう)する



【あの力を持つ剣】って何だ!?



【あの力】って!?



ラピスの何かなのか!?



そんな思いを払拭するかのように咲子は言った



そして、笑った





「でしょ? フフフッ……」



と……


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