99話 折れる心
なんだコノ…… 力の差は……
コレが神の眼か!?
いや、違う……
コレこそがママの恐れていた力!!
咲子独自の開花した力
その完成形か……
強すぎる!!
でも、眼に集中すれば回避出来る!
躱して戦うしか無い!!
そう決意した私は、痛覚を消してもまだ残る痛みをこらえ、2歩下がった
助走を付けて、球体を交わしながら決着を付ける!
その決意を真っ向から壊された
言葉だ
言葉を発したのは咲子だった
「ソコ、危ないよ?」
ゾクリとして体の周囲を見た
何も無い!
ハッタリだ!
ボンッッ!!
重い音が鳴った瞬間、今度は私の左腕が吹き飛んだ
付いている……
体に腕は付いている!
だが、ダメージが大きすぎる
何とか付いている腕だが、その損傷部は激しすぎた
見たくない、おぞましい姿を映していた
何故頭部を撃たれた時と、これ程までに差が有るのか
そんな考えは痛みで消えた
付いているんだ、腕は
だが、見えている
ドバドバと滝のように流れ出す血の中に……
本来【白】であり、今現在【赤】で在る物……
【血まみれの骨】が見えていた
何が起きた!?
くっ! 熱い!! 痛い!!!!!!!!!!!
左腕の状況が理解出来た時、一気に激痛などとは程遠いレベルの物が襲って来た
意識が……
吹き飛ぶ……
ダメ……
今、意志を無くしたら……
終ワッチャウ……
咲子は笑った
「フフフ…… ソコにも有ったのよ♪」
「イッッ…… ツゥゥ…… 嘘よ…… ハァ…… ハァ…… 私は無い事を確認した! ハァ…… ハァ…… アンタ…… 何をした!?」
「だから、有ったんだってば」
「ハァ…… ハァ…… 今度は心理戦……? つまらない冗談は…… クッ…… 抜きにして戦いなよ!」
ハァと溜息が聞こえる
その表情のまま咲子は言った
「アンテナよ…… 私の意思を受信するの♪ だから見えなくて当然なの」
「アンテナぁぁァ……? 何よそれェぇ!? アッッ!! イッッッ…… テェェェェェェェ……」
「種にね、アンテナ付けて有るの♪ 時限爆弾ね」
時限…… ナンだって!?
時限爆弾って言ったの!?
爆発する瞬間にだけ姿を現すとでも!?
反則だよ、そんなの……
無理だ……
勝てるわけが無い……
コノ差は……
あんまりよ……
酷い痛みが脳まで響く……
痛覚を消さなきゃ!!
さっきの様に!!
意識が朦朧とする
左腕に向けたルビーが定まらない
ダメだ……
痛みが強すぎて…… 痛覚を消せない……
何処かに向かいそうな意識の中で……
何かがポキリと音を立てた
折れた
完全に心が折れた……
折れた心を修復するのには時間が掛かる
そう、私の心は完全に折れていた
絶対的優位性
咲子のソレを崩せる余裕は微塵も見つからない
有り得ないほどの差を見せ付けられた
その時、柔らかな優しい何かが左腕と右足に感じる
私はそれらを見た
蒼く光る2箇所
左腕と右足
スッポリとその損傷部が蒼い球体に入っていた
削がれた肉が見えないほどの高濃度の【蒼】
ゆっくりとその大きさを縮める球体
ソコには【皮膚】が有った
その箇所が姿を取り戻していた
コレはサファイア!?
私はアーサーを見た
彼は眼を見開き、その瞳には私では無い、その損傷した2箇所を交互に映していた
修復……?
修復…… してくれている……
痛みが嘘の様に消える
ホッとした……
だけど……
だけど…… 私……
またアンナ痛みを受けに行くなんて……
考えただけでもゾッとする……
無理だ……
モウ…… 嫌ダヨ……
アーサーは私を見た
私の顔を見た……
私の眼を見た……
そして、柔らかな顔で……
笑った……




