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学舎草子  作者: 井原枝葉
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幽霊

真昼間からベロンベロンに酔い痴った男が、道路の隅に卵を見つけた。

部屋に持ち帰ると、卵がパキパキと音を立て、中から色の白い女が出てきた。

薄い下着しか着ていない女は、男の部屋から飛び出し、廊下を走り回った。

女を急いで止めようと、男は後を追ったが、隣の部屋の住人と鉢合わせた。

住人が、焦った様子の男に、何をしているのかを尋ねる。

戻ってきた、下着を脱ぎ捨てた女が隣にいるというのに、男の方しか見ていなかった。

適当にあしらい、男は女を連れて部屋に戻る。

女に、何者か尋ねると、自分は幽霊だと言った。

死人は、卵になり、孵り、霊として生まれ変わると丁寧に答えた。

先ほどの奇行を目撃したこの目を疑いたくなるほどに。

女は、自分はあなた以外にしか見えないから外に出して欲しい、と男に告げた。

男はそれを許し、女を連れて部屋を出た。

女はまた、男を置いて、外廊下から駐車場に飛び降りた。

霊だからか、怪我はない様で、近くの裏路地へと入っていった。

男がやっとの思いでその路地に辿り着くと、女は股を広げ、死んだカラスの嘴を自身の性器に挿れていた。

話が通じるか通じないか怪しい女に声をかけると、女はすぐにやめた。

どうしてそんなことをしているのか聞こうとすると、女はまた走り出し、性器を手すりに擦り付けながら階段を降って行った。

男の方に振り返り、腰を振っている。

生前は、随分と淫らな人間だったのだろうか。

それとも、人間はみんな、こんなことをしてみたいと思っているのだろうか。

男は、至極真っ当に生きる人間で、聖者のように穢れなき存在だ。

昼間から酒を飲んでいたことを除けば。

そんな男が、女の霊の誘惑に誘われることはなく、ただ可笑しな妄想していた。

一人一人卵が配られて、中から出てきた幽霊をパートナーにして戦うとかだったら嫌だなぁ。

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