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学舎草子  作者: 井原枝葉
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間違えている。

「私、何してるんだろう」

シフトを終え、着替えを済ませ、ロッカーを閉めると、そんな言葉が口をついて出た。

買えと言われて買った、偽物のドレス。

本物のドレスは、子供の私が今も大事に抱えている。

店を出て、駅に向かう。

気に入っているアーティストの曲を、イヤホンを通じて聴きながら、twitterを開く。

推しのアイドルが呟いている。

「みんなが今まで支えてくれたお陰で、僕たちはここまで来ることができました。結成当初は、本当に売れるのかと…」そんな文が十三行にまとめられている。

最後の一文にはこう書かれていた。

「この道を選んで本当に良かったです。本当にありがとう」

見たくなかったから、別の、好きなバンドのアカウントを確認する。

「よく考えると音楽以外にも選択肢はいっぱいあったんだよな。でも音楽やってなかったらお前らと出会えなかった。ありがとうお前ら」

彼らは、正々堂々生きている。

汚れたことなんてしてない。

きっと、正しい道を歩いているんだ。

一度も道を間違えず歩いてきたんだ。

私にも、彼らのように輝ける道が用意されていたのだろうか。

私も道を間違えずに歩いていれば…。

…私は、どこで、何を間違えたんだろう。

何をどうしたら、身体を売らなければいけなくなるのだろう。

やり直したい。

叶わない。

彼らには決して敵わないよ。

電車が流れる。

私の前で停まった電車に乗った。

向かう先に家はない。

お願い。子供の私を連れてきて。そのドレスを寄越して。私に。

お姫様の様に、素敵なドレス。

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