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「間一髪といったところじゃな。相変わらず派手な登場を好む奴よ。」


やれやれ、とかぶりを振る猿神の溜め息混じりの言葉に反応したのは新たな乱入者。


「くははっ、眷族に任せておこうと思っていたが猿神、お前が介入するならば俺も混じってもさして問題なかろう?」

「問題大有りじゃ馬鹿者め。」


舞い上がった土埃を鬱陶しそうにしながら、掴んでいた二人を離し、いつの間にやら手にしたキセルで一帯の砂埃を振り払う。


その顔に浮かぶのは憂い、あるいは悲壮か。


「鬼神よ、妾達が争えば互いの眷族も目を掛けた者達もタダでは済みまい。ここはお互いに不干渉にて戦いを見守る事にせんか?」


戦いの場に姿を現した鬼神から最大限の譲歩を引き出そうとすれば、膝をついている大鬼に一言二言声を掛けたのち、愉しげな表情を浮かべ猿神の提案を受け入れる。


「互いに干渉は無し、互いの眷族を争わせ勝負を決めるという事でいいか?」

「互いの眷族というのは無しじゃ、こちらは縁故にここにおる。こちらが戦うのは小僧の縁有る者達よ。」


ふむ、と値踏みする様な視線を受けながら、策を練るユイの前に立つのは先程まで意識を失っていたぼろぼろのリュウ。


「...ユイ、策はあるか?」

「流石にあの大鬼相手にこの状況じゃ猿神さまのいう助っ人に期待するしかないかな。今はとにかく時間を稼ぐ事に集中して。」


おぅ、と普段よりもかなり弱々しい声で返事を返したリュウが拳を握る。


「では、始めようか。」


そんな鬼神の台詞を合図に、膝を付いていた大鬼が立ち上がり魔力を立ち上がらせる。


大鬼が纏う魔力は先程よりも濃密で、質も量も圧倒的な差を二人は見せつけられる。


「初撃は私で受け持つからリュウは全力でアイツをぶっ飛ばしてっ!!」


刹那、パキリと砕ける音が響く。


ユイの全力の抵抗。

かつてカケルとの衝突時に使用した謎の魔法。


それは大鬼の振るった拳に破られるも勢いを大きく削ぐ結果となり、拳を構えたリュウに大きなチャンスを与える事となった。


「これが今の俺の全力だ、存分に味わってくれや。“双蛇-絶掌-”」


-ズッドンッ!!


とてもじゃないが、人間の放った一撃で鳴るような音では無い音が空間に響く。


両腕に纏わせた蛇に動きのサポートを行わせつつ、自身の魔力、取り込んだ魔力、そして蛇の持つ魔力の三段仕込みで放たれたユイとの合体技。


流石にそれほどの大技をガラ空きの状態で受けた大鬼もただでは済まない。


先程のリュウが吹き飛んだ様と同じ様に大きく吹き飛んだ大鬼に絡み付いた蛇が、体勢を立て直そうとする大鬼の四肢に巻き付いて更に時間を稼ぐ事に成功する。


殺しきれない衝撃と絡み付く蛇、そして体内に打ち込まれた毒に顔を顰める大鬼が、ようやく地に足を付けた頃にはユイの放ったMAGによる追撃が襲い掛かる。


「小賢しいわっ!!」


覇気にも似た全身に纏った魔力でMAGから放たれた弾丸を相殺してかき消せば、パンパンに膨れ上がった両脚がその力を解放する。


吹き飛ばした距離を一足飛びで詰められ、ユイの前に立つリュウは覚悟を決めて受け流す姿勢を取る。


-パシュン


怒号のままに大鬼から放たれた一撃は、緊迫した状況には不釣り合いな音と共にかき消え、再び大鬼は吹き飛ぶ事となる。


「ウキャッ!!」

「オメェもハジメに縁有る者達、か。物は言いようって奴なのかね。」


ふふん、としたり顔の猿神と憤慨する鬼神を他所に戦いは激化していく。

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