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悲しみの咆哮、宿る希望。

ただ目の前の敵を倒す為にひたすら暴れた。


無限にも思える物量で身体に纏わりついてくる大猿共を振り払い、薙ぎ倒し、粒子に変わる瞬間にそれに喰らい付き魔力で喉を潤す。

出現した魔石は噛み砕き、消耗の激しい魔力を補充するのに使ってしまう。


体感では何時間も戦っている気もするが、実際はどれほど経っているのだろうか。


全身に拡がった鬼の呪印により黒く変色した肌は非常に硬く、振るう一撃は強烈で敵対する全てを簡単に倒す事が出来るが、一対多の戦闘では小さな傷はどんどんと蓄積して行く。


危険を感じた白い大猿は遠く離れており、必死に追い掛けてもあと一歩が届かない。


徐々に鬼の呪に侵されていく自我を必死に保とうと足掻いても、自ら受け入れた鬼の呪に打ち勝つのは到底無理で、自分の中の大事なものがどんどん失われていくのがわかる。


「えぇえい鬱陶しい。喧しい猿共がいい加減に黙れっ!!」


鬼の呪が馴染む程にチカラは増していく。

その代わりにこれまでの大切な思い出も何もかもが失われていく。


圧倒的な暴力を前に狂化した大猿達も随分と大人しくなり、ようやく白い大猿への道が開かれる。


戦いになれば力の差は歴然で、カケルやリュウの一撃を弾いた自慢の剛毛も易々と貫き、猿真似気取りの模倣魔法も鬼の肌に小さな傷を付ける事しか出来ない。


ズブリ、と手刀が刺し貫いたのは白い大猿の心臓部。

血の代わりに零れ落ちる粒子が戦いの決着を告げ、鬼の手の中で白い大猿の心臓が徐々に結晶化し魔石へと姿を変える。


二の腕まで深々と刺し込んだ腕を抜き去り、腕に纏わりつく粒子を振り払えば通常の大猿よりも一回り大きい魔石が姿を現わす。


普段のハジメならば大喜びで新しい検証に使おうとはしゃぐ場面ではあるが、ハジメには既にそんな感情は残っていない。

ただチカラを求め魔石を喰らう鬼の表情に喜びなど無く、その視線の先にあるのは怯え逃げ惑う大猿達の姿。


「ォオォオオオオオ!!」


そこから先にあったのは強者である鬼の蹂躙。

獲物を追い、喰らい、そして次の獲物を探す。


そして20階層に存在する全てを喰らった後で、目指すのは更なるチカラ。

そして21階層へと続く階層境界へと足を踏み入れる。



<小僧は堕ちてしもうたか。その選択は愚かではあるが、己の半身とも言える欠片を残しておる故にまだ望みはある。どうなるかは分からんぞ?>

<未来を視る貴女がそんな曖昧な事を言うなんて珍しいわね。>

<クハハ、妾が顕現する際に小僧の魔力が混ざっておるからか、眷属達と同じ位に小僧が可愛く思えるのよ。>

<好きにしたらいいわ。私は私で好きにやらせてもらうから。それじゃあ元気でね。>



ニートのダンジョン攻略記。

全てを犠牲に階層主を撃破したハジメだったが、その代償に失ったものは多い。

更に下層へと潜っていくハジメの未来は、猿神ですら読み取れない暗雲に包まれている。

次回、夢と希望とダンジョンと。

乞うご期待。

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