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世間はニートにちと厳しい。2

どんどん、と割り当てられた自室のドアを叩かれる音に目を覚まし、騒音の主を部屋へと迎い入れれば雪崩れ込んでくるギルドメンバー達に驚く。


「こんな朝っぱらから皆んなどうしたの?」

「どうしたもこうしたも無ぇよ!とりあえずこれの説明とそん時の状況教えろっ!!」

「え、えぇ!?」


押し付けられた週刊誌を見れば、昨日の記者に撮られたであろう写真がデカデカと載せられている。

ハジメの事について事実無根の記事が書かれており、おまけにカケルが作り出そうとしている冒険者制度への不安と警告を読者に訴えかけている。


「大体どこでこんなもん撮られたんだよっ、あれか?実はハジメのそっくりさんとかか?」

「いや、昨日この記者とここで会った。二人組の記者で写真に写ってる女性記者ともう一人、三村って男性記者が突然現れて、帰り際にスタッフを呼んで身体検査をしてもらったはずなのに。」

「このっ馬鹿たれっ!今時そんなもん幾らでも誤魔化せんだろうがっ!!大体、そんなことがあったのになんで連絡もしないで呑気に寝てんだよっ!!」


怒りか呆れか、固く握った拳を宙に彷徨わせながら大きな溜息を吐くカケル。

その背後で控えて居たメグから輪ゴムをパシパシと顔面に当てられ、リュウは放られた週刊誌を拾い上げ記事を読みながら一人爆笑。


ずいっ、と進み出てきたユイから懇々と長時間のお叱りを受けた後でようやく解放されれば、タモツに渡された熱々のコーヒーを啜り一息つく。


「やっぱり不味いよな?」

「すまない。インスタント以外のコーヒーを淹れた事が無くてな。淹れなおそうか?」

「いや、コーヒーの事じゃなくてあの記事の事だよ。」

「...すまない。」


突然に天然っぷりを披露してきたタモツに苦笑いしながら、タモツと机に向かい合って座りお互いコーヒーを啜る。


「あの記事に関してはあまり良い状況とは言えないが、話を聞いた限りではハジメに非は無いと思っている。もし俺がその立場でも同じ様になっただろうし、あまり重く考えるなよ。」

「そっか、そういう風に言って貰えると助かるよ。」


穏やかな雰囲気でのんびりとした時間を過ごす二人に襲いかかるのは携帯のバイブ音。

延々と鳴り止まないハジメの携帯が机の上でガタガタと暴れまわる。


「...出なくていいのか?」

「どうせ悪戯電話か取材の申し込みだからね、こういう時は電源をポチっと。」


どうせ両親かギルドメンバー以外に連絡を寄越してくる人などいないと割り切って携帯の電源を切るハジメ。


どこか気まずい雰囲気に変わってしまったために居辛くなってしまい、自室へ戻り一人になる。

部屋の片隅に落ちているままの週刊誌を手に取り自分の事を書かれた記事を読めば、なかなかに酷い。


--ダンジョン攻略をしている冒険者と名乗る一団の一人である周防ハジメが、取材に来た女性記者に無理矢理迫ろうとしている場面に出くわし最悪の事態になる事は防ぐ事が出来ました。

ですが、被害者女性の心の傷はかなり深く、現在は記者として活動する事も困難になっています。

今回の加害者である周防ハジメは、冒険者になる前は自宅に引き篭もり、いわゆるニートと呼ばれる存在でした。

彼の人間性について、彼を知る方に取材をしたところ、普段は内に溜め込みやすく怒りをコントロール出来ないタイプだという意見がありました。

今回の事件はそんな彼の危険性が分かる事件だったのではないでしょうか。

<中略。>

この記事を通じて冒険者という人智を超えたチカラを手にする事への危険性とそれを推進しようとする和田代表の考えについて問うと共に、読者の方にも疑問を持って欲しい。

本当に冒険者制度は正しいのか、その資格取得の厳格さと公正さ、正しさを問いたいのだ。

これ以上悲しみを生み出さない為にもどうか。


記事によれば俺は、婦女暴行未遂の極悪犯で冒険者には相応しくない人間性を持った危険人物と、もはや別人の話では?と疑いたくなる様な書きっぷりにため息ひとつ。


どうしたものかと考えてはみるが、カケルからは騒ぎが収まるまで自室待機を命じられ、部屋の外にはスタッフが二十四時間体制で待機している始末。

もはや全て忘れて研究に没頭するしかないか、と頭を切り替え机に向かうも、モヤモヤとした感情が頭の中に渦巻いて集中も出来ない。


「あぁぁああああ、くそっ!!!!」


またもやカケルの足を引っ張ってしまったと後悔に飲み込まれそうになれば、自分の負の感情に反応するかの様に疼く左腕に刻まれた呪印。


そして何も出来ないまま時間だけが過ぎていく。


少しだけ濃さを増した呪印に誰もきがつかないままに...。



ニートのダンジョン攻略記。

まんまと嵌められたハジメの為に奔放するカケルや組織の関係者達。

そんな中、自室謹慎を命じられたハジメは自分の情け無さに落ち込む日々を過ごす。

思わぬ足止めを食らったギルドメンバー達だったが、各方面の助力もあり攻略は再開される。

次回、組織のノルマとお給料。

乞うご期待。

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