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意外な弱点と超えられない壁。

ボス級をどうにか倒した後は一気に崩れたコボルト達を、これまでの鬱憤を晴らすかのように嬉々として殴り倒していくリュウの活躍により、スタンピードは殲滅する事が出来た。


激闘の末に残ったのは、コボルトが残した大量の魔石とぼろぼろに崩れた拠点の残骸。


「いやぁ、随分とぼろぼろにされちまったな。」

「...ハジメはいつもぼろぼろ。もう少し心配する人のことを考えるべき。」


ケラケラと楽しげに笑うカケルと隣で疲れた表情を浮かべるメグ。

二人も細かい傷を負っていて無事とは言えない様相だが、全身がぼろぼろになり意識を失うまで耐え続けたタモツとボス級の強襲によって大怪我を負ったハジメよりかは断然マシである。


もはや口を開く元気すら残っておらず、カケル達の到着と共に意識を投げ出してしまえば視界は暗転。


次に目覚めたのは翌日の昼。

どうやら戦場で眠りこける二人を誰かが運び出してくれたようで、隣のベッドで横になっているタモツの姿を見つけ安堵する。


「起きたのか。」

「ああ、おはよう。随分と寝坊したみたいだ。」


苦笑いで挨拶を返し立ち上がろうとすれば激痛が走り悶絶する羽目に。

ジワリと滲み出る血に自分の負った怪我を思い出しため息ひとつ。


「駆け付けるのが遅くなってすまなかった。そのせいで大怪我を負わせてしまった。」

「あの乱戦の中をタモツが駆けつけて来てくれたらおかげで、こうして生きてられるんだ。感謝こそすれ文句なんてないよ、ありがとうな。」


深く頭を下げて謝って来るタモツに心からの言葉を掛ければ、小さく頷きながら盾の魔装具を取り出し口を開くタモツ。


「散々考えてコレの名前をイージスと名付ける事にしたんだ。味方に安心感を持たせるような強さをイメージして名付けたんだ、元自衛官らしい安直な名前だろう?」

「イージスか、古代神話のアテナが使ってた盾だっけ?イージス艦の名前の由来にもなった守りのチカラか、頼りにしてるよ。」


その後もくだらない話しで時間を潰していれば、替えの包帯を持ってきたユイが来る。


「明日には町のお医者さんが避難場所から戻ってくるらしいから、それまでは安静にしておくようにだって。おかえりハジメ。」

「ただいま、今回もどうにか無事に帰ってこれたよ。心配掛けてごめんな。」


どこか手慣れた手つきで包帯を替えてくれるユイに身を委ねながら、自分の怪我の具合を見てしまえば中々にグロい。

特に左肩周辺は大きく抉られたようになっていて、一度知ってしまうとやけに痛む気がしてしまうのは臆病な性格の仕業か。


「これ改めてしっかり見ちゃうとお肉食べれなくなりそう。」

「はぁ、散々に心配掛けておいて何バカな事言ってるんだか。」


そんな冗談も交えたのんびりとした時間を過ごしていれば、我等の頼れるリーダーの登場。


「よう、昼間っからイチャイチャ出来るって事は元気な証だよな?こっちはこれからクソめんどくさい会議に出なくちゃなんないってのに、リア充爆発しちまえっ!」

「えらく荒れてるな、厄介ごと?」


部屋に入ってくると同時に荒れた感じで口撃してくるカケルに少しだけユイとの距離を離して質問を投げ掛ければ、返ってきた答えは対策本部絡みの厄介ごと。

またアイツらかと苦笑いを零しながらもカケルの話を聞いていく。


どうやら今回のスタンピードで、各地に残ったコボルト達の処置に対策本部の人間を使って周囲にアピールを行ないたいらしく、色々と小言を言ってきているらしい。

一番危険な所は眺めているだけで、美味しいとこだけを持っていこうとする対策本部のやり方に相当頭にきたいるらしいカケルは即答でノーと答えたらしいが、今回のスタンピードは範囲が広く少人数ではカバーし切れない部分もあるため、条件だったりを議論するべく会議に向かうそうだ。


だがそこで問題になったのが会議を開く場所。

対策本部が用意した場所に行くには飛行機で一時間ほどの場所ではあるが、カケルは飛行機が大の苦手である。

本人曰く、飛行機に乗るくらいならキツイ思いをしてでも歩きで行った方がマシらしい。


そんな思いもあり、会議の場所を現在拠点として使わせてもらっている旅館にしろと言ったらしいが、安全上の都合で却下されカケルは更に怒り心頭のようである。


そこで考えた移動手段がフェリーで移動し電車に乗り換えという移動に半日以上使うプラン。


当然、移動時間の間は一人では退屈だからと道連れを探したがハジメとタモツは絶対安静でリュウとメグは周辺に残ったコボルトの対処、残ったユイも看病のために明日までは動けない。


誰にも付き合ってもらえないという現実を知ったカケルは一人寂しく会議に向かう事が決まってしまったのだ。


ただ、日本国内で発生しているスタンピードを殲滅した以上は次に挑むのはダンジョンである為、どうにかダンジョンに入る権利を得なければギルドは食いっぱぐれる可能性があるわけで、それも考えた上で会議参加という手段を取ったであろうカケルに逃げ出すという選択肢は無いのだ。


長々と熱い思いを語ってきたカケルに笑顔で行ってらっしゃい、と言い放てば、この裏切り者ぉおと叫び声を上げながら去っていくカケル。


ユイと顔を見合わせながら思わず笑ってしまえば、再び傷口が開いて大慌て。


「もうっ、絶対安静でいるように!今日からしばらくは笑うのは禁止だからね!」

「そんな無茶な...了解です。」


そんな茶番を繰り広げつつ過ごした穏やかな時間を過ごし、避難所から帰ってきた医者に診て貰い本格的に治療を受け体調が安定してきた頃、ようやく帰ってきたカケルが告げたのは理想への道を閉ざす一言だった。


「ダンジョン攻略はしばらく無理っぽい。現場を知らんバカな連中がひたすら反対してるらしくて許可が降りなかったわ。」


カケルの疲れた顔を見る限り、会議では相当に面倒な連中と争ってきたのだろう。

ギルドメンバー全員がカケルを責める事は出来ずに次の手段を考える。


「いっそのこと海外ってのはどうなんだ?俺は強さを証明出来れば海外でも構わねぇぞ?」

「警備の薄そうな所探してこっそりダンジョン攻略っていうのはどうかな?」

「会社自体を対策本部と提携という形は...ダメだったのか。」

「とりあえず怪我を治すわ。」


うーん、と唸るカケルも個人で法律を捻じ曲げるのは無理らしく、今回は悪童も悪戦苦闘。

ひとしきり全員での話し合いを終えるも答えは出ずに、ひとまずは休憩という形で落ち着く。


すでに動き出した他の面子に置いていかれない為にも、四年というか期間で最奥に到達する為にも動き出しは早い方がいい。


ダンジョンが現れてから既に一月が経とうとしているいま、思わぬところで足踏みをする事となったギルドは与えられた時間を有効に活かそうと個々のチカラを磨いていく。


そして半年が過ぎようとした頃にギルドメンバー全員に招集の連絡が届く。



ニートのダンジョン攻略記。

動き出した世界と動けないギルド。

そんなジレンマの中でようやく来た招集の連絡は誰からなのか、停滞した物語はようやく動きを見せ始める。

次回、住めば都とは良く言ったものである。

乞うご期待。

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