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人体実験って単語はなかなかスリルがる。

気が付けば夜も更け、外の世界は魔物の跋扈する混沌へと変わっていく。


そんな時間でも二人の男の話は続いており、部屋の明かりが消える気配はない。


「リュウ、痛みや違和感がある場合はすぐに言えよ。ここから先は未知の領域、嫌な言い方をするなら人体実験みたいなもんなんだ。」

「おう、パパッとやってくれや。」


いかにもな単語を口にするハジメの言葉は非常に危険に思えるが、それに対して平然とした顔で答えを返すリュウも大概である。


筆を握る手がわずかに震えるも、大きく息を吐きよしっ、と覚悟を決めれば震えも止まる。


リュウの腕に描かれたのは、幾何学模様の花の様な動物の様な波紋の様な、ハジメの考える魔法のイメージを込めたなんとも不可思議な紋様。


時間を掛け色々と試した結果、リュウは結局魔法を発現することが出来なかった。

それならば、と机の上に放置していた魔力水を利用した魔道具の流用を考えたのだ。


魔法の使えないリュウが使う魔道具をイメージした結果行き着いたのは、刺青の様に身体に直接魔力水で魔法的な紋様を描くことで、レベルアップで上昇した身体能力を更に向上させること。


正直なところ、この方法が上手くいくかは分からないし、最悪は拒絶反応等が出てリュウの身が危険かも知れない。


それをきちんと理解しているのか、心配するこちらが呆れるほどに軽い態度のリュウを見てると、いちいち心配するのもバカらしくなってくる。


「これで一応は完成なんだけど、どうかな?」

「特に違和感とかはねぇけど...この模様ってなんか意味ある形なのか?どうせなら龍とかの方が良かったんだがな。」


この脳筋バカを心配するだけ損だった。


「じゃ、早速試しに行くかっ!」

「行かねーよ!」


性能テストをするにしたって時間が悪すぎる。

外はすでに真っ暗でわずかな月明かりしか無いような状況、それにゴブリン達が最も活発となる時間帯となっている。

そんな状況に不安要素を抱いたまま飛び込むなんて自殺する様なものだ。


うずうずと遠足前の子供の様なリュウを窘めながら、眠る準備をささっと整えて行く。


明日の早朝に魔力水の刺青の効果を検証すると約束させ、ゴネるリュウを布団へ押し込み、自分もベッドへと向かう。


「じゃあ明日、日の出と同時にソレの検証をするから今のうちにしっかり寝ろよ。絶対に抜け出して一人で行くなよ!?」

「わぁってるって、お前こそ寝坊すんなよ?」


そして夜は過ぎて行く。


「おいこら起きろっ!!」


翌朝、薄暗い部屋に響く乱暴な目覚ましで目覚めたハジメの非日常が再び幕を開ける。

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