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傲慢不敵な奴だけど格好良い。

-ガチャリ。


部屋にいるのは肥満のハジメと巨漢のリュウ。


一人で過ごすには十分に広い六畳の部屋ではあるが、でかい図体二人が居座るとなれば急に狭く感じてしまうのは、目の前の男の威圧感も原因の一つの様な気がする。


「それで?なんで来たのさ、カケル達と行動してるんじゃないのか?」

「まぁ色々とあるんだが、簡潔に言うならカケルに言われてここにきたんだわ。」


この男の話は簡潔過ぎて話が見えてこない。

実はこの男、見た目通り脳筋なのか?と思いながらもう少し詳しく話を聞くことに。


「カケルはなんて言ってたんだ?」

「あー、あれだ。ダンジョン対策本部の連中は役に立たないから、魔法に使えるようになりたいならハジメのとこ行けってよ。」


あのやろう丸投げかよ。

てか俺がリュウのこと苦手なの知ってるくせにわざわざ押し付けるとか、カケルもなかなかに酷い奴だ。


「一口に魔法って言っても色々あるし、とりあえずリュウの求めるものがどんなものかを教えてくれよ。」

「おぅ、接近して肉弾戦で無双出来る様な魔法使いてぇな。遠くからチマチマやんのは合わねぇな。」


遠くからチマチマって、俺の事かよっ!?

わざわざそんなこと言わなくても良いのに、相変わらず嫌な奴だなこんちくしょー。


部屋に訪れる沈黙。

カチカチと時を刻む音だけが響く。


「おい、いちいち感傷に浸るのは止めろや。お前が検証班を去ったことを今更ごちゃごちゃ言うつもりはねぇし、お前が何を考えてるかなんて知りたくもねぇ。だがな、俺はお前のその知識を認めてる。だから俺にも魔法を教えろや。」


相変わらず乱暴な奴だ。

横暴で傲慢で厳しい。でもそれがリュウの良さなのかも知れない。


「分かった、まず魔法の概念から説明するよ。」


現在分かっている事から、魔法を使う際の心得や注意点などをリュウへと余す事なく伝えていく。

途中から理解しているのか怪しいリュウの態度に若干の不安を感じるが、構わず続けていく。


「...という訳で、魔法関連の知識は以上です。質問等は、なさそうだね。」


三十分ほどかけて語り尽くした知識を前に硬直するリュウをよそ目に、底をついた飲み物を追加しにリビングへと降りていく。


「リュウってやっぱり脳筋なのかな、明らかにパンクしてたよなぁ。あの状態は大人しくて楽だけど。」


リュウの来訪で少し楽になった心を実感しながら、追加した飲み物を手にして階段を上がっていく。


部屋に戻れば、まだ硬直の解けていないリュウがいて溜め息が漏れる。


「リュウ、あんまり難しく考えずにシンプルに考えなって。そもそも自分の適正が分かんない以上は魔法の発現なんて無理だしな。」

「あ?ならどうすりゃいいんだよ。小難しいこと言わないで、どうすりゃ良いか簡潔に言えよ。」


あ、乱暴な一面が出てきた。


今にも詰め寄って来そうな巨漢の男に、若干の冷や汗を背中にかく羽目になる。


「メグみたいな魔力で出来た武器とかは?あれは大量の魔石と明確なイメージがあれば出来るし、肉弾戦でも活躍出来るんじゃない?」

「あー、あれは無理だな。俺って装備付けて戦う様なタイプじゃねぇし。カケルみたいに無双出来る様にはならねぇのか?」


そもそも無双ってなんだよ!

何度か出てきたカケル無双の話に興味が湧いてくる。


「そもそもカケルみたいなってのが分かんないんだよね、ダンジョンで大活躍したとか?」

「ん?知らねぇのか。カケル一人でダンジョン対策本部の連中全員を相手取って勝っちまったんだよ。それで盛大に啖呵を切ってカケルが現状のトップに立ったって話だよ。」


いやぁシビれたぜ、なんて呟くリュウと箍を外したカケルに呆れてしまう。


「カケルは相変わらず無茶するなぁ、リュウはそれ見て魔法を覚えようと思ったわけだ。」

「まぁそうだな、今の俺にゃ出来ねぇ事だと思えちまった。だけどよ俺は強くありたいんだよ、それが俺の矜持だから。」


そう語るリュウの姿に憧れにも似た感情を抱いてしまった。

嫌いだったのに、そんな一面を見せられると格好良く見えてしまうじゃないか。


正反対な男二人の話は夜が更けるまで続いていく。

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