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検証班のファンタジー担当は伊達じゃない。

ころころと手の内で転がる魔石に視線を落とし、つい考えてしまうのはダンジョン関連のこと。


(魔石ってなんなんだろ。)


魔力の結晶化した物なのは分かっているけど、その利用法はあまり分かっていない。


検証班では魔力を使用する際に外付けの魔力バッテリーの様な形で使っていたが、他にも使用できる気はしてる。


例えば、先程壊れてしまった、なんちゃって魔法の杖なんかもそうだ。

魔法を使う際の補助にでもなればと思い使っていたが、予想を上回り発現した魔法の威力の底上げに成功した。


当初は魔石から供給された魔力のおかげだと考えていたが、いつまで経っても無くならない魔石は杖の先で輝きを失わずにずっとあった。


ユイが興味を持ち、通常の魔石との差を調べていたが、結局その結果を知ることは出来なかった。


(結果だけを見るなら、魔石は伝導率を高める働きをしている?いっそメグみたいに魔力で構成された武器を持っていたなら検証も楽だったのかも。)


その後も湧き出てくるアイデアは止まらない。

なんといっても、ハジメは十年以上もファンタジーに憧れていたのだ。

脳内に溜め込まれた文献-ラノベ-の知識から、ファンタジーな世界を夢想したことは数知れず、思い描いた主人公の自分はどこまでも格好いいのだ。


ふと考え付いたのは、魔石の生成。


魔力の結晶化したものが魔石なら、自身の魔力を使って魔石が作り出せるのではないか、というものである。


試行錯誤しながら、何度も挑戦してみたが結果は失敗に終わった。

だが、実験の副産物として手の中の魔石の純度を上げる事に成功した。


手の中で輝きを増した魔石に若干興奮しながら、その活用法について考える。


この魔石を使って以前のように魔法の杖を製作すれば、予想では魔法の威力上昇に繋がると思うがそれではこれまでと大きくは変わらない。


ならばいっそメグの様な魔法武器を作る事も考えたが、自身にあったイメージが固まらず作り出せそうにもない。


うんうん唸りながら魔石に魔力を込めていく。

その度に魔石が軋みを上げて輝きを増していく。


ふと気が付いた時には既に遅く、一際強い光を発した後に液体の様に手の中から零れ落ちていく魔石だったものを、咄嗟の判断で机の上にあった中身の無いガラス製の灰皿で受け取る。


淡い輝きを放つ魔石だった液体を前にして、やっちまったとやや後悔するも過ぎたことは戻らない。


今度はこれの活用法を、と意気込み魔石だった液体-魔力水-の性質を調べていく。


魔法関連の事柄に没頭する姿は、検証班だった頃も今も変わらないハジメ。

違うのは、今は隣にユイがおらず、何かを発見しても褒めてくれるカケルがいない事か。


魔力水を調べて分かった事は、魔石と変わらず魔力のバッテリー代わりに使用出来る事。

推測であった魔力伝導率が魔石の状態よりも高いと思われる事。

非常に粘度が高く、一定の量の魔力を流す事で硬質化する事くらいか。


黙々と検証に没頭していたが、流石に魔力を使い過ぎたために頭が働かなくなってきたため、一度検証を切り上げる事に。


-ピンポーン。


喉の渇きもあったために、一度リビングへと降りて行ったところでタイミングを見計らった様な玄関チャイムの音にげんなりする。


「ハジメ〜、出てくれる〜?」


母に頼まれると断る理由も無いので、のそのそと魔力切れで気怠い身体で玄関へと向かう。


「はーい、どちら様ですかー?」

「おぅ、俺だ。とりあえず入れてくれや。」


どちら様ですかねっ!?

新手のおれおれ詐欺か、などとふざけた考えが浮かぶ中、来訪者を玄関先で追い返そうとすれば、ずいっと身体をねじ込む様にして侵入してくる来訪者。


「...一体なんの用だよ、俺はもう検証班抜けたんだけど?」

「とりあえず魔法ってやつ教えてくれや。」


そんなもん知るか、ときっぱりと断りたい所だったが、迫力のある巨漢を前にすると断りの言葉が出てこない。


「とりあえず話は聞くよ、二階の奥の部屋に行っててくれ。リビングから飲み物取ってくる。」

「おぅ、わざわざ悪いな。」


いきなり自宅へ訪ねてきたリュウの思惑は分からない。

思いもしなかった来訪者に困惑しながら、ニートのダンジョン攻略は進んでいく。

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