009 自分の弱点
結果、誰かの鎧を借りて着ていく事にした。
ゴメンね、持ち主。
俺のイチモツが触れた鎧とか着たくないだろうけど、黙ってるから大丈夫だよ、多分。
さて、街に行く前に確認する事がある。
持ち物? それは大丈夫。何もかも収納魔法でしまっておいたから。
お金は……ちょびっとしかない。ここに来る為に冒険者に払ったからねぇ。
周囲で練習がてら狩った獣でも売れれば良いなぁ。服買いたい。
じゃなくて、確認事項。
それは…………俺の弱点!
ラノベの主人公のように楽観的にはなれない。
自分の弱点は把握しておく必要がある。一人旅をするなら当たり前の事だが。
まず1つ目。
水中では息が出来ない!
当たり前だろって? いやいや。
空気を操る魔法を覚えたじゃん。あれを利用して呼吸出来ないか検証したんだよ。
例えばデッカイ泡を作ってそれを顔に装備とか。
まぁ無理だったね。
泡の中の空気は自分の排気で汚れていくし、泡の表面が反射して水の中が見えない。
なによりも、1mを超えると気体の精霊が来れないんだって。解除されちゃう。
シュノーケルの方がよっぽど便利。
2つ目。
体力が無い。
しょうがないよね。何年も寝てたんだから。
ここ数年の魔法修行で少しは回復したけど、全盛期の俺には程遠い。
ここでよくあるのは勘違い主人公パターン。俺はまだまだと思ってるけど、他人から見れば化け物、みたいな。
そんな事はありませんので大丈夫。だって、当時登った木に似たような木にすら登れないんだもん。
重力魔法を使って飛び乗る方が早いし楽。
……これを使ってるから、体力が戻らないのでは? 宇宙飛行士も宇宙で運動すると聞いた事があるような。
走り込みとかしよう。今は鎧が擦れて痛いからやらないけどね。
3つ目。
現在の人間の事情に疎い。
何年も人里に行っていないので当たり前なんだけど。
今年の流行どころか、地図地形すらヤバいと思う。
戦争してたりすれば以前居た国も無くなってる可能性がある。
ヘタすればお金も変わってる事もありうる。
流行語とかあったらヤだなぁ。オッサンが若者ぶって若者言葉を話してるみたいに思われちゃう。しかも少し古い。
4つ目。
実はこれが俺の中では一番重要。
新しい発見がされている事!
俺の知らない情報が増えている事だろう。新しい鉱石や植物が発見されてたり、新種の虫や動物など。
聞いてしまったら気になってしょうがない!
関わりたいけど、時間の都合上関わってはいけない。
ジレンマだ。
こんな所かな?
戦闘に関しては不安は無い。
なんせドラゴンを相手に魔法の練習したんだ。
ドラゴン以上に怖い存在があろうか? いや、ない。
なので恐怖心から体が動かない、なんて事にはならない。
ちなみに戦闘方法は。
1.防御魔法使って防御して、重力魔法で相手の動きを止めて倒す。
2.重力魔法で跳んで逃げる。
3.遠距離から火を吐く魔法で倒す。
4.相手が人間の場合、持ってる武器や防具の温度を上げて持てなくする。
5.最後の手段は、次元を渡る魔法を使って短距離転移のようにして逃げる。
どう? 穴の無い完璧な戦闘方法でしょ。
さ、街に向かうか。
道中で発見した村とかにも寄るのもいいね。
きっとテンプレのように、何かミッションがあるだろうし。
盗賊や獣に襲われてるとか、重税を課せられているとか。
解決してお金を稼ごう。
そして服を買うのだ!!