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第22話 トリックスター
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誰かが来た。ロスタムは身構えた。しかし敵の気配ではなかった。
「おい……生きてるか」
軽い声だった。状況に似合わない、どこかふざけた口調だった。
一人の男が立っていた。年齢はロスタムより少し上に見えた。軽装で、しかしその気配は軽装とは不釣り合いな深さを持っていた。
「誰だ」
「ロベルト・バイアン。マジェスティック・ロード所属。通称トリック・スター。今日はたまたまこの辺にいた」
「たまたま」
「ちょうどいいタイミングだろう。運がいいな、お前」
「右目を失ったのに、運がいいと言うのか」
「生きているじゃないか。それ以上の運がどこにある」
ロスタムはロベルトを見た。信用できるかどうかを測った。
ブリリアント・クイーンの温かさが、揺れた。敵ではない、という感覚だった。
「……助けてくれるか」
「もちろん。それが目的で来たようなものだから」
「たまたまいたんじゃないのか」
「細かいことは気にするな。とりあえず、ここを離れよう」
ロスタムは立ち上がろうとした。ロベルトが肩を貸した。二人は夜の中を動き始めた。




