1366. 試作品の実証実験へ向けて(7)
真空パック用の袋は防水機能も強度も程よくある。最近ではそれを隆一が自分で作ることは殆どないのだが、錬金術で作るレシピは貰っているし、材料も実験に使う程度の量ならば家にある。
なので隆一は真空パック用の袋(と言うか、防水袋)の素材を錬金術で仕上がり寸前の段階まで加工し、反重力魔法陣を刻んだジュラルミン板の周りに吹き付けて固めた。
今度の素材はガラスと違って柔らかいのでスイッチの部分を別にする必要は無いが……あまりスイッチを何度も動かすと素材が破ける可能性があるので、本番ではスイッチの部品ごとに防水加工した方が良いだろう。
まあ、そこら辺は工房でプロに任せればいい感じにやってくれる筈。
船にだって魔道具はあるだろうから、防水とか防塩対策は慣れていると思われる。
という事で、出来上がった魔法陣をまずは一回スイッチを入れて動くことを確認したら、海水入りのバスタブに25枚のアルミニウム合金試作品と一緒に沈めておく。
ついでなので適当に菜箸代わりなトングのような道具で試作品を全部一回持ち上げてひっくり返してみたが、殆どの板に細かい泡がついていた。
この泡が確か塩による浸食効果の一つな筈。
全くついていないのは……マグネシウムとマンガンの合金は少ない。マンガン1%のと、マグネシウム5%のには殆ど泡がついていないので、塩に対する浸食効果への耐性が強いのかも?
これらのアルミニウム合金が反重力魔法陣を刻むのに向かないの場合は、防水袋の素材を使ったカバーでほぼ完全に海水を含めた防水を何とかなると期待したい。隆一としては、万が一のことを考えると出来ればこの海水への耐性が高いらしきマグネシウム及びマンガンの合金で反重力魔法陣を使えるとありがたいところだ。
そんなことを考えながら、その後隆一は実験スペースに顔を突っ込んでアルミニウム合金がどうなったか確認してみることにした。
ジュラルミン板のホーロー加工中に何度かエフゲルトが姿を消していたので定期的に確認はしている筈で、どれかが落ちていたら教えてくれただろう。何も言われていないという事は、まだどれも一応宙に浮かんでいると思われる。
想像通り、5列に並べられた25枚の試作品はまだどれも宙に浮いていた。
が、鉄と亜鉛の合金はどれも微かに変色し始めている。
一様に黒っぽくなるのではなく、亜鉛のはなぜか黒紫っぽい感じな色になっている。もっと薄い色だったら奇麗かも知れないが、あまり良い兆候ではないだろう。
鉄との合金は普通に(?)黒ずんでいる。
シリコンと、マグネシウム、マンガンのはどれも特に色は変わっていない。
シリコンのは多少魔力の消費量が多く魔石が他より先に枯渇しそうだが、取り敢えずはまだ変えなくてもいいだろう。
マグネシウムとマンガンが反重力魔法陣にも使えそうだとしたら、船用の魔法陣はこれを使えば良さそうだ。
強度や入手の容易さ、値段などを確認してどちらを使うか、考えねば。
頭の中でメモを取りながら隆一は各試作品を丁寧に確認した。
先はまだ長い……




