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実は召喚したくなかったって言われても困る  作者: 極楽とんぼ


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1360/1365

1360. 試作品の実証実験へ向けて

 空を飛ぶ魔道具の名称もサイズによって違う方が便利だろうという隆一の指摘とごり押しに合意して、国の方も10人乗りは飛行機、4人乗りは飛行具、現存の100人クラスで乗れるものはそのまま飛行船と呼ぶことになった。


 隆一としては、10人以上の50人ぐらい乗れるのはどうなるんだろうかと密かに懸念を感じないでもなかったが、まあどうでもいいだろうと特に話題に上げていない。

 10人用ならワンチャン隆一が個人で所有したりレンタル用に揃える可能性もあるが、それより大きいのには手を出すつもりはない。

 国内線の定期便のような大きさの飛行機を飛ばすのは国に任せるつもりな隆一だった。軍なり国なりが都市から都市へ民間人を乗せて飛ぶ定期便を手配するならご自由にどうぞと言ってある。


 はっきり言って、飛行機が定期便として飛ぶようになったら社会的インパクトが大きくなり過ぎる気がするので、隆一が個人として手を出して責任を負いたくないのだ。

 まだ10人程度の飛行機のレンタルだったら限られた金持ちが使う程度であり、多少は社会の格差が広まったり固定化するリスクはあるとはいえ、資金力の有利さが更に広がるかも?と言う程度だ。


 と言うか、新しい技術とサービスを活用できる賢い人間が居たら、既存の権益持ちの利権をひっくり返せる可能性だってあるかも知れないのだし。


 まあ、それはさておき。

 まだ機体もパイロットも全然そろっていない現時点ではどれも机上の空論だが。


 という事で、その一部でもちょっと活用できないかと、隆一はまた第二騎士団に来ていた。

 今日は飛行機関連について話し合いたいといったところ、フリオスとキュルト、及び見知らぬ男性が来ていた。一応デヴリンも居るが、存在感を消し去っているので口を開く気も無い様だ。

 飛び降り部隊の隊長であるキュルトが新しく設けられるかも知れない空軍の上の方に就くのだろうか?

 飛ぶのが好きすぎて脳筋な印象だったが。


「リュウイチ殿、飛行機を活用する部隊に関して相談したいことがあるという事でしたので、新しく空軍(空の軍部)の暫定トップとなったシャール・ダリュワース大佐を紹介させてください。

 ダリュワース大佐、こちらが招かれ人で半重力魔法陣の画期的な活用方法を齎したリュウイチ・エモト氏です」

 フリオスが見知らぬ男性を紹介した。


「よろしくお願いします、エモト様」

 ダリュワース大佐とやらが握手に手を差し出してきた。


「ああ、よろしく。

 リュウイチと呼んでくれ。

 ちなみに空軍の中でのキュルトのポジションは何になるんだ?

 態々このミーティングに参加してきたという事は何かの責務があるんだろうと思うが」

 隆一としては馴染みのあるキュルトに頼み事をする方が楽そうだが、誰に何を頼めばいいのか、はっきりさせないと問題になりかねない。


「新しい部隊というか空軍の実用的な運用に関しては俺が前に出て色々と手配して、飛び回る予定ですね~。

 お偉いさんとの折衝とか予算を毟り取って来るのはシャールの仕事って感じで」

 気楽にキュルトが応じた。


 どうやら実はキュルトの方が上な立場なのに、面倒な官僚的な部分を押し付けたのかも?


「……取り敢えず、空を飛ばすことに関して何か提案や頼みごとがあったら、二人に使いを出してミーティングを要請するから、どちらが何をやるかはそちらで決めてくれ。

 実は、今度半重力魔法陣を活用した新型の船を開発しようとしている。海軍もそれとなく話は聞いている。が、それの実証実験を初期はヴァーレ付近の運河でやることになったんだ。

 俺が自分の飛行具で飛んで行ってあっちで職人や技術者と話し合えれば一番なんだが、それだと護衛の手配とかなんだかんだが面倒だろう?

 だから軍の方から飛行機を出して朝晩毎日人員をヴァーレなり実験場なりへ送迎してもらうのって可能かと聞きたくて今日はミーティングを要請したんだが。どうだろう?」

 取り敢えず、隆一として求めることをさっさと言う事にした。


「半重力魔法陣を使った船???

 飛行船ですか?!」

 ダリュワース大佐が前のめりになって聞いてきた。


「いや、船の本体の大部分を海面の上に浮かべることで水の抵抗を減らし、推進器は海水を押し出すことで推力を得る形にする、帆船の亜種みたいなもんだな。

 半重力魔法陣が壊れても普通に帆船として動けるから、安全装置とかは削りまくる予定だし、出来れば魔力の消費量も飛行機や飛行船より少ないと期待したい」

 船とは言え、飛行船とは全然違うコンセプトになるので、空軍に出張ってこられる余地はない。

 多分。


「まあ、今だったらパイロットの習熟訓練のために色々と飛ばしている所なので、全員が安全装置をしっかり身に付けておいてくれるんだったら朝晩ヴァーレまで飛ぶのもその一部に出来るでしょう。

 ちょっと揺れることもあるのは勘弁してくださいよ」

 飛ぶ船と言う可能性に夢現になっているダリュワース大佐を他所に、キュルトがあっさり合意した。


「まあ、飛ぶのが嫌な職人連中は王都に戻ってくる回数を減らせばいいだろう。

 普通の船でも王都に移動できるんだし。

 ちなみに、レンタルビジネスの方のパイロットの養育も進んでいるのか?」

 レンタルビジネスの方で飛行具を盗まれるリスクを減らすために国がパイロットを貸し出す形にするとなった筈だが、あまり進捗状況の進展の知らせは来ていない。


「まだ空軍本体で使う部隊の人員養育が終わってないので、全国範囲で広めるレンタルビジネス用の人の養育は手も付けられていません。

 機体を製造するのにも時間が掛りますし、まだ待っていただけますか?」

 ダリュワース大佐が申し訳なさそうな顔をして答えた。


「さっさと空を飛べるようにしてくれと要求する豪商や貴族が俺の所に押しかけてこない限り、別に構わん」

 隆一に煩く突撃してくる連中が居なければ、後は国に責任を丸投げだ。


 取り敢えず。

 ヴァーレとの送迎は大丈夫そうなので、後は海水に耐性のあるジュラルミンの亜種を見つけねば。

どこまでご都合主義に行くか……

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キュルトって偉かったのか!?
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