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10 招待状

ラウルの空に、無数の光が降り注いでいた。


北から。


南から。


東から。


西から。


まるで流星群のように。


住民たちは呆然と見上げている。


「綺麗だな」


「そういう状況じゃないと思うぞ」


ロイドが真顔で言った。


確かに綺麗だった。


だが問題は、その光が全部こちらへ向かっていることだ。


正確には――


俺へ向かっている。


「嫌な予感しかしない」


『正しい予感だよ』


ダンジョン精霊が即答した。



最初の光が地面へ落ちる。


眩い輝き。


そして現れたのは一枚の金属板だった。


古代文字が刻まれている。


「読めるか?」


ロイドが聞く。


「読める」


「なんで?」


「昔勉強した」


「昔って何なんだよ……」


俺は文字を読む。


そこにはこう書かれていた。


万職者認証確認。


第三管理都市アルケイン起動準備完了。


管理者の来訪を待機します。


「……何だこれ」


『古代都市だね』


精霊が答える。


まるで近所の店を説明するような気軽さだった。



二つ目の光。


三つ目の光。


四つ目の光。


次々に降ってくる。


全部同じ。


全部が古代施設。


全部が俺を呼んでいる。


ロイドたちは完全に思考停止していた。


そして。


最後の光だけは違った。


それは小さな銀色の鍵だった。


見た瞬間。


銀竜が凍り付く。


「まさか……」


「知ってるのか?」


銀竜はゆっくり頷いた。


「知っている」


その声には恐れが混じっていた。


「竜族に伝わる伝承だ」


そして鍵を見つめる。


「世界の扉を開く鍵」


「物騒だな」


「物騒なのだ」



その日の夜。


俺は自宅の机に並んだ遺物を見つめていた。


古代都市への招待状。


謎の鍵。


管理者権限。


世界滅亡級の災厄。


頭が痛い。


非常に痛い。


「全部捨てたい」


『ダメ』


「川に流す」


『ダメ』


「埋める」


『ダメ』


精霊が全部否定する。


俺はため息をついた。


その時。


コンコン。


扉が叩かれる。


「誰だ?」


返事はない。


代わりにもう一度。


コンコン。


俺は警戒しながら扉を開いた。


そこに立っていたのは――


少女だった。


十五歳くらい。


黒髪。


旅装束。


腰には一本の剣。


だが。


その顔を見た瞬間。


俺は違和感を覚えた。


魔力の流れがおかしい。


人間ではない。


「何者だ?」


少女は少し驚いた顔をした。


見抜かれるとは思わなかったのだろう。


そして。


小さく笑う。


「やっぱり」


その瞳が金色に変わった。


竜の瞳だ。


「父上の言った通り」


後ろでは銀竜が立ち上がっていた。


驚愕の表情で。


「お前は……!」


少女は優雅に一礼する。


「初めまして、万職者様」


そして。


「私は竜王国第一王女」


その言葉に全員が固まった。


「リュミエル・ドラグニアと申します」


静寂。


ロイドが口を開く。


閉じる。


もう一度開く。


「……」


言葉が出ないらしい。


無理もない。


辺境の町に。


竜王国の王女が。


突然やってきたのだから。


そしてリュミエルは微笑みながら言った。


「お願いがあります」


嫌な予感しかしない。


今までで一番嫌な予感だ。


「私の国を救ってください」


カインは空を見上げた。


最近。


平和な日が一日もない。

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