表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/19

005 転移魔法を阻止したい


 うーん……。どーしたらいい?

 ココロクルリさんと未だまともな会話が出来てない。

 捕まえて阻止するも何も、話をする前に別世界に跳ばされちゃう。


 いまわたしは電車の中。揺れ動く車両の行き着く先は、もう何度も訪れた事のある、とある街のとある駅。

 到着する前に作戦を考えておかないと、またまた同じ目に遭ってしまう。繰り返しの時を過ごしてしまう。


 幸いにも過去何度か繰り返したときの経験は記憶している。それ以前は今のところまったく思い出せないけど、もう既にいっぱい情報は得たし、そろそろ解決の糸口をつかみたいところ。


 第一にサラさんと子ネコのマカロンを仲間に引き入れて、どうにかしてココロクルリさんとの会話に持ち込んで。彼女の抱える事情と望みを聞きだす。


 そんでもってわたしのお願いも聞いてもらう。

 わたしのお願い、それはカンタン明瞭、単純なハナシ。


 ――わたしはココロクルリさんと仲良くなりたいのです。

 そんで地に足をつけたい。

 どーにかしたい!

 ううううっ!


「あ。着いちゃった」


 うーん、とにかくまずはマカロン、いや、サラさんと合流しよう。

 そんでもってココロクルリさんに出くわす前にマカロンも同行させて、えーと、そうだ、例の喫茶店で彼女に会うことにしよう。

 マカロンに頼めば引き合わせてくれるハズ。そう、何とかなるハズ。


 降車後、サラさんを探す。

 サラさんとの合流はそう苦労はしなかった。彼女もわたしに会うために駅に来ていたからだ。


「サラさん。ココロクルリさんとちゃんと話がしたいです」

「あ、そうね……それはわたしも同意見。いい加減、彼女の暴走を止めたいところよ」

「それにはとにかくマカロンにも協力を求めましょう」


 急ぎ家に行き、マカロンを呼ぶ。


「マカロン、ココロクルリさんに会せてアゲルからついて来て!」

「でもいったいどこに行くのよ?!」

「決まってる。駅前商店街にあるゲーセン喫茶店です!」


 ドアベルを鳴らし、店に入る。


 流れてる音楽はアニメソング。しかも古い時代の。


「さぁ、マカロン。インベーダーゲームでもしてご主人さまを待ってよう」

「ハアァ? ボクはネコだから、ネコの手で操作レバーは握れないニャア!」


「でもこんな所で待ってて、ルリちゃんが帰って来るのかにゃあ??」

「……さぁね。さ、じゃあマカロンの代わりにサラさん、対戦しよう」

「バカね。これ、2Pモードは無いわよ?」


 ドンッ!

 と背中越しに震動。

 テーブル一体型の筐体ゲーム機が一台増えた。


「……あ。ギャラクシアンや」


 ギャラクシアン。

 インベーダーゲームの発展形みたいなイメージの名作ゲームで、敵機が急降下して襲い掛かってくるとゆードキドキ感満載の、憧れのゲーム機や。

 ひょっとしてこれって、ココロクルリさんからの挑戦状?


「けどさ、ココロクルリさん。残念ながらこれも、ソロプレイしかないよ? ――でもね。わたしはココロクルリさんと協力プレイがしたいし、ゼンゼンこの機種で構わない。ね? サラさん」

「そ、……そうね」

「ココロクルリさんも一緒に遊ぼう」


 今回はまだ姿を現さないココロクルリさんに話しかける。


「え、え、ルリちゃんいるのぉ?」


 マカロンがそわそわジタバタしだす。

 サラさんはキョロキョロと落ち着きがない。

 いつまた何処かに跳ばされるかもしれんし、正直わたしも緊張してる。


 ――そして。


「五月蝿いのよ、アンタたち!」


「……出た」

「あーっ、ルリちゃん!」

「ホントに現れたわね、ココロクルリ!」


 金髪ツインテ、ココロクルリ嬢参上。


「ココロクルリさん。わたしはあなたに腹を立てています」

「うーん? 何ですって?」

「だから。あなた以上に、わたしらの方が怒ってるって言ってんの!」


 カッと彼女が嚇怒した。明らかにそう見えた。

 だって全身をチカチカと明滅させて、あの例の得意の転移(ラトゥデション)やなくて、攻撃魔法でも披露してるような様子なんやもの。


「待てって! そんなやとココロクルリさん、一生友だちできんで?! まずはちゃんと人の話を聞きなさいッ!」


 するとココロクルリさん、目を大きく広げ、大玉のアメでも呑み込んだような表情をした。

 効いた、ジャブが効いた?!


「な、何ですって?!」


 初めてお酒をあおった若者みたいに赤と青と白に頬とオデコの色を変化させた。


「わたしはココロクルリさんが一体何をどうしたいのかが分からないです。直せるところは直します。だからわたしたちをちゃんと受け止めて欲しい!」

「ううううっ~」


 ヤバい。噛みついてきそう。


「そうよ。少しは冷静になりましょう。そして早く学校に戻りましょう」

「ルリちゃん! ずっとボクを放置してるの、ヒドイにゃあああ!」


 ドドォォォォン!

 カウンターの奥から先が吹っ飛んだ。


 サラさんがとっさに防御障壁を張ったからココロクルリさんの魔法攻撃が逸れたんだって、5秒以上経ってから気付いた。


「ココロクルリ!」

「うっさいぃぃぃ! サラは会うたびに『ガッコウ行こう』ってやかましいし、マカロンは甘えてくるばかりで自分のコトばっかだし!」

「……と、当然じゃない」

「だ、だってボク、ルリちゃんダイスキだし……」


 この流れで、わたしはいったいナニ言われるんだろう?


「ハナヲは……ハナヲは……」


 ごくっ。


「ハナヲはシねッ!」

「――は?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ