家族
調べるのが時間掛かるので投稿は3日置きぐらいになりそうです
【ケンジ・フランデル・7日目】
煙とパイプ亭に戻り、ドクターアブドルにトムとファウラを紹介し少年の容態を聞く
「目を覚ましましたぜ。無理をしなければ移動しても大丈夫です」
「そうか、一安心だな。話は出来るかい?」
「具合もだいぶ良くなってきたし、大丈夫でしょう」
少年がいる部屋に入ると彼は横になっていたが、上半身を起こす。無理をしなくていいと伝えた
「あの、助けてくれてありがとうございます」
少年の頭部に対を成して耳があり、人間の耳のある部分は毛で覆われている。
それ以外は一見人間と変わらない様子だ
「はじめまして、俺はケンジ、だいぶ具合が良くなったみたいだな、一体どうしてこんな目に合ったんだい?」
「僕はルイっていいます。ご主人さまの言いつけで荷車を引いていたんですが、坂道で足を滑らせて荷馬車に轢かれました」
「君の主人は助けてくれなかったんだ?」
「多分そうだと思います。医者に見せるとお金がかかるので捨てられたんだと思います。首輪もなくなってるし」
「そういうことは珍しくないんだ?」
「はい、使い物にならない亜人は捨てられます。」
「あの、ケンジさん亜人を助けたりしても平気なんですか?」
「俺はエイリアス教徒だからな、普通に亜人でも付き合うぞ」
エリスが依頼主だからそう言ってしまってもいいだろう。少なくとも亜人を開放するまでは亜人たちの味方である。
「エイリアス教徒のひと、初めて話しました。でもこの国に居て大丈夫なんですか?」
ブロド王国はエイリアス教を邪教認定している。知られたら狙われるか、追放される。
「まあ秘密のお仕事ってとこだ。ところでルイ、おまえさん親とかいないのか?」
「かあさんと妹がいるんですが、きっと僕の代わりに働かされていると思います。食べ物もちゃんと食べられてないのに・・・」
ルイの耳が垂れ下がり、落ち込む。耳が感情に反応するようだ。
「何処に居るか場所はわかるか?」
「はい、僕たちはボロ家を充てがわれているので夜はそこへ戻ります」
「それじゃついでだ、助けに行くか」
「え、でも僕たち、逃げようとすると首輪が絞まって死んじゃうんです」
それはもちろん確認済みだ、何しろ俺は亜人を助けるために来たんだからな。対策はある
「エイリアス教には解除する方法があるんだ、それは心配ない」
「そ、それじゃあ!」
「ああ、ルイの家族は俺が助けるよ。その後何処へ逃げるかも手配できる」
「あ、あのっ、僕何でもします!かあさんと妹を助けてください!!」
最初からそうするつもりだったが、こんな幼い子供から懇願されると後には引けないな
行き当たりばったりな状況になったが仕方ないだろう、この状況に対応してみせるさ
swatの突入チームは5人1チームで活動する。2チームくらいは配下に置きたい。
通信設備や装備なども準備するとなると宿屋の広さでは場所が足りない。
どこかに空き家を短期でもいいから借りる必要がある。
俺はトムへ適当に空き家を借りてくるように指示、金も渡す。あともう一つお使いも頼んだ
彼は冒険者風の服装に着替え出ていった
ファラにはファーストベースに連絡を入れて人質救助の即応状態に入るように指示した
彼女に野外通信システムを準備する。夜間に屋根の上にアンテナを設置し、長距離通信を行ってもらうことにした
俺はルイに働いていた場所を聞き、ひとり宿を出る
冒険者の格好をしているので目立つことはない、どこにでもいるおっさんだからな
ルイはエンリケ商会という商会にいたそうだ、何でも扱う物産会社のような形態らしい
裏の倉庫へ回る、大勢の亜人たちが働いていた。
警備らしい警備をしていないのを確認するとアクションカメラを取り出し、作業者達が収まるように設置した
6センチほどのカメラはHD撮影を開始する。数個のカメラを設置して作業員が全員撮影できるように場所を変え設置した
カメラの存在を知らないこの世界の人間相手なので、見えにくい場所に設置すればそれほど難しい作業ではなかった。
数時間後作業員たちの作業が終わり、人気がなくなった頃に全部のカメラを回収した。
煙とパイプ亭に戻るとトムが空き家の手配を済ませていた
金は渋らなくて良いと多めに渡したので、商業ギルドであっさり見つかったらしい
宿を引き払いドクターにルイの容態を確認してもらいつつ引っ越した
空き家は2階建てで5部屋ほどの古めのレンガ造りの建物
建物の裏には大した広さじゃないが庭もついている
屋内に置きっぱなしのベッドがあったのでマットレスを召喚スキルで取り出し、ルイはそこに寝かせる
俺たちは野外用の簡易ベッドか寝袋などを取り出し、好きなところで休めばいいだろう
後のことは今回のミッションを片付けてから考えるとしよう
撮影した動画をタブレットで再生し、ルイに母親と妹を特定してもらう
タブレットを見たルイは当然とても驚いていたが、今は家族救出が先、疑問は全部飲み込んで指示に従ってもらう
母親と妹の画像を拡大、AIで解像度を補正し写真にしておく
ルイによるとエンリケ商会で働かされている亜人は30名、できれば全員救出したい
召喚予定のswatチームのリーダー2名を先の召喚し、トム、ファラを交えて作戦を検討する
【ケンジ・フランデル8日目AM】
昨晩のミーティングに従い、俺はまずswat突入隊の装備を召喚する
2チーム分のボディアーマーや暗視装置、個人用の無線機、HK-416Dカービンにサプレッサー
ハンドガンはFN 509MRD-LE各装備にドットサイトとサプレッサー、フラシュグレネード、スモークグレネード、ハンドグレネード
盾としてポリカーボネイト製のバリスティックシールドを用意、これは透明な盾であるが、ナイフや剣程度ならこの盾で防げる
そしてその他諸々の装備
まあそこまでは今回の作戦で必要としない予定だが、念のためだ
これらを部屋の一つに召喚していった。
装備の召喚が終わると隊員たちを召喚する
合計8名
建物内は人でぎっしりになるが夜までの我慢である
予め召喚したチームのリーダーと共にブリーフィングを始めた
【トム・フランデル郊外8日目AM】
トムはフランデル近くの森に来ていた
ある場所で周りの偵察を行っている。
人が通るルートに当たるか、足跡などの形跡がないか入念に調査する
調査が終わると背負っていた背負い袋から木箱を取り出し目につかない場所に設置する
更にギリースーツなどに使用されるカモフラージュアイテムで木箱を覆い、発見が困難なように偽装した
彼はできる限り足跡を残さないように歩き、周りを警戒しながらその場を後にした
【ファラ・フランデル・仮拠点8日目AM】
ファラは今回のミッションで通信関係を担当する
そこで彼女は昨夜のうちにアンテナを仮設置した
アンテナは臨時に借りた家屋の人が通る通りからの死角に、なるべく細いケーブルを使用し設置した。
ケーブルには反射材が塗られており周りの光を反射する。
これで目視しても黒いケーブルが見えにくくなり視認性を下げる
耐久性は無いが、そこは切れれば随時貼りなおすことにしている
これがアンテナだと気付く人間がこの世界にいるかは不明だが、
不審に思われないように慎重に設置場所は選んだ
ケンジにポータブル発電機と無線機を召喚してもらい
最初にファーストベースとの通信を試みる
無線機はアマチュア無線の出力を上げたようなものだ
元居た世界では高出力の電波は違法だが、この世界では電波法は存在しない
電波の発信源を探る手段もない
遠慮なく高出力の電波を放出することにした
通信を行っているものがいないので混信や雑音が無かった
間もなくファーストベースとの連絡網が確立され、ケンジからの作戦指示を伝えていく
ケンジ
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フランデル拠点前・9日目AM深夜
俺とswat隊2チームは召喚した2台のシボレー・サバーバンに乗り込み亜人家族たちが住む区画へ向かう
エンジン音を控える為に走行には注意しているが、それでも音はする
住居区画へのルートは予め頭に入れてきたので素早く移動することにする
5分ほど移動し、住居区画へ到着
住居区画から見通しにくい場所に車を停車させる
隠密行動開始
住居区画は土壁で囲まれ門はひとつ
住民は夜間は監視されているようだ
門には待機ボックスのようなものがあり、男が二人常駐している
この事は事前にルイからから聞かされていたので予定通り
ルイの家族が住む場所も既に把握している
ハンドサインで隊員に合図すると、隊員の一人が偵察ドローンを飛ばす
俺達が隠れている周辺に他の監視がいないことを確認し
3名の隊員が監視ボックスへ向かう、隊員のブーツの底部には吸音パッドが装着され
靴音が最小限になるように細工されている
監視ボックスにはドアがあり、そのドアのスキマに胃カメラのように先端にカメラを装着されているファイバーケーブルを差し込む
中の状況を確認した隊員は2名だとハンドサインで告げる
さて、はじめるとするか
ハンドサインでタイミングを取り、隊員の一人が大型のハンマーで壁をぶち破る
同時にフラッシュバンを投入
「うわ!何なんだ?!!」
「くそ、目が見えん!!」
男達は視聴覚を奪われ、右往左往する
隊員達は男二人の叫び声には応えずサプレッサー付きハンドガンで銃弾を浴びせる
サプレッサー付きハンドガンは2つの石をお互いに叩きつけるような音がする、無音というわけではない
サプレッサー無しの状態よりは音が響き渡らないと言うだけだ
ただその音に気づいたときには残念ながら遅過ぎるわけだが
「クリア」
隊員全員が装備している携帯無線機、モトローラ・セイバーから制圧したと応答が入る
こちらも行動を開始する
「これから突入する、寄越してくれ」
トムに無線で連絡を入れる、亜人家族を移動させるためのトラックで待機していたトムに、こちらへ来るように連絡
その間に隊員二人は門にバールを差し込んで閂を剥ぎ取り門を開け放つ
ボックスへ突入した3人はそのまま残り入り口で周辺警戒させる
俺達は区画内に潜入する
そのまま散開して亜人家族がすむ住居へ散っていく
俺もルイの家族の住む家へと向かう
ここか
聞いていた通りの場所に家があるのでノックする
ソロソロと扉が開く、怪訝そうな顔をした女性が顔を見せる
「失礼、ルイ君に頼まれてあなた方を迎えに来ました」
「ルイ、ルイは生きてるんですか?!」
母親のようだ、ルイの名前を出すと疑問は吹き飛ばしこちらへ迫ってきた
「ええ、怪我をしていましたが助けました。詳しいことは道中話しますよ。でもその前にすることがある」
俺はデカいワイヤーカッターを取り出し、母親に見せる
母親は恐怖の表情を浮かべ、後退りはじめた
「な、なにを・・・」
「首輪を取り外します」
「え?これは外せるんですか?」
「まあ、むりやりなんですけどね」
そう言い、後退る母親を追い詰める格好で良心が痛むが時間がない
そのままの体勢で巨大なニッパーのような刃先で首輪を挟んでハンドルを閉じる
首を締める前にあっさりと切断してしまう
実はトムに宿屋を手配に行かせた時、首輪もどこかで購入してくるように頼んでおいた
商業ギルドで普通に売ってたらしい。多少高価だったらしいが、
首輪の強度を調べるとワイヤーカッターで容易に切断可能だということがわかった
恐らくこの世界の刃物類を想定した強度で作っていたのだろう。ワイヤーカッターの敵ではなかった。
同様にルイの妹の首輪も切断した。
動揺しまくって口をパクパクさせていたが、大人しくしてくれていたのでさっさと切断した
ルイの妹というからには10歳以下なんだろう、怖い思いをさせてごめんね。
「とりあえず、貴重品があれば袋に入れて持ち出してください。生活に必要なものはこちらで用意しますのでそれらは不要です」
「あの、本当に逃げられるんでしょうか?ルイにも会わせてもらえるんでしょうか?」
まあ、いきなり信じられるもんじゃないわな
「まあ、そこは信用してもらうしかないですね。このままここで人生を終わるより、賭けてみるのもいいんじゃないでしょうか?」
いきなり変な格好をしたおっさんが訪ねてきて、信用しろってのも無理だろうけど。
「わかりました、とにかくルイと会いたいので信用いたします」
お、このおふくろさん度胸いいな、ちょっと関心したぞ
「アン、このおじさんと一緒にいこうね、お兄ちゃんに会いにいこう」
「う、うん・・・」
この妹ちゃんもなかなか、さっきから泣き叫んだりしない。立派なもんだ
まあ、びっくりして感情が引っ込んでるだけかもしれんが・・・
家を出ると亜人の家族たちも集結し始めていた
門を監視している隊員から無線連絡が入る
「アセットA、輸送車両を確認、間もなく門の前に到着」
亜人の家族達が集結したので説明を始める
「みなさん、驚かせてすいません。我々はエイリアス教の義勇兵です。この国で亜人の皆さんを救出するために活動しています。」
「これからみなさんを亜人差別のない場所へお連れし、そこで暮らしていただくためにお連れするつもりですが、もちろん皆さんの自由意志を尊重します」
「ここに残るのであればこのままですし、一緒に来ていただけるなら今から首輪を外し連れします。3分ほど待ちますのでご判断ください。」
「あの、どの国へ行くのでしょうか?」
亜人達の一人が聞いてくる、なるべく簡潔に答える
「まず初めに、我々義勇軍の駐屯地へ向かい、みなさんとご相談します。希望の国があればそこへ行く手配をしますし、駐屯地自体にも村を作るので、そこでもよろしければそこに家を用意しますのでそこで暮らせます。ここへ来る時にご説明した通り、生活に必要な品は全て我々で用意します。」
「あの、兵士の皆さんの格好ですが・・・」
また別の亜人が不安そうな顔をして訪ねてくる。swatの装備一式をした兵士はまるで宇宙人のように見えていることだろう
「詳しくは言えませんが、我々は戦闘用の魔法具を装備しています。変な格好ですが中身は普通の人種です」
3分を経過し、結局亜人の家族全員が脱出を希望した
どうせこのまま居てもボロボロになるまで使われ、捨てられるだろう。
全員が同意したのでワイヤーカッターで首輪を切断する。あまりにあっさりと首輪が切断されたので皆驚いているが、これも魔導具と説明する。
魔導具とは便利なワードだ。
この世界のレベルで見ると合金製のワイヤーカッターは正しく魔導具なのかもしれないな。
皆で門を出ると兵員移動用のトラック2台が到着していた。
それを見て亜人達はざわつき始めるが、これも魔導具だと説明した。
とにかく乗車をしてもらう。




