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少年

【少年・フランデル・1日目】


「おら、とっとと来やがれ!」

犬属の獣人である少年は主人の後に追いつく


荷運びを言いつけられているが、日頃から碌なものを食べていないのか足取りがおぼつかない

少額ではあるが働けば金が貰える

日銭を稼いで母と妹に食べ物を持ち帰りたい、少年はそう思った



10年前、この国、ブロド王国は国教をエイリアス教から神聖信教に改めた


生きるもの万物に対して感謝を捧げるエイリアス教に対し、神聖信教は選民思想、人種(ひとしゅ)が生物の頂点であるとする宗教である。

この世界には亜人が多数存在する、それを統べるのは人種であるとの教えを説いている。

人間は悪政に虐げられてもそのストレスを発散できる自分より下の階級がある場合、国に対しての反発は軽減されることは歴史が物語る

地球でも古来多く用いられた政策だがこの世界でもそれは同様だった。

そして愚王は安易にその政策に手を出すのも同じだった


王たるブロド・ブラゲルⅢ世は国内の亜人種の隔離政策を発布し、様々な権利を剥奪、人種の管理下に置くものと定めた。

亜人種とはエルフ族、ドワーフ族、犬人族などの獣人種などを指すが、そのどれもが通常群れて暮らすような生活形態ではなく、

亜人種同士であっても横の繋がりはなく、コミュニティ単位で生活していた。

その為亜人達は、結束して蜂起する間もなく一時収容所へ捕らえられ、魔導具である「従属の首輪」に繋がれることとなる

従属の首輪は装着時に指定した人種を主人として従属を強制する魔導具であり、

主人の命令に逆らう、危害を加えようとする、無理に首輪をはずそうとする、逃亡を図るなどの行動に出た場合

首が閉まり、窒息死させる魔導具


ブロド王国内のエイリアス教はこの政策に猛反発するが、同時に発布された法律よりエイリアス教指導者達は国外追放、

国民にも神聖宗教への改教を迫った。

多くの国民は改教、それを拒むものは国外へ逃亡、追放となどの道を辿る

以降、国内の獣人種は二級国民扱いであり多くの権利が剥奪された状態が続いている。

残った人種は二級国民が出来たので圧政へのストレスを二級国民へ向けた


少年の主人は商人である

今日は荷物を満載した荷車を引いている

少年は12歳であるが栄養不足のため筋肉がついていない。毎度のことであるが今も3日ほど食事をしてない

それでも主人の命令には逆らえば首輪が首を締める。

なので黙って主人に付いていく


ゆるい坂道に差し掛かった

空腹のため踏ん張りが効かず、足を滑らせた拍子に転倒した

その少年の上に自分が引いていた荷車が突っ込む

運悪く、荷車の車輪が少年の上を通過し、方向を変え建物の壁にぶつかり停止する

「なにやってんだ!バカヤロウ」

主人は怒鳴るが少年は昏倒して返事できない。血も吐いている

何百キロはあるかという荷車が少年の身体を轢いたのだ、重傷となった


主人は少年に近づき、無造作に蹴る、だが身動き一つしない

「ちっ」

どうしたものかと商人は考える

瀕死の重症の少年を治療するには金がかかる

恐らく、その金で新しい亜人が買える、こんなひょろひょろを治療するよりも新しい亜人を買ったほうが労力になるだろう

そう結論づけると商人は、少年が持っている唯一の貴重品である首輪を解除回収し、荷車を引いて行ってしまう

少年は放置されたままだ

周りを歩いていく人間たちは少年に手を出そうとしない、この国では亜人の扱いとはその程度だ


少年は切望した自由を手に入れたが

引き換えに生命を失おうとしていた





【ケンジ・フランデル・1日目】

俺は中央の露店を偵察中、獣人を拾った

最初は道端にボロ布でも捨ててあるのかと思ったのだが、よく見ると人の形をしていた


近づくと少年が血を流して倒れていた

頭部に犬の耳のようなものが生えている。これが亜人だろうか

しかし通行人は知らんぷりで通り過ぎる

よくあることらしい

悪目立ちしたくないので正直、見捨てておけば良かったのかもしれない

大人の亜人だったらもしかしてそうしたかもしれないが

相手は子供だった

考えるより先に抱き起こしていた


亜人の脈がどこにあるのか不明だったので、とりあえず鼻先に手のひらをかざすと

息をしているようだった

だが血を吐いているし、かなりの重症のようだ

馬車にでも轢かれたか?


担ぎ上げ、目立たないように収納スキルから冒険者ローブを取り出し包む

宿へ戻り、エディにはむにゃむにゃ言い訳をして部屋に入る


さてどうしたものか?


この世界にはヒールという回復魔法があるらしいが、自分はまだ魔法を使ったことがない

簡単な応急処置なら心得があるが、見た所重症だ


医者が必要だ


何か手はないかとメニューを開きドキュメントを見ようとして、

部下召喚の項目が目に止まる、ここを開いてみる

あった、軍医と看護兵!

召喚単位は軍医1名看護兵2名

部下召喚はスキルなので魔法は不要、項目をタップすると発動するはずだ

迷わずタップしてみる

すると、目の前に太めのプロレスラーみたいなヒゲモジャのおっさんと

女性の看護兵2名が現れた

「こんにちは司令官、俺はアブドルといいます。招集命令によりこれより着任しますぜ」


「司令官って俺のこと?」

すぐに出血するのが売りの、昔のプロレラーが頭に浮かんできたが振り払い聞く


「そうですな、我ら召喚兵はあなたを司令官と呼ぶことになっとります」

「まあそのへんの作法は後で聞くとするか。その前にその少年を助けて欲しい」


「人では・・・ないですな、獣の耳が生えとる」

「ああ、この世界では亜人と呼ばれている人間の亜種だ」

「そうですかい、では診察してみますか」


そう言うとアブドルは少年の診察を始める

「必要な器具とかあれば言ってくれ、召喚する」

「簡易手術テントと施術器具一式お願いしますぜ」

簡易手術テントとは巨大な風船のような構造で、中を滅菌して使用する。施術後はまとめて捨ててしまえば良いので

宿を汚すこともない。施術器具一式は戦場で用いられる手術器具をセットにしたものだ

「司令官、ただこの子は人間ではないし、どの程度の治療ができるか不明ですぜ」

「そうだろうな、手を尽くして駄目ならこの子の運命だと思うしか無い。できる限り尽力して欲しい」

俺も亜人は初めて見る。身体の中の構造はどうなっているのか知らない


必要な物資は提供した素人の俺は、することがないのでテントの外に出て待機することにする



メニューを開き、ドキュメントを読み込んでいるとアブドルから声が掛かる

「終わりやした」

タオルで汗を拭いながらオブドルがテントから出てきた。収納からペットボトルの水を手渡す

「どうだい、様子は?」

「内臓破裂、骨折があったんで共に処置しました。血が足りないので点滴で栄養補給してます

あとは自己治癒能力任せですな」

「助かるかな?」

「まあ若いし、なんとかなりそうな気がしますな」

「それは良かった」


俺は1階に行き、エディにもうひと部屋借りるのと4人分の料金を支払った。

外出する用事があるので治療はアブドルチームに任せることにする

部屋は女性、男性の分かれて使用することにした。


経過は予断を許さないが、まずは出来ることはやった

子供であろうと使い捨てにする人間の傲慢に理不尽を感じる

依頼で受けた仕事だったが、俺にも思うところができた


傲慢の代償はいつか払ってもらうとしよう




【ケンジ・フランデル・2日目】


未明、海のある街へ向かう

地図にあった島々で無人島らしき島を確保し、拠点を構築するのが目的だ

地政学的に森に拠点を作るより、島に構築したほうが防衛は容易である。

また、この世界の船舶や港の性能も確認したい。

推進力に魔法が使われている場合は対応を検討する必要があるかもしれない。

海まで片道およそ60km

歩きだとキツいので召喚スキルから軍用バイク、HDT M1030M1 JP8を召喚した

Kawasaki KLR650をベースとしたこの軍用バイクは、ディーゼル、灯油、ジェット燃料などが使用できるディーゼルエンジンを搭載している。

アメリカ人の身体のサイズに合わせて作られているのでボディが大きく、乗り心地が良い。


この世界は明かりが乏しいので夜明けが活動時間の開始となる

なので、人目を避けたい俺は夜明け前に出発した。バイクの灯火があるので、街道であれば迷いなく走れる。

それで駄目ならまた対策を考えるさ


港街には1時間半くらい、ギリギリ夜明け前に到着した

魔物が居るかと思ったが、運良く出くわさなかった。メインの街道にそう頻繁に魔物が居るわけもないか

街から少し離れたところでバイクの召喚を解き、徒歩で入場した。ギルドカードを見せるとあっさり通過できた。

因みにこの港町はゴダという地名らしい


今のところギルドハウスに用はないので無視、まっすぐ港へ向かう

丁度人々が活動を始める時刻であり、食べ物の露天なども出ていたので買食いしながら港を観察する

コダはある程度賑わいのある港のようだ、漁港と言うよりも物流を重視した港である。

荷物の積み込み、運び出し、人が多い。

それになんと帆船が停泊していた


スコッチのラベル以外で実物を見るのは初めてだ

とすると、方位確認は夜の星座か、せいぜい羅針盤があるかどうかということか

船にはトイレすら完備されているのか怪しいな

保存食などはなく、壊血病に悩まされているかもしれない


この世界の船乗りにはなりたくないな


串焼きを齧りながら引き続き港を巡回する


商船の舷側に大砲の発射窓のようなものが見える

黒色火薬くらいは発見されているのかもしれない

無煙火薬の合成は無理だろうな?

若しくは魔法で砲弾を飛ばす術がある可能性もある

そうなると砲身にライフリングがされていなくても関係ないのか?

できれば威力偵察を行いたいが、まだ先の話だな


港の水深は浅く、物見櫓があり、灯台はなし

夜間の運行はしていないのだろうか

輸送は馬に似た生き物が牽引する馬車(?)を利用。

内燃機関というものはないのかもしれない


海岸沿いに歩き、暫く歩くと街の外れまで来た、人影も見なくなった


もう一つの活動を開始することにする


メニューを開き、装備召喚、US-2と飛行小隊を召喚する

US-2は日本の自衛隊が使用している救難飛行艇

脚部がフロート、機体の底が船の底部のような形状をしている水上飛行機だ

航続距離が長く、海面に召喚すれば滑走路が不要で飛び立つことが出来る

通常は海難事故の対応に使用されるが、今回は無人島の探索に利用する

高度なレーダーは使用できないが、目視で確認するのでこれでなんとかなればと期待する


「司令官殿、飛行小隊着任いたしました!私はベクター少尉、機長を努めます」

12名の小隊が現れた。救助を行う隊員も居るが、今回は他のことを手伝ってもらうことにする

「無人島探索に使用したいんだが、すぐに飛べるかい?」

「機体は整備済みなので問題ありません、すぐに稼働準備できます」


機上整備員によりエンジンが始動し、機内に与圧が掛かる

4基のターボプロップエンジンが始動し、プロペラが回転を始め俺も機内に入る

そして機長にエリスから貰った簡易地図を見せ、おおまかな飛行経路をリクエストする

US-2は航続距離が4,700kmあるので、今回の偵察目的であれば十分だろう

滑走路を持ち合わせていないので今はこれくらいしか選択肢がない


STOL設計の機体は300mほどで離陸する


時速470kmで飛ぶ機体が30分ほど飛行すると、目的地が見えてきた

5つの小島が固まって形成されている無人島らしき島群

ゴダの海岸から単純計算で235km離れていることになる

日本の地形からすれば、東京から新潟あたりまでの距離といえばわかるだろうか?

八丈島と同じくらいの距離ということにもなるようだ


ゴダの海岸を出てから、15km沖くらいには船は居たが、今は全く船らしき影は確認できない

貨物船は海岸近くを運行するだろうし、帆を使用した漁船で来るには遠すぎるようだ

まあ頑張れば来れるのかもしれないが、必要とされていないらしい

航続距離には十分余裕があるので、機長に指示し島の上空を巡回する


機体装備のFLIR、赤外線探査装置で人間と生物も監視をしながら観察したところ

やはり無人島のようだ、動物らしきものは居るが人間は確認できない

ざっと見が限りでは建築物などは発見できなかった

機長に一番大きな中央あたりに位置する無人島の沖に着水するように指示、

無人島の現地調査を行うことにする


上陸に当たって以下を準備

ゾディアックボートはゴム製で船底が硬質素材を使用した特殊部隊などに使用される揚陸艇

無理をすれば10人くらいなら乗船できる

生物の反応があったので、個人装備には7.62mmNATO弾仕様のFN SCAR-H、予備弾倉と通信機

ベレッタM9、フラッシュバン、スモークグレネード、ハンドグレネード各1、その他はタクティカルナイフとサバイバルパック、標準的な防弾装備

部隊全体で使い捨ての無反動砲であるM136 AT-4を1門、M249マシンガン2門

その他装備することにした


10人を揚陸艇、2名をUS-2に待機させた

機内の2名はフランデルと通信するために待機させる。泊りがけになるようだったら召喚を解除するつもりだ

俺たちは上空から確認した砂浜へ向かう

横幅は100m程とそんなに広くはないが揚陸には問題なし


「このまま内地へ向かうが、魔物なら動物と違い、逃げずに襲ってくるかもしれないので注意せよ」


周辺警備は小隊に任せて俺は地形の観察に専念する。拠点構築が出来るかどうかの確認が今回の目的である

因みに自分は軽装でSIG SG550とグレネード類しか装備してない。弾薬が自分だけ5.56mmだ。

あとは双眼鏡などが所持品

まあ、よっぽどアレな時はジャベリンだろうがM1エイブラムスだろうが召喚するさ

こっちには収納スキルがあるからな


小隊が散開したので俺も周囲観察を開始

このあたりはブッシュになって視界が良くないが、開墾すれば結構な広さがある

内地からなだらかに傾斜した下りで舗装すれば運送も容易だし地震があったとしても津波はこの低地で止まりそうだ

通信衛星やGPSなどは大陸間弾道ミサイルを改造すれば投入可能と聞いているし

ある程度の平地があれば設置可能だろうか

港も砂浜が終わったあたりに、埠頭ユニットを召喚すれば急造可能そうだし、追加工事は追々できる

現代ではよっぽどな地形でない限りは埠頭の設置は可能らしい。金はかかるらしいが、俺の場合は金額は関係ないしな

1年を通して、天候が拠点とするに不向きとなる可能性はあるが、現時点では穏やかそうなので臨時で確保しておくには

使えそうだ


「エネミー、オン・マイ・ツー!!」

その声が聞こえた瞬間、俺は身を低くする、接敵した模様だがこちらからは目視できない

「コンタクト・エンゲージ!」分隊が合流し、M249とSCARの発砲音が聞こえる

「フラッシュ・バン! キープ・シューティング!!」

1分ほど発射音が続き、やがて静まる

「エネミー・ダウン」

敵を倒したようだ


隊員達がブッシュの奥から出てくる、欠員はいない

「状況は?」

「はい、イノシシをデカくしたようなヤツがいまして、突っ込んできました。周辺警戒中だったので避けましたが結構な速さだったです」

「仕留めたか?」

「フラッシュバンを食らわせたら迷走し始めたのでM249を浴びせました。しかし、なかなか倒れませんでしたね。

全員で包囲射撃してAT-4を使うかどうかと思い始めた頃に倒れました」

「一応、弾丸は通じるようで良かったよ」

しかし結構な耐久力だな。象並かもしれない

倒した奴まで案内してもらい、放置しようかと考えたが研究にも使えそうなので収納スキルで保管することにする

グリズリークラスのイノシシが転がっていた。本当にデカいな

魔物なのか動物なのか判然としないが後で鑑定スキルで調べることにする。


その後も狼のような生物に遭遇したが、ビッグイノシシ(仮名)程は苦労せず倒せた

ひょっとしてこのあたりの主だったのか?


内地へ入り、見渡すと島の三分の一が山、その他は丘または平地のような地形だ

ブッシュは上陸した海岸線の一部のほか、所々に点在している。

山があるからだろう、河川も双眼鏡で確認できた。

なかなか理想的な島だ。これが俺の世界だったら確実に何処かの国が確保しに来ているはずだ。

この世界のインフラが貧弱なせいで手つかずだったということだろうな


ハンヴィー2台を召喚し、平地まで移動してきた

隊員たちには休憩と喫食を指示し、辺りを確認する

荒れ放題の平地だが、重機を使えば容易に整地可能な様子だ


予定変更、ゴダの街へ引き返しまたここにやってくる手間に意味がないのでこれから前線基地を構築することにする


俺はまず基地司令を任せる将官を召喚する

「司令官、拝命によりマクレーン・カーティス着任いたします」

「よろしくマクレーン、私はケンジ、貴官をこの地の総司令に任命する、拠点基地の構築を任じたい」

「畏まりました、部下と物資の申請をよろしいでしょうか?」

「ああ、員数と物資のリストを作成してほしい」


さて食事にするか、その前にドクターと飛行艇に連絡を入れることにした



俺の収納スキルはPXモドキなので食料といえども調達できる

食えたものじゃないCレーションなどで我慢する必要はない

とりあえず隊員には水、ハンバーガーと缶詰、スープのレトルト等をどっさり出して好きに使うように指示

俺もパックご飯やサバ缶、冷凍からあげ等を取り出し、携帯コンロで温めた湯で調理する

ビールも欲しくなるが我慢する


ドクターへはUS-2経由で連絡を入れてもらう。携帯無線機ではゴダまで電波が届かないしな

ドクターには金も渡してきたのでそれで頑張ってもらうことにした。

少年の状態は変わらず。まだ1日程度しか経過していないので見守るしか無い


食事の後、整地を開始する

とりあえず宿泊施設と水源確保だ

河川の近くを拠点とし、重機を召喚、重油の入った燃料タンクと発電機も設置する

プレハブ宿舎をまずは建設するため、資材と必要物資を召喚

プレハブが出来るまではテント暮らしで頑張ってもらうことにする

まあ駐屯地用の大型テントだとか、臨時設置のシャワーとかも作れるのでWW2程悲惨にはならないだろう

設備科の兵士を1大隊召喚し、作業を開始する。

整地用の重機はありったけ投入し、物量作戦で整地を行い、とりあえずテントを置くスペースは確保する

飲料水などはとりあえず浄水プラントの設置が終わるまでは補給物資で賄ってもらう。

食料にしても同様だ、自給できるに越したことはないが、緊急時なのでコンテナに大量に詰め込んで召喚しておく


マクレーンからリストが来たので指揮官達を召喚する。リストにある物資は整地状況に応じて召喚することにした

連絡手段にレーダー及び通信アンテナ塔設備一式を召喚、工兵に早急に着手してもらうように指示した。

衛星通信が確立するまではこの設備が重要な役割を負うだろう


また俺の補佐として、マクレーンを含めた補佐官を召喚し、達成目標と権限分担を行う。

軍法監視関連、駐屯地関係、部隊編成関連、兵站関連、情報収集関連、技術補完関連の担当官を設置した

必要であれば随時設置する

軍法に関してはなぜかドクトリンが明文化されていて各隊員が所持していた。目を通した所大きな問題は無いようなのでこのまま利用する。

そのうち修正が必要になるかもしれないが、その時に検討すればいいはずだ


拠点の構築に必要な指揮や練度管理は補佐官たちが管理し、俺は当面の物資召喚だけを行えば動くように指示し、権限も移譲しておく

各司令官、担当官の任命、解任権限は俺が持つが、それ以下の運用はそれらに任せて自分は動きやすくしておく


また自分の個人的な補佐として将校を設置した。人数は定めていないが、とりあえず2名で男女を召喚。俺の代行役なので

仕事は多いだろう。権限は補佐官と同等で権限は高い。

一挙に召喚したので各将校の名前は覚えていない。AIで頭の上に名前を階級を表示してくれるメガネでも無いだろうか?


階級に関しては俺が大佐、補佐官以下は中佐までとしている。必要があれば別途調整する旨伝達した。部隊編成官に権限移譲と並行して

規定するよう指示した。


俺は無人島に3日間滞在し、補佐官、指揮官達に達成目標についてのディスカッションを行い、

拠点構築に必要とされる物資、隊員を召喚した。

無人島駐屯地はとりあえずファーストベースと命名し、最初に行う通信インフラ、部隊の編成に向けた動き始める


衛生通信環境が整うまでは、とりあえず1960年代あたりの技術水準、つまりはベトナム戦争あたりの技術水準の車両、重機を用意した

これからは指揮官や補佐官が駐屯地を統制しその全体を作り上げてゆく。

隊員は工兵、整備を1個大隊の1000名と機械化歩兵1中隊250名、その他戦闘車、ヘリコプター、輸送車etc

俺自身は駐屯地を管理するのが仕事ではないので、方向性と直近の行動目標を指示すれば

細やかな部分は部下が部署ごとの権限を用いて行動するシステムを作った。


通信アンテナの設置が終わったのを確認した俺は、皆に任せて俺は補佐の将校2名と共にフランデルに帰還することにした

既に召喚済みのヘリコプターの中からUH-1を借り受けることにした。

現在GPSや軍事衛星がないのでアビオニクスは使用不可だ、敢えて旧式を召喚した。

UH-1は旧式となったが現代でもバージョンアップを重ねて使用されているヘリである。

ベトナム戦争の頃からあった機種で、輸送、救助、ガンシップのような使い方まで出来る多目的ヘリ

航続距離は418km、フランデルに戻るには十分である。

フランデルに着いたら燃料を召喚スキルで補充しファーストベース返却する


ヘリというものは30m四方ほど更地にしてしまえば普通に使用できるので重宝する。

全てアナログ計器なのでGPSが無い今の状況ではかなり頼りになる。

召喚したUH-1Bはモデル204Bと呼ばれる機体で、1961年型、Mk4 FFARロケットポッドで武装している

7.62mmM60機関銃も付属しており機体の両側にロケットポッドと共に装着され、光学照準器を使って副操縦士が操作する

同様にキャビンにも同様のM60がドアガンとして搭載されている

こいつに見つかれば先のデカいイノシシだろうが敵じゃない。何せイノシシは空を飛ばないからな


俺は既にエンジンを始動して待機している機体に補佐役の将校と共に乗り込む

男性の補佐官はトム・J・フランクリン、女性はファラ・ヴァン・チェインだと自己紹介された

召喚時にオプション操作すれば能力のパラメータが指定できるのでこの二人は特別に能力を高くした

名前は自動でつけられるのでネーミングセンスに悩む必要もない

まあ、メニューのコンソールを使えば自動生成することも出来るので大した問題ではないが

昨今のAIはかなり発達している、パラメータ、プロンプトを詳細に指定すればプログラムすら自動生成する

面倒な作業はかなり軽減できるというわけだ


召喚スキルは生産ポイントという単位があって、高性能な武器や兵士を召喚すると1度に召喚できる数が少なくなる

生産コストは1日毎に増加し、蓄積されていく


例えば原子力空母等というものはそうポンポンと召喚できない


1か月くらい生産ポイントを貯めないと数値が届かないためだ

生産するコストは購入金額とほぼイコール、但し年代が古い装備の場合は割引されるらしい。

多目的車両ハンヴィーは1千万円以上する車両価格だが、ジープなら当時でも200万円くらいだった

それに年代割引が加算されるので割引される

よって1回に召喚できる数はジープのほうが多い、なのでジープをわんさか召喚して皆で自転車代わりに使っている

逆にこういう無人島では小回りが利くジープのほうが取り回しが良いなど、そう悪い選択ではない筈だ


兵士も通常は無指定で召喚するのだが、トムとファラは色々やってもらわねばならないので特別にパラメータを設定した

二人は知力や運動能力がアスリート並のエリートだ。ついでに容姿も良くした

容姿が悪くて損をすることはあまり無いからな


この二人の場合も当然生産コストは高くなり、通常は1000人単位で召喚できるが

今回は一度に10人単位のコストになってしまった、なので補佐官クラスと一緒の召喚とした


エリスが初期生産ポイントを多く残高としてストックしてくれていたので駐屯地の準備には一挙に召喚できたが

これからは考えながら召喚しないといけない

自給できる資源は自前で調達した方がいい


日本は資源不足で敗戦したようなものだと思っている。

戦争に勝利する鍵は兵站確保の段取りが7割と言っても良い。

これは現代戦争の常識だ

この無人島はその意味も含めて重要な拠点となるだろう


「間もなく目的地、人目避けて着陸します」


考え事をしている俺に話しかけずに放置してくれていたようだ


「ありがとう」


さて少年は目を覚ましただろうか?


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