●「魔石」
「元ご主人よ、見てほしいものがあるのだが」
「くだらないものだったら、こっから突き落とすわよ」
「猫ちゃんにはもっと優しくせんか! ええい、元ご主人の知恵を借りたいと言っているのだ!」
――魔法使いアンバーと長靴を吐いた猫
魔石とは魔力が結晶化したもので、魔力の濃い場所などで自然に生まれる。
稀な例を除き、結晶化する際は単一の属性のみの塊となり、複合属性の結晶は何らかの魔法的要因が加わることでしか生成されない。
その用途は魔石の属性によって異なるが、炉に入れる燃料や、魔力を動力にした装置の駆動、さらに加工することで武器や道具にしたり、小さなものは装飾に使われることもあるようだ。
用途の幅が広いが、希少性もそれなりに高く、純度の高いものや大きいものほど、高値で取引される傾向にある。
ただし、魔石は便利なだけの物ではない。
魔石とは、魔力が凝縮された塊だ。
つまり、高濃度の魔力が人の体や精神に影響を及ぼすように、魔石もその特性は変わらない。
そのため、大きな街などで魔石の加工や取り扱いを行う際には、事故を防ぐため許可が必要であったり、保管に対して厳重な決まりがある場合も多い。
危険なものとはいえ、魔石は人の生活にも密接に関わっている。
便利な道具としての面ばかりを見て、危険な物であるという事を失念している者も、中にはいるようだ。
「たかが洞窟オークの拠点に、カゴいっぱいの魔石がこれほど……妙だと思わないか、元ご主人? どこかに魔石床があるに違いないが、それ以上に――」
「すごい量じゃない! これだけ採掘できてるなら、きっととんでもないサイズの魔石よ! 早速探しましょう、おじいさん! フェルト、貴方も手伝いなさい。売り上げの一割くらいは譲ってあげるわ」
「金儲けのために教えたわけではないぞ、元ご主人!?」
――魔法使いアンバーと長靴を吐いた猫




