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「魔子にも異称」
「魔界では、力こそが物を言う。つまり、なんか凄そうと思わせることが大事だ。お前には、魔王の息子とは別の肩書きも必要ということだな」
「なら、できるだけ痛くないやつで」
「ふむ……では、『覇王邪竜・漆黒の混沌劫火雷電王』とかどうだ?」
「……却下で」
――魔王とその子供
ある程度の知恵と社会を持つ怪物は、己の力を誇示するように異称を名乗る。
その異称がいつか、世界全体に轟き、あらゆる存在を恐れさせることが、彼らの目的の一つでもあるのだ。
だからだろうか、怪物たちは自分の子にも、成人する前に異称を与える文化がある。
どれほど卑しい生まれでも、立派な異称さえあれば、それなりには見えるものなのだろう。
一種の慣習となったそれは、怪物たちの間で『魔子にも異称』ということわざとなって、広まっているようだ。




