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「オマエダ」
「次はオマエダ、オマエダー」
「え、ワシ!?」
――馬車の御者と客の老人
玉の国を巡る馬車には、とある噂がある。
ある地点にさしかかると、御者に『次はお前だ』と指名され、異界に連れ去られるというものだ。
実際に被害にあったという記録はないが、そもそも異界に連れて行かれたのなら、詳細を知る者がいないのだから、それも当然だろうか。
また、噂にはいくつか種類があり、御者が馬車を止めると、そこは墓場で、墓石から伸びた腕が次はお前だと言いながら体に掴みかかり、墓に連れ込むというものもあるようだ。
「野菜はいかがですかー? 今なら、ネギがおすすめですよ!」
――オマエダの町民
玉の国の町、オマエダ。
農作が盛んな地域であり、馬車も通っているため多くの人で賑わっている。
しかし、馬車で来た旅人たちの中には、なぜか青ざめた顔をして降りてくる者がいるらしい。
なにかに怯えるような彼らはいったい、馬車でなにを聞いたのだろうか。




