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●「はぐれ魔法使い」

「おお、こんなところで再会とは、これも運命か! さあ、早く私を助けたまえ、元ご主人! 昔から言うだろう、猫の尾に火がつくほど急げとな! 見ての通り、今まさにそんな感じなのだ!」

「……オークが夕飯を食べてからのほうが、静かにやれそうね」

 ――魔法使いアンバーと長靴を吐いた猫。洞窟オークの拠点にて



 学院から追放された者、禁忌を犯し追われる者などは、『はぐれ』となって世界のそこかしこに散らばり潜む。

 みなそれぞれ事情を抱えた者が大半だが、その多くは正規の魔法使いに比べ、能力で劣っている。

 

 また、はぐれはあくまで集団から逃れ、外された者のことを言い、最初から独学で学んでいる場合や、正当な理由で組織を離れた者を指す言葉ではない。

 

 はぐれと呼ばれるからには、なにかしら理由がある。

 学院を追い出され、それでもなお魔法を捨てきれず、人目のない場所で学ぶ者。

 力を過信し、禁忌を御せると(おご)り、多くの犠牲を出した者。

 この世ならざるに触れ、使命を見つけた者。

 

 世界には多くのはぐれ魔法使いがいるが、恐ろしく、また危険な存在はごく僅かしかいない。



「その身なり、どこかの学院出身とお見受けする。人語を話す珍しい猫とはいえ、まさか主人自ら救出に来るとは……実に感動的だな」

「最悪よ、アンバー。小うるさいのが増えたわ」

「ああ……だが、学院から追い出され、このような場所に引きこもり、独学で魔法を学ぶしかなかった私が、お前たちに抗えるはずもない。これでは、感動の救出劇が台無しだ。それはよくない」

「ねぇフェルト、これ全部聞かなきゃ駄目かしら? やっちゃっていい?」

「だからお前たち……あまり強い魔法を使うなよ。すぐに終わってしまうぞ」

 ――炎と降霊の魔法使いたちと、はぐれ魔法使い



「まさか君ほどの子が、卒業前に学院を出るとはな。あと一年で卒業だ、待てない理由を聞いても?」

「星がわたくしを見ているならば、わたくしは星のために在るべきなのでしょう。星が望むならば、わたくしはただ……その声が導くままに」

 ――『星海』、マリステラ・コール。北の魔法学院、東の尖塔での会話

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