156/200
「巻き上げる竜巻」
「豪雨と嵐をものともしないペガサスも、岩が飛び交う竜巻の中は飛べなかったようね」
――風の魔法使い
十年戦争において、ペガサスを使った騎兵の登場は、戦場の流れを変えた。
それまでの戦いでは、砦の兵は強固な壁を信頼し、地上への攻撃手段と壁の防護を気にかけるだけでよかった。
しかし、上空から襲いかかる翼持つ白馬たちの存在により、砦は空からの襲撃にも備えなければならなくなったのだ。
ペガサスは勇敢で逞しく、地上から放たれた矢の中をかいくぐって飛ぶ。
その背に乗る者たちは精鋭で、幾多もの戦場で敵陣を襲撃し、陥落させた。
だが、ひとたび脅威となれば敵も当然、それに対する手段を考える。
ある砦の隊長は、魔法使いに聞いた。
雷雨の中を飛ぶペガサスすら、落とす方法はないかと。
そこで魔法使いは、空を駆ける騎兵の前に竜巻を呼び出した。
竜巻は地上の岩を巻き上げながらペガサスたちを呑み込み、やがて暴風が去ると、空には真っ白な雲と、太陽しか残っていなかったという。




