「闇の砦」
「ああ、ブルートゥス。わたくし、貴方の忠義に感動いたしましたわ。死してなお、この砦を守ろうというのですね」
――骸砦の主、デスク
砦には、様々な形がある。
要塞のように防御を固めた、堅牢なもの。あるいは、見張るための小規模なもの。
本来は目的に合わせて設計されるものだが、闇の者たちが築く砦は、その目的からして異なる。
拠点を築けるほど権力のある闇の者にとって、砦とは地位と己の威を示す場所なのだ。
しかし、たとえ権力者であろうとも、いつ部下や同胞に背中を刺されるかわからないのが、闇の世界。
だからこそ多くの部下を率い、己の印を砦のそこら中に飾ることで、自分がいかに力を持つかを見せつける。そのために過剰な装飾を施し、裏切り者を晒し、自分の命を狙う人間や同胞に備えるのだ。
基本的に、人間の美的観念からすると、闇の者たちの創造物は悪趣味と言わざるをえない。
骸骨の燭台、人体を繋ぎ合わせたテーブル、切り取った耳で出来たネックレスなど、人間では理解できない物がほとんどだろう。
砦の装飾でさえ、壁の素材に殺した部下の骸を混ぜるなど、彼らのやることはそこに意味があるかどうかではなく、いかに恐ろしいかが重視されるのだ。
「聞いたか? ブルートゥスが死んだのは、お頭を裏切ろうとしたのがバレちまったかららしいぜ」
「背中を刺して砦を乗っ取ろうと思ったら、壁の材料にされちまったわけか」
――デスクの子分、ラップ&トップ




